季節の移ろいは早いものです。約ひと月前に白い花が咲いていたモミジイチゴ(紅葉苺)にもう黄色い実がなっていました。口に含むと昔懐かしい、うす甘くジューシーな味は、おやつなどなかった昭和20年代のほろ苦さも含んでいます。
野原で食べるものを探し歩いた少年時代もこれだけは食べなかったヘビイチゴ(蛇苺)、名前のせいもあったかもしれませんが、食べた人の話では味が無いと。有毒ではないようですが…。我が庭にもタネが飛んできたのか、数個赤い実が見えますが、鮮やかな赤で綺麗なのでそのままにしています。
繁殖力が結構つよいホタルブクロ(蛍袋)、キキョウ科の宿根草、あちこちで咲いていますが下向きの花には可憐さがつき纏います。名前の由来は子供がこの花にホタルを入れて遊んだからとか、提灯の古名「火垂る袋」が転じたという説もあります。
逢ひたくて蛍袋に灯をともす 岩淵喜代子
ノイバラ(野茨)は日本の野ばらの代表品種、同属で葉に艶のあるテリハノイバラ(照葉野茨)も含めて華やかなイメージはさすが薔薇、ゲーテ作詞、シューベルト作曲の「童は見ぃたり…♪、野中のばぁら~♪」のメロディが浮かんできますが、後の歌詞にある「紅匂ぃ~おう♪」とあるように西洋の野ばらはピンク色のようです。
ノアザミ(野薊)が咲いています。キク科アザミ属の日本固有種ですが、近年、葉にも茎にも鋭い棘を持ち繁殖力が強いアメリカオニアザミが、要注意外来生物として騒がれていますが、幸いこの辺ではまだ見かけません。
ウツギ(空木)はアジサイ科ウツギ属、「ウツギ(空木)」の名は、茎の中心が中空であることからの名です。別名で卯月に咲くから卯の花とも言い、昔から畑などの境界木として植えられてきました。
卯の花も白し夜なかの天の川 言水
スイカズラ(吸葛)、名前の由来は花の下部から蜜を出すので、花筒を吸うと甘い味がすることから。今でも見かけると、つい手を伸ばして摘み取り吸ってみる癖が抜けません。別名「忍冬」は、寒い冬を耐え忍ぶように緑の葉っぱを茂らせ続ける姿にちなみます。
蚊の声す忍冬の花散るたびに 蕪村