ナワシログミ(苗代茱萸)別名タワラグミ。グミ科。苗代を作るころに実るから名がつきました。少年時代の野外の食べ物の中では、超高級品に入りました。大きく食べ応えあったけど、口に残る渋さは格別、あまり食べると「○○が詰まってしまうぞ」とよく脅かされました。
雨の時期になると、水分を含んだうす甘いやさしい味を思い出す「さんがりこっこ」です。 多分「下がり」「こっこ」 (こっこは子供や小さいものの愛称)というこの地方の方言的名前でしょう。
グミの一種かと思っていたら、本当の名はウグイスカグラ(鶯神楽)、スイカズラの仲間なのでウグイスカズラと記述されることがありますが、ウグイスの意味は、鶯の鳴く時期と関係し、カグラは「鶯隠れ」が変化したとの説などがあり、この辺の山野に自生し早春に薄紅の可愛い花を咲かせます。
なお、ぐみ(茱萸)は歳時記では秋の季語、秋に熟す小粒な種類の茱萸が使われていますが、夏茱萸としてこの種を使ってはいないようです。また、ウグイスカグラは角川の歳時記には載っていませんが、花の方が春の季語として取り上げられている句もありました。
人棲みし名残りの茱萸の島に熟れ 上村占魚
夏茱萸や村に伝わる長者跡 顎鬚仙人