
お寺には枝垂れ桜が多いですね。
神社には桜が多いのは、御所の左近の桜が山桜なので、神道の神社では山桜が植えられてきた歴史があり、仏教では極楽浄土を表現するために、花の咲く木を境内に植えることが多く、秀吉の醍醐寺の花見のように万人に喜んでもらえる桜を選んだようです。
枝垂れ桜にしたのは、天井から吊るす仏具、天蓋に見立てたという説もあるようで、実際に長野県飯田市にある増泉寺の枝垂れ桜は、天蓋桜という名で知られているそうです。


安国寺(水戸市) 寛文3年(1663)創建の曹洞宗の寺院。本堂前の枝垂れ桜などがライトアップされる桜の名所です。洞林門とよばれる山門と枝垂れ桜の取り合わせが絶妙です。


唯信寺(笠間市) 浄土真宗の寺院、弘長元年(1261)宍戸藩主の三男が稲田在住の親鸞聖人の直弟子となり唯信の法名を賜ったと伝わります。
山門わきの枝垂れ桜の巨木は樹勢が衰えてきましたが、後継樹が育ってきています。


光明寺(笠間市) 天正元年(1573)創建の浄土宗の寺院、山門と境内に大きな枝垂れ桜の古木があります。

完全寺(笠間市) 桜花山の山号を持つ曹洞宗の寺院、元亀元年(1570)の創建です。唯信寺、光明寺と合せて「宍戸の桜三ケ寺」と呼ばれているそうですが、開花が少し遅い品種でしょうか。

番外編、和光院(水戸市)の不動堂です。別名の「血不動尊」は寺伝によると興教大師覚鑁(かくばん)上人の真筆と伝えられる「紙本着色不動明王像」で、身代わり不動として古来より多くの信仰を集めてきたそうです。

大椎が立つ傳燈山和光院明楽寺…康安元年(1361)創建の真言宗の古刹で北関東36不動尊霊場の26番礼所になっています。
ここの過去帳は、「群書類従」第645-647に「常陸国田島村伝燈山和光院過去帳」として載っており、「天正十九季辛卯二月九日 於佐竹太田ニ生害ノ衆、鹿島殿父子、カミ、島崎殿父子、玉造殿父子、中居殿、釜田殿兄弟、アウカ殿、小高殿父子、手賀殿兄弟、武田殿、已上十六人」と佐竹義重・義宣父子に殺害された南方三十三館の9氏16人の名が書かれていることで知られています。

それにしても桜の撮影は難しいですね、曇り空では空の色と一体化してしまう。カメラマンが三脚立てて光線の具合を確かめながら粘っていましたが…。
地に情を降らせししだれ桜かな 能村研三
枝垂桜しだれざる枝なかりけり 草間時彦
咲き満ちてしだれ桜の寡黙かな 武井玲子