顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

ワラビと山の中の城跡

2020年04月18日 | 山歩き
茨城県北部には、秋田移封まで約500年間この地を支配した佐竹氏の出城や館跡が数多くあり、常陸佐竹研究会の「常陸太田市内外の佐竹氏関連城館(平成28年刊)」には119の城館が載っています。

ほとんどが自然の地形を利用した山の中の戦闘用の城で、今はひっそりと林や藪の中に眠っていますが、一部の城址は地元の方により草刈りされたりや案内板が設置されている所もあります。

この時期にその城跡を訪ねると、陽当たりのいい郭あとにはワラビが元気に顔を出しています。
隣国との領地争いや内部抗争の戦いに明け暮れた佐竹一族の城、当時の兵士たちも戦いの合間に籠城食として摘んでいる場面を想像してしまいます。

ワラビの間にハルリンドウ(春竜胆)が咲いていました。群落よりもぽつんと咲いているのを見つけると何とも嬉しくなります。

結構採れたワラビは生きのいいうちにアク抜き作業です。草木灰がいいのですが、仙人は重曹を使います。軽く洗ったワラビをボールに入れて3%の重曹をふりかけ、熱湯をひたひたに沈むようにかけて約6時間で出来上がりです。

これに鰹節と醤油をかければ、ワラビ特有のぬめりとシャキシャキ感が味わえます。おかげで何軒かに春の味をおすそ分けすることができました。

外部との接触自粛、この日も立ち寄ったコンビニでお昼を買った以外、道中誰にも会いませんでした。こんな時期にこういう過ごし方ができる環境にも、感染者や医療従事者には申し訳ない気持ちが同居してしまいますが…。

眼を先へ先へ送りて蕨採る  右城暮石
なほ奥に蕨の長けしひと所  稲畑汀子
籠城の曲輪は狭し蕨摘む  顎鬚仙人