いま水戸市植物公園では「水戸徳川家の蘭展」が開催されています。(1月22日まで)
水戸徳川家14代当主の徳川圀斉氏(明治45年(1912)~昭和61年(1986))は、若い時から蘭の収集と栽培をはじめられ、空襲の時も真っ先に蘭を池に投げ込んだというエピソードが残っています。
特に興味を持ったのは、「貴婦人のスリッパ」の英名をもつパフィオペデルムという蘭で、英国などの有名な蘭園から輸入した優秀な品種を自ら交配して新しい品種を数多く作出したことで知られています。
1957年に、このメドウスィートピューティに出会って限りない白さに衝撃を受け、その後数々の交配を重ね、白く美しい高貴な花を誕生させ注目を集めました。
新しい品種には旧水戸徳川家に因んだ名前が多くみられます。
マユミという名前は、阿武隈山系から続く常陸五山のひとつ真弓山と思われます。水戸徳川家の墓所のある常陸太田市にあります。
マユミの兄弟品種で、マユミカンスイです。
その真弓山では、白い「寒水石」が採れ、当時は水戸藩の御用石で、偕楽園内の吐玉泉の井筒や、弘道館記や水戸八景の石碑などに使われました。
ギンレイ
生前に交配育成され未登録であったものを、1991年向ヶ丘遊園で英国王立園芸協会に新品種登録を行いました。
ユキチドリ
これも、1991年に英国王立園芸協会に新品種登録を行いました。
スワンゴールド カントク
圀斉氏作出のスワンゴールドの兄弟品種です。
スワンゴルド ミユキ
これもスワンゴールドの兄弟品種です。
このヒタチは、常陸?日立?多分常陸の国の方でしょうか。
サクラガワ
偕楽園下を流れる桜川は、光圀公が磯部(桜川市)の桜を移植したので命名されたと言われています。
サンノマル
水戸城三の丸にある藩校弘道館は、当時の姿のまま現存し重要文化財に指定されています。
このフィプスは育てやすいため、白花パフィオの交配種の親として氏が栽培していました。
蘭科協会の初代会長も務めた氏の蘭は、没後向ヶ丘遊園を経て現在水戸植物公園で管理栽培されています。
仙人にはほとんど同じように見えますが、この微妙な違いが愛好家にとってはたまらないのでしょう。
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