季刊の山の雑誌、『やまけいJOY spring』と岳人の『春山』を買ってきました。
お馴染みの山の記事ばかりですが、いつも楽しみで買ってきます。
今年の春号は、これが山の本~?という感じですね~。
かなり女性登山者を意識しているのでは、と思われます
で、『JOY』の中の記事に「山のうんちく」と題して、井上靖氏の『氷壁』についての記事がありました。
『氷壁』のモデルがいる?という記事。
先日、NHKのドラマ『氷壁』が終わりました。
感動したと言う人もたくさんいましたが、山をやる人や原作を読んだ人にはあまり評判がよくなかったようです。
私も最後まで見ましたが、小説とは内容がえらくかけ離れていき、ドラマの最後もあっけなく余韻の残らない終わり方でとても不満でした。
なにより主人公に魅力を感じることができませんでした。
小説は実際にあったザイル切断事件をもとに書かれているということはよく知られていることですが、もう一つ、『風雪のビバーク』の松濤明氏の遭難事件もモデルになっているということでした。
自分の無知を晒すようですが、これは知らなかった・・・。
槍ヶ岳北鎌尾根を登ってから下りてくる松濤氏を上高地で待っていた女性がいて、結局松濤氏が遭難したために会えなかったという実話があったのです。
この話は確か去年(?)、どの雑誌だか忘れましたが読んだ覚えがあります。
小説『氷壁』はザイル切断事件を軸に、事件の真相解明に至る主人公の心の動きや社会との関わり、それと美那子という女性に対し理性と感情の間で揺れる主人公の心の葛藤が描かれています。
古い時代の話ですから、恋愛のモラルも今とは全く違います。
最後も主人公は美那子への思いを断ち切りかおるの元に行く為穂高に登り、そのために帰らぬ人となるのですが、遺書を残した部分は『風雪のビバーク』と重なります。
ザイル事件の関係の方々は小説に恋愛の話を入れるのをあまり好ましく思わなかったようです。
ザイル事件だけであれば社会的な色合いの濃い小説になったのかも知れませんが、遭難事件も絡ませていたということで、作者がここに美那子という人物を登場させた訳が解ったような気がする。<おこがましくて失礼。
別に疑問を感じていた訳ではないけれど、謎がこれで解けた、という気分でした。
美那子という美しい人妻を下界(?)でのもう一つの『氷壁』と掛けていたということもあるのかもしれません。<あくまでド素人の感想。
それと昔の映画『氷壁』では主人公が北鎌尾根で遭難するのですが、原作は穂高なのに何故に北鎌?と思っていましたが、この謎も解けた。
で、そうであればドラマの『氷壁』もやはり最後のあの終わり方、それとゆかり(=かおる)の位置付けが単に主人公に想いを寄せる親友の妹、だけではやはり納得がいかないと思いました。
ともあれ原作『氷壁』はちょっと古いけれど、なかなか素晴らしい作品です。
『風雪のビバーク』の方は遺書の部分を知っているだけで、まだ読んだ事がないので是非近いうちに読んでみたいと思っています。
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