活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

加藤美方さんを偲ぶ

2011-01-21 10:04:19 | 活版印刷のふるさと紀行
 前出の片塩二朗著の『秀英体研究』を読み進んでいるとき、終りの方で「加藤美方」という懐かしい名前が目に留まりました。大日本印刷の取締役でCDCや造本企画室を見ておられ、晩年はリョービで「アステ」の刊行など活字文化のために活躍された方です。
 
 その項には加藤さんが造本企画室にあって秀英舎時代の秀英体明朝活字の父型保存に心を配られた話以外に、癌に侵されて余命を察知されたときに片塩さんに活字見本帳を送って来られたエピソードが書かれておりました。同じころ、私のところにも加藤さんから宅急便で印刷文化史資料がたくさん送られてきたことがありましたので思わず加藤さんを偲びました。

 さて、平成の大改刻のトークでデジタル化拡大にあわせた改刻の歩みを聞き、GGGの会場で改刻されたおびただしい漢字の一覧掲示をみたとき、心の揺れを感じずには居られませんでした。加藤さんが愛された父型・母型工程を伴なう金属活字の秀英体からデジタル秀英体への転換、改革、われわれはその開発の歩みを注視していかねばなりません。

 ところで加藤さんの時代、グラフィックデザイナーでフォントに神経を使っていた方がたくさんおられました。杉浦康平さん、亀倉雄策さん、田中一光さん、枚挙にいとまがありません。グラフィックデザインと秀英体、それをテーマにしたのが、こんどのGGGの
「秀英体100}ですから次回はそのことに。 
 
コメント
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