活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

明朝体という活字書体

2011-01-24 13:50:05 | 活版印刷のふるさと紀行
 GGGの「秀英体100」の会場で地下1階に下りると秀・英・体という3本の活字の大きなレプリカが置いてありました。(写真)デジタルもさることながら、やっぱり「秀英体」というと活字書体や金属活字を連想しがちなアナログ世代にとってはこれで、ほっと安心した次第です。

 活字の美しさはなんといっても明朝体です。毛筆でひとつの文字を書き始めた時、書き終わったときの筆運びが再現されていて、縦線と横線の幅のコントラスト、あるいは撥ねの部分の美しい曲線は読む眼に親しみやすい書体です。

 上海の美華書館の書体を模したといわれる本木の長崎新町活版所の明朝体から始まって
五度ほど改刻されて明治末年に完成されたという平野富二の東京築地活版製造所の明朝体、それに遅れることほぼ十年でおいついたという秀英体、明朝体に限っても書体づくりの歩みには興味深いものがあります。

 築地書体というと種字彫刻師の竹口芳五郎、秀英体の種字彫刻というと沢畑次郎の名前が知られておりますが、私が「秀英体100」で知ったことは平成の大改刻に挑んでいる
現代のアーティストのチャレンジです。恐らく常用漢字だけではとても足りないでしょうから漢字だけでも1万字、それにカタカナ、ひらがなを加えたら大変なかずになります。
明朝体を礼賛しましたが、もちろんゴシックもあります。フレー、フレーと、今後の大改刻活動に声援をおくります。

コメント
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