活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

年賀状と印刷2

2011-01-28 15:58:35 | 活版印刷のふるさと紀行
 36億5500枚 これが平成23年お年玉つき年賀はがきの印刷部数です。さらに、増刷があって実際は38億20245万枚にも及んだというから驚きです。

 お年玉つき年賀状がはじめて発売されたのが昭和24年(1949)ですから郵便年賀状の歴史も60年近くなるわけです。
 しかし、多くの人が年賀状に自分の絵柄を「印刷」するようになったのは、まだ、近年のことです。

 最初のころは「印刷」でも、町の印刷屋さんの既成雛型から選ぶ、あるいは自分でデザインした原稿を印刷屋さんに渡して印刷してもらうのが普通でした。
 もっとも当時でも自分で活字を組んで卓上ベビー印刷機で印刷しているゼイタクな趣味人も友人におりましたが、それは例外にしましょう。

 ところが平成10年代になると、パソコンの普及とプリンターの操作性の向上で自分のオリジナル賀状を自分で印刷する人が急激に増えるようになりました。
 手もとにデータがありませんからわかりませんが、私宛ての本年の年賀状でみますと30パーセント近い数字です。ただし、まず、 インクジェット紙のはがきを選び出し、あとは目視で絵柄から判断をするというきわめて原始的手法を使ってのことですから確実とはいえませんが。

 最近はメロデー入りのメール賀状も増えてきました。年賀状はがきの発売枚数も、はがきに「印刷」する年賀状もこれからは下降線を辿ることは必至です。ただし、自分のオリジナルデザインを自分で印刷する人の割合は増えると予想できます。
あれこれ考えていると、「年賀状と印刷」も身近な日本の印刷文化史研究のテーマのひとつになりそうだと思いました。いかがでしょうか。
 

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年賀状と印刷1

2011-01-28 14:09:29 | 活版印刷のふるさと紀行
 新年、新年といっておりましたのに早くも1月も終わり近く、大雪と噴火、鳥インフルエンザに加えて政局の混迷と実にあわただしい幕開けです。
 
 今年はウサギ年、私は賀状の絵柄に上海万博のついでに中国で求めた恵山泥人形を使いました。
 ウサギはおとなしい動物なので、さぞや2011年は穏やかな年でピョンピョン飛躍する年になりそうだと期待しましたが、年初めで早くもアテがはずれてしまいました。
 
 もっとも神職にある友人の賀状に「辛卯という年は大変厳しく辛いことがある」とありました。うれしくないご託宣でしたが、どうやらハズレではないようです。
 
 さて、年賀状ですが、意外に歴史は古いのです。
 郵便以前は別にして、日本で郵便制度が出来たのが明治4年、明治6年に郵便はがきが登場しますが、はやくも明治14年ごろには郵便局が年賀状事務で大忙しになったといいます。
 このころから一部で「木版」の賀状作りが現れたようですが、元旦の年始周りを終えてから、肉筆でゆっくり書く人が圧倒的に多かったといえます。
 木版の賀状が増えるのは明治33年(1900)に私製はがきが出せるようになってからです。ですから、それからでも100年以上になるわけです。
 木版から活版印刷で賀状を刷る人が多くなるのは戦後のこと、それも商店や会社が出す場合でした。


 
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