活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

グラフィックトライアル2011を見る

2011-06-24 16:04:46 | 活版印刷のふるさと紀行
 毎年、晩春から盛夏にかけて印刷博物館のP&Pギャラリーで開催され
るのがグラフィックトライアルです。今年は大震災のせいもあって、5月
13日から8月7日と例年よりちょっと会期がずれたようです。

 印刷表現の新たな可能性に挑戦するトライアル、「実験」を祖父江慎・
佐藤可士和・名久井直子・山本剛久の4人のクリエーターかなり自由に
奔放に展開しておられます。

 なかで私がいちばん興味をおぼえた佐藤可士和さんの『基準の明確化』
をテーマにしたトライアルをここでは紹介しましょう。

 佐藤さんが求める「基準」とは、たとえば、印刷するときにインキをどれ
くらい盛るか、何回刷り重ねるか、その基準を意味しています。

 したがって展示されているトライアルはある意味では壮絶なものでした。
たとえば、「赤」を通常の濃度で100回まで刷り重ねたらどうなるか。
薄い濃度で11回までする重ねたらこうなる。それぞれ、チャートになって
いました。重ね刷りの指標づくりの実験です。

 インキの量を変えてシアン・マゼンタ・イエローなどを刷ったチャート
もありました。インキの盛り方を標準を真ん中に、超薄から限界ぎりぎりの
超超厚までの6段階からなっておりました。インキの盛りの指標づくりです。

 それ以外にも罫線や文字の印刷の限界やスクリーン線数の印刷検証、イン
キメーカーによる色の差を黒や金や銀でトライアルされていました。

 たしかに、いままで目にしたことのないチャートで興味をそそられまいたが、
実際の印刷の場合、コスト面から実用は不可能でありましょう。残念。
 “百聞一見に如かず”暑さしのぎ?にいかが。下の写真はグラフィックトラ
イアル2011のオープニングの一齣。

コメント
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