活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

本は、これから

2011-06-28 16:54:03 | 活版印刷のふるさと紀行
 『本は、これから』、池澤夏樹さんが編まれた岩波新書の書名です。
2010年11月19日第1刷発行とありますから、まだ、新しい本です。
 
 私は書店では平台に積んであるベストセラーよりも版元別の親書コーナーを見て
回るのが好きです。
 新書の棚で予期しなかったタイトルにぶっかったり、この本の場合のように最近、
自分自身が興味を持っている内容のタイトルにぶつかる楽しみがあるからです。

 さて、この本ですが、グーテンベルクの活版印刷術の発明から5世紀、Kindleだ
とかipadだとか電子端末が次々に発売されるようになって、はたして本はこれから
どうなるか?これに37人の人が意見を述べています。表紙カバーの折り返しに、
《書店・古書店・図書館・取次・装丁・編集、そして練達の書き手・読み手の位置
から、鋭いアンテナの持ち主たちが応える》とありました。


 さすがにみなさん、ある人は慎重に、ある人は象徴的に、ある人は軽妙に、そし
てほとんどの人が体験的に実感をこめて書いておられるので興味深く読みました。
 みなさんに読んでいただきたいので、あえて多くは紹介しませんが、現段階では
紙の本に軍配を上げている人が多いようです。
 資生堂の名誉会長福原さんの「紙の本に囲まれて」に思わずニヤリとしましたし、
どなたでしたか電子本は「いま、どの辺を読んでいるかわからない」という難があ
ると指摘されていました。たしかに、紙の本の場合、読み終わったページの厚み、
残っているページの厚みを指先の触感で無意識で確かめながら読み進む癖は私にも
あります。

 ただ、37人の方のなかで「印刷」や「印刷技術」に触れた方は上野千鶴子さん、
桂川 潤さん、五味太郎さん、外岡秀俊さんと、少人数だったことと、印刷界から
『本はこれから』に選ばれた人がいないのは残念でした。
 なお、かくいう私もipad2購入に踏み切りましたし、著書の1冊を電子版にする
契約をしたところです。
コメント
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