活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

気になるヴァリニャーノとハビアン 5

2011-10-21 09:47:57 | 活版印刷のふるさと紀行
 山本七平さんは『妙貞問答』は仏教や神道を排撃し、論争をしかける
仕組みで、かならずしも全編をキリシタン礼讃で埋めつくしている本では
はないと書いておられたと思いますが、伝道の手引書として書かれている
のですし、ハビアンが入信者を増やすために書いたのは事実です。

 ですからアダムとイブから説き起こして、「洗礼」をすすめ、「十戒」を
守ることが救いに通じるといっています。
 
 ところがです。ハビアンが心変わりしたというのです。 七平さんのいう
ところの「排除」、つまり、ハビアンが1608年(慶長13)にみずから
イエズス会を脱会、「棄教」してしまったというのです。さらに
その12年後、1620年に『破提宇子』(はだいうす)というキリシタン排撃
の本を書き、あまつさえキリシタン弾圧に手を貸したというのです。

 私の気になることは25年間のキリスト教との生活をそんなに簡単に否定
することができるだろうかという疑問です。それもキリシタン大名に入信を
強制された武士などとは違い、イエズス会会員です。

 それよりもなによりも、私はハビアンに千々石ミゲルと同じ匂いを嗅ぐのです。
脱会以前にハビヤンは女子修道会にいた女性と同棲しています。
 ミゲルも失意の日々を同棲生活の中で過ごしました。聖職者に異性問題や結婚が
許されるわけはありません。ヴァリニャーノはインドや日本送りですみましたが、
ハビアンはイエズス会を脱会させられ、『破提宇子』も書かされたものかも知れま
せん。

 棄教者として語り継がれている千々石ミゲル、そしてここで取り上げた不干斎
ハビアン。キリシタンの世紀には気になることがたくさんあります。
コメント (1)
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