活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

モリサワの「手鑑」の鑑賞会

2011-10-22 16:29:26 | 活版印刷のふるさと紀行
 「手鑑」てかがみー聞いたことはありますが、目の当りにするのは初めて
でしたから興味ぶかく鑑賞してきました。

 (株)モリサワの森澤会長の招待で、御夫人の実家、岡山下津井の中西家に
伝わる「手鑑」をじっくり見せていただく会で、安土堂書店の八木正自さん
の懇切な解説付きで至福の時間でした。

 「手鑑」は歴史上高名な天皇とか高僧だとか歌人などの書いた「古筆」の
裂れを貼り並べたもので、郵便切手のストックブックのようなものですが、
その蒐集や流通にはかなりのつてや対価を必要とします。ですから、そんじ
ょそこらに存在するものではなく、由緒ある名家に代々伝わり、遺されて来た
ものが多く、「国宝」になっているものもあります。

 鑑賞会で拝見したのは、聖武天皇の書かれたお経の断簡からはじまり、天皇
家、公家、僧正などなど名筆といわれた人の書いたお経やら書状やら歌集の
写しやらが全部で200点ちょっと、最後から2番目が本阿弥光悦でした。

 八木先生の解説によりますと、「手鑑」は貼られている古筆断簡の真偽はも
ちろん、それが書かれている紙、料紙の素晴らしさにも着目するもので、昨日の
鑑賞会の「手鑑」にも模様を木版刷りした上に金粉をまぶしていて、いまも
眩い色紙などがありました。

 現物は50センチ四方ぐらいの正方形の判型で、帖本は巻子ものというのでし
ょうか経本折になっいますので、長机を4脚ほど並べて、各帖を横に拡げて拝見
する形で本当に間近かに見るみることができました。装丁といいますか表紙も古代
裂れにみるような素晴らしい文様でした。
 まさに江戸時代の「鎌倉から室町、江戸初期までの書のアーカイブ」でした。


 
コメント
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