私的図書館

本好き人の365日

冬支度

2005-11-25 23:54:00 | 本と日常
秋。

山々が薄く紅色に染まる頃、我が家ではもう冬支度が始まる。

地下数十メートルを流れる水脈から、毎日水をくみ上げてくれているポンプに使い古しの毛布をかぶせ、ソケットに電球をまわし入れてその熱で凍結を防止する。

冬の間使う風呂の焚き物用に、製材所からタダ同然でわけてもらうバタ角と呼ばれる木材の切れ端を、チェーンソーで切断し、オガ屑だらけになりながら焚き物小屋に運び入れる。

石油ストーブ用の灯油。
こたつやアンカに使う豆炭。
風呂の火力を強めるために使うオガライト(オガ屑を圧縮して固めた物)は冬の必需品。

同じく風呂の焚きつけに使う、枯れて乾燥した杉の葉はこの時期にたくさん拾っておく。

キノコは採ってきた物を湯がいて塩付け。
畑で採れた白菜は、並べて少し干してから新聞紙に包んで車庫へ。

裏山の杉の木の枝打ちも、木の成長の止まるこの時期にしてしまえば、雪の重みで折れることもない。

保存食作りに、山や畑の手入れと、やることはたくさんある。
昔は稲刈りで出来たワラを使ってぞうりや蓑も作った。(子供の頃、祖母に教えてもらったけれど、もうやり方忘れてしまった。残念)

雪が降って家の中に閉じ込められると、よく祖母はあずきの選別をしていた。
このあずきを使って作ってくれるおしるこは、甘くて、温かくて、子供の頃は楽しみだった。

一人暮らしを始めて、こうして秋を迎えると、そんな実家の暮らしが思い出される。
今頃は、両親が二人で、のんびり冬支度にかかった頃だろうか。





ふるさとは 遠きにありて 想ふもの



              ―室生犀星―