子供にとって大切なものってなんでしょう?
ちょっと厳しいけれど頼りがいのある父親?
どんな時でも必ず自分を受け入れてくれる、そんな優しい母親?
それとも立派な教育?
やっぱり周りの環境?
何でも手に入れることのできる家庭の経済力?
さて、今回ご紹介する本は、題名だけならもうみなさんご存知だと思います♪
父も母も亡くし、甘やかされるだけ甘やかされて育てられ、生まれ故郷のインドから大嫌いなイギリスに渡って来た、とっても裕福だけど、とってもつむじまがりで自分勝手なメアリーお嬢様の登場する物語。
フランシス・エリザ・ホジスン・バーネットの『秘密の花園』です☆
子供たちが美しい自然の中で陽気に笑う、そんな物語になっています*(音符)*
主人公のメアリーはインド生まれ。
家は裕福で何人もの召使いを雇うほどなのですが、小さな女の子なんてちっとも欲しくなかったメアリーのお母さんは、メアリーのことなんてインド人の乳母にまかせっきりで、自分はパーティー三昧の日々。
とにかく奥様のご機嫌をとりたい召使いたちは、メアリーに大人しくしていてもらおうと甘やかし放題。
メアリーもそれが当たり前だと思っているので、自分のわがままさ加減にも気が付きません。
ところが、突然のはやり病で、召使いや乳母はおろか、メアリーの両親までもがあっけなく死んでしまいます。
忘れられたかのように一人子供部屋にいるところを見つけられたメアリー。
やがて彼女は、イギリスのヨークシャーに住むという伯父の屋敷に引き取られることになるのですが、もちろんメアリーは会ったことすらありません。
ヒースの生えるムーアと呼ばれる荒地がどこまでも広がるイギリスの片田舎。
待っていたのは数え切れない程の部屋が並ぶ大きなお屋敷と、どこか影のある伯父。
しかもメアリーの世話をするのは、ヨークシャーなまりの強い、自分の弟や妹と同じようにメアリーを扱う田舎娘のマーサただひとりだというのです。
メアリーが一人では何もできないことに驚くマーサ。
両親に愛されることなく、いつも邪魔者あつかいされてきたメアリーは、このお屋敷でも結局居場所はありません。
ブラブラと広い庭園を歩くうち、変わり者の老人、園丁のベン・ウェザースタッフと出会ったり、コマドリにジロジロ見られたり。
そしていつしか、レンガ壁に囲まれた、どこにも入口にない不思議な花園を見つけるメアリー…
作者のバーネット自身も、幼い時に父親を亡くし、家も破産してしまってアメリカの伯父さんを頼って海を渡っています。
バーネットがメアリーのようにつむじまがりだったかどうかはわかりませんが、たどり着いた先の伯父さんの家も破産してしまったそうなので、かなり苦労はしたみたいです。
もっとも、彼女の場合は存命中に本が売れて有名になり、故郷イギリスで別荘を借りて住んだりしていましたので、それなりにハッピーエンドだったのかも☆
家計を助けるために書き始めたという小説。
『小公子』や『小公女』という名作も、そのような体験をもとに書かれたんでしょうね♪
やせっぽちで顔色が悪く、何から何まで召使いたちにやってもらっていたメアリー。
自分で服を着たこともない彼女は、マーサに鍛えられ、なんとか自分で服も着られるようになり、その弟で(彼女には11人もの弟妹がいます*(星)*)荒地の動物達と仲良しのディコンから、動物のこと、植物や荒地の自然について、色々なことを学んでいきます。
夜な夜な泣き声が聞こえてくる不思議な部屋。
ちっとも家に寄りつかない伯父さま。
10年も閉ざされたままだという「秘密の花園」☆
見捨てられた花園の花たちのために、なれない手つきで世話をしようとするメアリー。
花に水をやり、雑草を抜き、土を堀り起こす。
その度に小さな緑の芽は大きくなり、元気になっていく!
自分の仕事と居場所をみつけ、自分が必要とされていることの喜びに目覚めていくメアリーの変わりよう♪
植物にくわしいディコンに助けられたり、病身のいとこ、コリンとの出会いがあったりして、しだいに顔色も良くなり、体もふっくら子供らしくなっていくメアリー*(ハート3つ)*
いつしか、「秘密の花園」は三人の子供たちにとってなくてはならない存在となっていきます☆
車椅子に乗らなければ外出できないコリン。
メアリーに負けず劣らず(なんたって親戚ですから☆)わがままに育ったコリンでしたが、メアリー同様、自然の美しさに囲まれ、動物や二人の友達とすごすうちに、しだいに子供らしさを取り戻していきます。
実は彼もある悲劇が原因で、父親に疎んじられてきたのでした。
よく働き、よく遊ぶ子供たちは、食欲も旺盛*(音符)*
あんなにオートミールを嫌がっていたメアリーが、おかわりまでするんだから、マーサの驚きようったらありません。
あんまりよく食べると「秘密の花園」のことがバレるのでは、と心配して食べたいご飯を我慢するメアリーとコリンが可愛い*(ハート3つ)*
そんな時、ディコンのお母さんがしぼりたての牛乳と焼きたてのパンを差し入れしてくれるのですが、これがとっても美味しそうなんですよね☆
実は、この「花園」は、コリンのお母さん、つまりメアリーを引き取ってくれた伯父さんの奥さんが、若くして亡くなるきっかけとなった場所でした。
それ以来、妻の面影を息子の、コリンの中に見るのが忍びなくて、伯父さんは家に寄りつかなかったのです。
「花園」を愛してやまない子供たちは、やがて、この伯父の凍ったハートにも、変化をもたらすことになります。
う~ん、自然描写の臨場感あふれる描写や、子供たちの生き生きと様子もこの小説の見どころなんですが、この伯父様と亡くなった奥さん、そしてコリンの物語もすごくいいんですよね*(音符)*
細かく説明したいのは山々ですが、そこはやっぱりご自身の目でお確かめ下さい♪
どんな環境に生きようと、子供たちに必要なのは、自分を必要としてくれる場所と、いっしょに駆け回り、笑うことのできる友達なのではないでしょうか。
子供って案外、生きる力を自分の内に秘めているものなんですよ。
…大人が奪い去ってしまわないかぎり。
そんな風に、この小説を読んで思いました。
メアリーが、コリンが、ディコンが、思いっきり笑っている場面のなんと愉快なこと♪
読んでいると、こちらまで元気になってきます*(びっくり2)*
たくさんの花や植物、動物たちも登場するイギリスを舞台にした素敵な物語!
ガーデニング好きな方にもたまらない内容になっていますよ♪
ぜひ、機会があったらお手に取ってみて下さい。
オススメです☆
バーネット 著
龍口 直太郎 訳
新潮文庫
ちょっと厳しいけれど頼りがいのある父親?
どんな時でも必ず自分を受け入れてくれる、そんな優しい母親?
それとも立派な教育?
やっぱり周りの環境?
何でも手に入れることのできる家庭の経済力?
さて、今回ご紹介する本は、題名だけならもうみなさんご存知だと思います♪
父も母も亡くし、甘やかされるだけ甘やかされて育てられ、生まれ故郷のインドから大嫌いなイギリスに渡って来た、とっても裕福だけど、とってもつむじまがりで自分勝手なメアリーお嬢様の登場する物語。
フランシス・エリザ・ホジスン・バーネットの『秘密の花園』です☆
子供たちが美しい自然の中で陽気に笑う、そんな物語になっています*(音符)*
主人公のメアリーはインド生まれ。
家は裕福で何人もの召使いを雇うほどなのですが、小さな女の子なんてちっとも欲しくなかったメアリーのお母さんは、メアリーのことなんてインド人の乳母にまかせっきりで、自分はパーティー三昧の日々。
とにかく奥様のご機嫌をとりたい召使いたちは、メアリーに大人しくしていてもらおうと甘やかし放題。
メアリーもそれが当たり前だと思っているので、自分のわがままさ加減にも気が付きません。
ところが、突然のはやり病で、召使いや乳母はおろか、メアリーの両親までもがあっけなく死んでしまいます。
忘れられたかのように一人子供部屋にいるところを見つけられたメアリー。
やがて彼女は、イギリスのヨークシャーに住むという伯父の屋敷に引き取られることになるのですが、もちろんメアリーは会ったことすらありません。
ヒースの生えるムーアと呼ばれる荒地がどこまでも広がるイギリスの片田舎。
待っていたのは数え切れない程の部屋が並ぶ大きなお屋敷と、どこか影のある伯父。
しかもメアリーの世話をするのは、ヨークシャーなまりの強い、自分の弟や妹と同じようにメアリーを扱う田舎娘のマーサただひとりだというのです。
メアリーが一人では何もできないことに驚くマーサ。
両親に愛されることなく、いつも邪魔者あつかいされてきたメアリーは、このお屋敷でも結局居場所はありません。
ブラブラと広い庭園を歩くうち、変わり者の老人、園丁のベン・ウェザースタッフと出会ったり、コマドリにジロジロ見られたり。
そしていつしか、レンガ壁に囲まれた、どこにも入口にない不思議な花園を見つけるメアリー…
作者のバーネット自身も、幼い時に父親を亡くし、家も破産してしまってアメリカの伯父さんを頼って海を渡っています。
バーネットがメアリーのようにつむじまがりだったかどうかはわかりませんが、たどり着いた先の伯父さんの家も破産してしまったそうなので、かなり苦労はしたみたいです。
もっとも、彼女の場合は存命中に本が売れて有名になり、故郷イギリスで別荘を借りて住んだりしていましたので、それなりにハッピーエンドだったのかも☆
家計を助けるために書き始めたという小説。
『小公子』や『小公女』という名作も、そのような体験をもとに書かれたんでしょうね♪
やせっぽちで顔色が悪く、何から何まで召使いたちにやってもらっていたメアリー。
自分で服を着たこともない彼女は、マーサに鍛えられ、なんとか自分で服も着られるようになり、その弟で(彼女には11人もの弟妹がいます*(星)*)荒地の動物達と仲良しのディコンから、動物のこと、植物や荒地の自然について、色々なことを学んでいきます。
夜な夜な泣き声が聞こえてくる不思議な部屋。
ちっとも家に寄りつかない伯父さま。
10年も閉ざされたままだという「秘密の花園」☆
見捨てられた花園の花たちのために、なれない手つきで世話をしようとするメアリー。
花に水をやり、雑草を抜き、土を堀り起こす。
その度に小さな緑の芽は大きくなり、元気になっていく!
自分の仕事と居場所をみつけ、自分が必要とされていることの喜びに目覚めていくメアリーの変わりよう♪
植物にくわしいディコンに助けられたり、病身のいとこ、コリンとの出会いがあったりして、しだいに顔色も良くなり、体もふっくら子供らしくなっていくメアリー*(ハート3つ)*
いつしか、「秘密の花園」は三人の子供たちにとってなくてはならない存在となっていきます☆
車椅子に乗らなければ外出できないコリン。
メアリーに負けず劣らず(なんたって親戚ですから☆)わがままに育ったコリンでしたが、メアリー同様、自然の美しさに囲まれ、動物や二人の友達とすごすうちに、しだいに子供らしさを取り戻していきます。
実は彼もある悲劇が原因で、父親に疎んじられてきたのでした。
よく働き、よく遊ぶ子供たちは、食欲も旺盛*(音符)*
あんなにオートミールを嫌がっていたメアリーが、おかわりまでするんだから、マーサの驚きようったらありません。
あんまりよく食べると「秘密の花園」のことがバレるのでは、と心配して食べたいご飯を我慢するメアリーとコリンが可愛い*(ハート3つ)*
そんな時、ディコンのお母さんがしぼりたての牛乳と焼きたてのパンを差し入れしてくれるのですが、これがとっても美味しそうなんですよね☆
実は、この「花園」は、コリンのお母さん、つまりメアリーを引き取ってくれた伯父さんの奥さんが、若くして亡くなるきっかけとなった場所でした。
それ以来、妻の面影を息子の、コリンの中に見るのが忍びなくて、伯父さんは家に寄りつかなかったのです。
「花園」を愛してやまない子供たちは、やがて、この伯父の凍ったハートにも、変化をもたらすことになります。
う~ん、自然描写の臨場感あふれる描写や、子供たちの生き生きと様子もこの小説の見どころなんですが、この伯父様と亡くなった奥さん、そしてコリンの物語もすごくいいんですよね*(音符)*
細かく説明したいのは山々ですが、そこはやっぱりご自身の目でお確かめ下さい♪
どんな環境に生きようと、子供たちに必要なのは、自分を必要としてくれる場所と、いっしょに駆け回り、笑うことのできる友達なのではないでしょうか。
子供って案外、生きる力を自分の内に秘めているものなんですよ。
…大人が奪い去ってしまわないかぎり。
そんな風に、この小説を読んで思いました。
メアリーが、コリンが、ディコンが、思いっきり笑っている場面のなんと愉快なこと♪
読んでいると、こちらまで元気になってきます*(びっくり2)*
たくさんの花や植物、動物たちも登場するイギリスを舞台にした素敵な物語!
ガーデニング好きな方にもたまらない内容になっていますよ♪
ぜひ、機会があったらお手に取ってみて下さい。
オススメです☆
バーネット 著
龍口 直太郎 訳
新潮文庫