あなたは、人生は「残酷」だと思いますか?
生まれた時から、もしかすると生まれる前から、それは始まっているのかも知れません。
なぜ私がこんな目に…
どうして、私がこんなことに…
人生は不公平だ。
たとえそれを人が「運命」だと言ったとしても、私は認めない。
そんなのは悲しすぎる。
…もし、この運命を変えられるとしたら、私は変えたい。
失ったものを取り戻したい。
どんなことと引き換えにしても。
さて、今回は、ベストセラー作家、宮部みゆきさんの*(キラキラ)*『ブレイブ・ストーリー』*(キラキラ)*をご紹介します☆
最初に断わっておきますが、宮部みゆきさん初体験という方、心臓はお強いですか?
どこまで「残酷」に耐えられますか?
特に、子ども達がそんな目に遭うのを、ジッと耐えられますか?
ラストまで読む自信のない方にはこの本はオススメしません。
小学生の主人公が、現実世界から異世界に旅立ち、トカゲ男や猫の女の子と冒険を繰り広げる、ファンタジーと言えばそう言えなくもない物語ですが、前半の現実世界の部分だけを読んで力尽きてしまうと、この物語の「残酷」さだけがあなたの心に残ってしまうかも知れません。
そうなると、精神衛生上よろしくない。
けっこう長編ですが、最後まで読むと(自分自身に)約束してからどうかお読み下さい。
実は私も宮部みゆきさんの作品は初めてでした。
人間の心には、誰でも多かれ少なかれ、あまり大きな声では言えないものってあるじゃないですか。
それは憎しみだったり、恨みだったり、欲望だったりするわけですが、それは社会で生きるうちに自然と”建前”ってやつを覚えて、口には出さないわけです。
それをこの人は作品に書いてしまう。
それも強烈な描写で。
主人公の”ワタル”は作者の被害者です。
小学5年生で、ゲームが好きで、忙しいお父さんと、ちょっと小言の多いお母さんが大好き。
学校で「幽霊ビル」のウワサ話をしたり、夏休みに千葉の伯父さんのところに遊びに行く計画を立てたり、当たり前にこの生活がずっと続くと、いや、そんなことさえ考える必要もないくらい小学生を満喫している男の子。
そんな小学生に、宮部みゆきは突然親の離婚問題を押し付けるのです。
…お父さんに女の人がいる。お父さんはその女の人と暮らす。
僕とお母さんを捨てて。
人生は残酷なものです。
異世界で、自分の父親そっくりの人物からワタルはこう言われます。
「子供だから何だというのだ! もともと俺が与えてやった命じゃないか! 」
父親が家を出て行き、母親は憔悴しきっている。
そしてついに相手の女性に逆上した母親はワタルと…
前のようなお父さんお母さんを取り戻したい!
もし、この現実を、運命を変えられるのなら…
ワタルの前に現れた転校生ミツル。
彼も残酷な運命を背負わされた少年です。
彼も自分の親によってワタル以上の運命を…
「僕は自分の運命を変えたい」
自分たちの運命を変えるため、失ったものを取り戻すために、ワタルとミツルは異世界「幻界(ヴィジョン)」にそれぞれ旅立ちます。
「運命を変えたい…」このことを言わせるために、ここまで小学生を追い詰めていいの?
読んでいてそう思わせるような展開。
正直ヒドイと思いました。
確かに人間は何でもできます。
幼児虐待。いじめ。差別。子殺し、親殺し。
悲惨な事件が起きると、「こんなことをするなんて、人間じゃない!」というコメントをする人がいますが、もちろん人間だからするんです。
それはみんなわかっている。
わかっていても、建前で「これこそ人間だ」とは言わない。
そこをこの小説は突いてくる。
物語の中で、様々な選択を迫られるワタル。
異世界で出会った人々を助けたいと思うワタルに対して、ミツルは「お人好しなんだな」とバッサリ切り捨てます。
ミツルにとって「幻界」の人々はただの影。
彼にとって大切なのは、現実の世界での運命を変えること。
そのためには「幻界」なんて、どうなってもいいのです。
大切なものを手に入れるためなら、何をしてもいいの?
前半と打って変って、この異世界はワタルの遊んでいたまさにゲームの世界。
怪物(モンスター)は襲ってくるは、ドラゴンは火を吐くは、ワタルも「勇者の剣」を持って戦います。
ワタルの仲間になる水人(トカゲ男?)のキ・キーマとネ族(猫人間)の少女、ミーナが登場して、この物語もようやく一安心☆
いよいよ冒険の旅が始まります♪
ミツルとワタル。
どちらか先に五つの宝玉を集めた者が、運命の塔にいる女神様に願いをかなえてもらえる。
宝玉のためなら、森を焼き払うこともためらわないミツル。
ワタルは仲間と共に、騙されたり、利用されたり、罠にはめられたりしながら、それでも旅を続けます。
魔導士として強大な力を手に入れるミツルに対して、なんとも心もとない見習い勇者のワタル。
果たしてどちらの願いが叶えられるのか?
人生は時に残酷です。
それは、確かに子どもにでも容赦なく襲いかかってきます。
それを前半直視できなかったのは、私にそれを見つめる勇気がなかったからかも。
「勇気(ブレイブ)」って何でしょう?
確かに人生は残酷です。
けれど、人間は、それを乗り越えていく強さをきっと持っているはず。
誰の心にも、怒り、憎しみ、恨み、ねたみ、欲望は渦巻いています。
もし、自分が世界でたった一人で、他人なんか関係ないと思っていたら、その感情を誰にぶつけても気にもならないでしょう。
でも、本当にあなたはそう思っていますか?
どこかで、違う自分を望み、どこかであきらめてしまったのではありませんか?
今の自分を守ることが、あなたの勇気ですか?
…勇気って何でしょう?
では、どうぞ最後までお読みになって、ワタルの選んだ世界を、ご覧下さい☆
宮部 みゆき 著
角川文庫
生まれた時から、もしかすると生まれる前から、それは始まっているのかも知れません。
なぜ私がこんな目に…
どうして、私がこんなことに…
人生は不公平だ。
たとえそれを人が「運命」だと言ったとしても、私は認めない。
そんなのは悲しすぎる。
…もし、この運命を変えられるとしたら、私は変えたい。
失ったものを取り戻したい。
どんなことと引き換えにしても。
さて、今回は、ベストセラー作家、宮部みゆきさんの*(キラキラ)*『ブレイブ・ストーリー』*(キラキラ)*をご紹介します☆
最初に断わっておきますが、宮部みゆきさん初体験という方、心臓はお強いですか?
どこまで「残酷」に耐えられますか?
特に、子ども達がそんな目に遭うのを、ジッと耐えられますか?
ラストまで読む自信のない方にはこの本はオススメしません。
小学生の主人公が、現実世界から異世界に旅立ち、トカゲ男や猫の女の子と冒険を繰り広げる、ファンタジーと言えばそう言えなくもない物語ですが、前半の現実世界の部分だけを読んで力尽きてしまうと、この物語の「残酷」さだけがあなたの心に残ってしまうかも知れません。
そうなると、精神衛生上よろしくない。
けっこう長編ですが、最後まで読むと(自分自身に)約束してからどうかお読み下さい。
実は私も宮部みゆきさんの作品は初めてでした。
人間の心には、誰でも多かれ少なかれ、あまり大きな声では言えないものってあるじゃないですか。
それは憎しみだったり、恨みだったり、欲望だったりするわけですが、それは社会で生きるうちに自然と”建前”ってやつを覚えて、口には出さないわけです。
それをこの人は作品に書いてしまう。
それも強烈な描写で。
主人公の”ワタル”は作者の被害者です。
小学5年生で、ゲームが好きで、忙しいお父さんと、ちょっと小言の多いお母さんが大好き。
学校で「幽霊ビル」のウワサ話をしたり、夏休みに千葉の伯父さんのところに遊びに行く計画を立てたり、当たり前にこの生活がずっと続くと、いや、そんなことさえ考える必要もないくらい小学生を満喫している男の子。
そんな小学生に、宮部みゆきは突然親の離婚問題を押し付けるのです。
…お父さんに女の人がいる。お父さんはその女の人と暮らす。
僕とお母さんを捨てて。
人生は残酷なものです。
異世界で、自分の父親そっくりの人物からワタルはこう言われます。
「子供だから何だというのだ! もともと俺が与えてやった命じゃないか! 」
父親が家を出て行き、母親は憔悴しきっている。
そしてついに相手の女性に逆上した母親はワタルと…
前のようなお父さんお母さんを取り戻したい!
もし、この現実を、運命を変えられるのなら…
ワタルの前に現れた転校生ミツル。
彼も残酷な運命を背負わされた少年です。
彼も自分の親によってワタル以上の運命を…
「僕は自分の運命を変えたい」
自分たちの運命を変えるため、失ったものを取り戻すために、ワタルとミツルは異世界「幻界(ヴィジョン)」にそれぞれ旅立ちます。
「運命を変えたい…」このことを言わせるために、ここまで小学生を追い詰めていいの?
読んでいてそう思わせるような展開。
正直ヒドイと思いました。
確かに人間は何でもできます。
幼児虐待。いじめ。差別。子殺し、親殺し。
悲惨な事件が起きると、「こんなことをするなんて、人間じゃない!」というコメントをする人がいますが、もちろん人間だからするんです。
それはみんなわかっている。
わかっていても、建前で「これこそ人間だ」とは言わない。
そこをこの小説は突いてくる。
物語の中で、様々な選択を迫られるワタル。
異世界で出会った人々を助けたいと思うワタルに対して、ミツルは「お人好しなんだな」とバッサリ切り捨てます。
ミツルにとって「幻界」の人々はただの影。
彼にとって大切なのは、現実の世界での運命を変えること。
そのためには「幻界」なんて、どうなってもいいのです。
大切なものを手に入れるためなら、何をしてもいいの?
前半と打って変って、この異世界はワタルの遊んでいたまさにゲームの世界。
怪物(モンスター)は襲ってくるは、ドラゴンは火を吐くは、ワタルも「勇者の剣」を持って戦います。
ワタルの仲間になる水人(トカゲ男?)のキ・キーマとネ族(猫人間)の少女、ミーナが登場して、この物語もようやく一安心☆
いよいよ冒険の旅が始まります♪
ミツルとワタル。
どちらか先に五つの宝玉を集めた者が、運命の塔にいる女神様に願いをかなえてもらえる。
宝玉のためなら、森を焼き払うこともためらわないミツル。
ワタルは仲間と共に、騙されたり、利用されたり、罠にはめられたりしながら、それでも旅を続けます。
魔導士として強大な力を手に入れるミツルに対して、なんとも心もとない見習い勇者のワタル。
果たしてどちらの願いが叶えられるのか?
人生は時に残酷です。
それは、確かに子どもにでも容赦なく襲いかかってきます。
それを前半直視できなかったのは、私にそれを見つめる勇気がなかったからかも。
「勇気(ブレイブ)」って何でしょう?
確かに人生は残酷です。
けれど、人間は、それを乗り越えていく強さをきっと持っているはず。
誰の心にも、怒り、憎しみ、恨み、ねたみ、欲望は渦巻いています。
もし、自分が世界でたった一人で、他人なんか関係ないと思っていたら、その感情を誰にぶつけても気にもならないでしょう。
でも、本当にあなたはそう思っていますか?
どこかで、違う自分を望み、どこかであきらめてしまったのではありませんか?
今の自分を守ることが、あなたの勇気ですか?
…勇気って何でしょう?
では、どうぞ最後までお読みになって、ワタルの選んだ世界を、ご覧下さい☆
宮部 みゆき 著
角川文庫