最初に人の死に直面したのは小学生の頃。
わけもわからず、友達の父親の葬儀に参列した。
高校生、同じ剣道部の女の子が交通事故で亡くなった。
ほんの一時間前まで、彼女は元気だった。
今も、その時の気持を書いた日記はとってある。
高校を卒業した頃、伯母が乳癌のために若くして逝った。
大好きだった。
成人し、母方の祖父が死に、何年かして父方の祖母が死んだ。
祖父は明治生まれ。祖母は大正。
それぞれに、もっと何かしてあげられたんじゃないかと思いかえす時がある。
祖母は、私の手を握って「死にたくない」と泣いた。
白血病で亡くなった同級生の女の子はまだ二十代。
長くてキレイな黒髪が印象的な子だった。
小学生の時埋めたタイムカプセルを三十歳になって掘り返した。
彼女は友達のFちゃんと、「ずっと仲良しでいたい」と書いていた。
三十歳になったFちゃんもその場にいた。
白血病のことを私たち同級生に知らせてくれたのもFちゃんだった。
そんなことがあった。
多分、これからもたくさんそんな場面に出くわすだろう。
「気持の整理」なんて言葉じゃ言い表わせない。
でも、私は今日も生きている。
さて、ちょっと関係のない自分のことを書いてしまいました☆
今回ご紹介したい本とは直接何の関係もありません。
今回ご紹介するのは、大切に読みたい、そんな気持にさせてくれる、とても素敵な言葉たちで綴られた一冊。
中村航さんの*(キラキラ)*『100回泣くこと』*(キラキラ)*です☆
誓いの言葉ってご存知ですか?
健やかなるときも
病めるときも
喜びのときも
悲しみのときも
富めるときも
貧しきときも
これを愛し
これを敬い
これを慰め
これを助け
死が二人を別つまで
共に生きることを
誓いますか
ご存知ですよね♪
結婚式の時に新郎と新婦がお互いに誓いあう言葉。
あれはたんなる形式だよ、なんて高をくくってる旦那さんいませんか?(笑)
でも、本当に、じっくり、ゆっくり噛みしめてみると、とても心にしみてくる言葉です。
共に生きる…それはとっても貴重な奇跡みたいな偶然☆
「やあ」と、彼女は言った。「嫁に来たよ」
主人公は若い男女。
それぞれに仕事を持ち、一緒に食事をし、たまにデートに出かける。
実家で飼っている犬が調子が悪いと聞くと一緒になって心配し、その犬を乗せてやるために、ホコリをかぶっていたバイクを一緒に磨く。
オイルで黒く汚れながら、牛丼を食べながら。
「…結婚しようか」「うん」
ていねいにていねいに暮らしていく二人。
結婚を決めた記念日も、彼氏が六月、彼女が十一日を覚えることにして、二人で六月十一日をつなぎ合わせる。
読んでいて、これ使えるなぁ~と思わず感心☆
結婚の前に、「練習」をしようということになって、彼女が彼氏のアパートにやって来る。
「やあ」「嫁に来たよ」
朝の食事は彼はコーヒー。彼女は牛乳。
いつしか食卓にはカフェオレが並んでる♪
夕食も交代制。
皿洗いはジャンケン。
ちゃんと反省会もする。(あくまで練習だから)
料理のレパートリーの少ない彼に、「このあいだの牛スジカレーは、とっても美味しいかった」「うん、また作るよ」「すぐに作らないで」「忘れたころに作って」
…(笑)
ごく普通の男女の恋愛小説。
でもとっても二人が新鮮に見えてしまうのは、この小説の文章、言葉の一つ一つがすごくいいから♪
言葉、文字、誰もが知っている単語をただ並べかえただけで、こんなにも素敵な世界を描けるのか! と感嘆してしまいました。
それはもしかしたら、私たちの生活にもいえるのかも…
ただの町並み。
ただの通勤電車。
ただの日常。
でも本当は、それはとっても大切で、すごいことなのかも知れない。
ちょっとした風邪で、横になる彼女。
いつもは三日で治ると言う。
モグラの馬力を計算し、自分の体重を七.六ストーンと表現する彼女。(イギリスの伝統では体重をストーン〈石〉で表す。一ストーンは6.35㎏)
こんな生活が、ずっと続くと思っていた。
彼女が口にする”なまねこ”とか、絶対に開かない箱とか、バイクのキャブレターだとか、コーヒーの入れ方だとか、二人の間に流れる空気が好き☆
ガスステーションの加藤さんとか、試作室の石山さんとか、カッコイイ!
それだから、それだからこそ、主人公の彼の言葉が胸に迫ります。
「病はあまりに理不尽だった。」
健やかなるときも
病めるときも
死が二人を別つまで
共に生きることを誓いますか?
どうぞ、100回泣いて下さい。
泣いて泣いて、泣いて下さい。
”交際3年。
求婚済み。
ここが世界の頂点だと思っていた。”
本当に、言葉のつながり、表現が素敵な小説です。
こういう世界は映画なんかでは表せないかも。
ゆっくりと、コーヒの一滴一滴がフィルターを通して落ちていくように、心にしみ込んでいきます。
静かに集中して読みたい物語です。
あなたは生きることは無意味だと思いますか?
何のために生きるのか、そう考えていませんか?
でも、あなたは生きています。
いま、あなたは生きているんです。
どうか、そのことを忘れないで…
とても大切にしたい一冊です☆
中村 航 著
小学館
わけもわからず、友達の父親の葬儀に参列した。
高校生、同じ剣道部の女の子が交通事故で亡くなった。
ほんの一時間前まで、彼女は元気だった。
今も、その時の気持を書いた日記はとってある。
高校を卒業した頃、伯母が乳癌のために若くして逝った。
大好きだった。
成人し、母方の祖父が死に、何年かして父方の祖母が死んだ。
祖父は明治生まれ。祖母は大正。
それぞれに、もっと何かしてあげられたんじゃないかと思いかえす時がある。
祖母は、私の手を握って「死にたくない」と泣いた。
白血病で亡くなった同級生の女の子はまだ二十代。
長くてキレイな黒髪が印象的な子だった。
小学生の時埋めたタイムカプセルを三十歳になって掘り返した。
彼女は友達のFちゃんと、「ずっと仲良しでいたい」と書いていた。
三十歳になったFちゃんもその場にいた。
白血病のことを私たち同級生に知らせてくれたのもFちゃんだった。
そんなことがあった。
多分、これからもたくさんそんな場面に出くわすだろう。
「気持の整理」なんて言葉じゃ言い表わせない。
でも、私は今日も生きている。
さて、ちょっと関係のない自分のことを書いてしまいました☆
今回ご紹介したい本とは直接何の関係もありません。
今回ご紹介するのは、大切に読みたい、そんな気持にさせてくれる、とても素敵な言葉たちで綴られた一冊。
中村航さんの*(キラキラ)*『100回泣くこと』*(キラキラ)*です☆
誓いの言葉ってご存知ですか?
健やかなるときも
病めるときも
喜びのときも
悲しみのときも
富めるときも
貧しきときも
これを愛し
これを敬い
これを慰め
これを助け
死が二人を別つまで
共に生きることを
誓いますか
ご存知ですよね♪
結婚式の時に新郎と新婦がお互いに誓いあう言葉。
あれはたんなる形式だよ、なんて高をくくってる旦那さんいませんか?(笑)
でも、本当に、じっくり、ゆっくり噛みしめてみると、とても心にしみてくる言葉です。
共に生きる…それはとっても貴重な奇跡みたいな偶然☆
「やあ」と、彼女は言った。「嫁に来たよ」
主人公は若い男女。
それぞれに仕事を持ち、一緒に食事をし、たまにデートに出かける。
実家で飼っている犬が調子が悪いと聞くと一緒になって心配し、その犬を乗せてやるために、ホコリをかぶっていたバイクを一緒に磨く。
オイルで黒く汚れながら、牛丼を食べながら。
「…結婚しようか」「うん」
ていねいにていねいに暮らしていく二人。
結婚を決めた記念日も、彼氏が六月、彼女が十一日を覚えることにして、二人で六月十一日をつなぎ合わせる。
読んでいて、これ使えるなぁ~と思わず感心☆
結婚の前に、「練習」をしようということになって、彼女が彼氏のアパートにやって来る。
「やあ」「嫁に来たよ」
朝の食事は彼はコーヒー。彼女は牛乳。
いつしか食卓にはカフェオレが並んでる♪
夕食も交代制。
皿洗いはジャンケン。
ちゃんと反省会もする。(あくまで練習だから)
料理のレパートリーの少ない彼に、「このあいだの牛スジカレーは、とっても美味しいかった」「うん、また作るよ」「すぐに作らないで」「忘れたころに作って」
…(笑)
ごく普通の男女の恋愛小説。
でもとっても二人が新鮮に見えてしまうのは、この小説の文章、言葉の一つ一つがすごくいいから♪
言葉、文字、誰もが知っている単語をただ並べかえただけで、こんなにも素敵な世界を描けるのか! と感嘆してしまいました。
それはもしかしたら、私たちの生活にもいえるのかも…
ただの町並み。
ただの通勤電車。
ただの日常。
でも本当は、それはとっても大切で、すごいことなのかも知れない。
ちょっとした風邪で、横になる彼女。
いつもは三日で治ると言う。
モグラの馬力を計算し、自分の体重を七.六ストーンと表現する彼女。(イギリスの伝統では体重をストーン〈石〉で表す。一ストーンは6.35㎏)
こんな生活が、ずっと続くと思っていた。
彼女が口にする”なまねこ”とか、絶対に開かない箱とか、バイクのキャブレターだとか、コーヒーの入れ方だとか、二人の間に流れる空気が好き☆
ガスステーションの加藤さんとか、試作室の石山さんとか、カッコイイ!
それだから、それだからこそ、主人公の彼の言葉が胸に迫ります。
「病はあまりに理不尽だった。」
健やかなるときも
病めるときも
死が二人を別つまで
共に生きることを誓いますか?
どうぞ、100回泣いて下さい。
泣いて泣いて、泣いて下さい。
”交際3年。
求婚済み。
ここが世界の頂点だと思っていた。”
本当に、言葉のつながり、表現が素敵な小説です。
こういう世界は映画なんかでは表せないかも。
ゆっくりと、コーヒの一滴一滴がフィルターを通して落ちていくように、心にしみ込んでいきます。
静かに集中して読みたい物語です。
あなたは生きることは無意味だと思いますか?
何のために生きるのか、そう考えていませんか?
でも、あなたは生きています。
いま、あなたは生きているんです。
どうか、そのことを忘れないで…
とても大切にしたい一冊です☆
中村 航 著
小学館