10月27日から11月9日までは読書週間でした。
今年の標語は「信じよう、本の力」
この期間中に読んだ本の中で面白かったのは、まきりえこさんの、ブログで大人気だった育児マンガ、
『小学生男子(ダンスィ)のトリセツ』(扶桑社)
いやぁ、笑った笑った!
トリセツとは「取り扱い説明書」のこと。
初めて男の子を育てるお母さんにはうってつけかも♪
男の子の熱を測る手段として、体温計以外に「ぞうさん」(クレヨンしんちゃん参照)の状態で判断するなんて知らんかった!
デロ~ンとしてたら熱がある、とか(笑)
服装は気にしない、耳はちくわ(言われてもすぐ忘れる)、下ネタ大好きで、急に甘えん坊…
生まれ変わったら、またお母さんの子供に生まれてこれるか本気で心配している小学生がカワイイ!
探しやすいように同じ顔で先に生まれててね、とお願いしたり、それを聞いた母が(今度はもう少し美人に生まれたいわ…)と思ってみたり☆
「予約されたので来世も貧乳決定です」という一言には笑ってしまった♪
もう一冊は川上弘美さんの本。
『神様2011』(講談社)
1993年に発表されたデビュー作「神様」を、今度の福島原発事故を受けて改編、発表された作品。
単行本では、もとのままの作品と改編したもの、両方読めるようになっています。
もともとのお話も好きでした。
アパートの隣人である”くま”と散歩に出かけるという、日常の中にちょっと不思議のまじったお話。
今回の「2011」では、ストーリーはほとんど同じですが、「あのこと」が起きたことにより、日常生活に変化が見られます。
シュノーケルとサンダルを持っていた親子が防護服を着た二人連れに変わっていたり、”くま”が魚を獲ってくれるのだけれど、放射性物質の含有量に気を使ったり、アパートに帰った二人は、慣れたかんじでガイガーカウンターで放射線量を測ったりします。
”くま”に魚の放射性物質の含有量についていわれると、ここで暮らすと決めた時から覚悟はできているから気にしない、と答える主人公。
外出から帰るとシャワーを浴びて、外部被爆と内部被爆の推定被爆線量を日記に書き込み、1年間の総被爆線量を計算して眠りにつく。
日常の中に存在する放射線。
「原子力利用にともなう危険を警告する、という大上段にかまえた姿勢で書いたのでは、まったくありません」とあとがきで語る作者。
人々を苦しめる事故への怒り。
しかしそれは同時に何も知らずにきてしまった自分への怒りでもある…
「日常は続いてゆく」
前の作品を知っているだけに、「変わってしまう日常」というのが印象的でした。
とても考えさせられました。
テレビで福島原発を廃炉にするには30年はかかるというニュースを見ました(11/9)。
廃炉までの工程表というのを作るにあたり、国の報告書というのが出されたそうです。
それによると、核燃料プールから燃料を取り出すのを開始するのが3年以内。
溶け出した燃料を回収することを始めるのは、10年以内。
セシウム137の半減期は30年。
ウラン235の半減期は約7億年です。
その間も人間は生きていかなきゃならないんですよね。
原発事故を防ぐためにかかんに戦う人々をあつかった映画や小説ってたくさんありました。
「サマーウォーズ」(監督・細田守)や『天空の蜂』(東野圭吾・著)などなど。
映画や小説の中ではある意味「原発事故」=「世界の終り」だったのに…
それでも日常は続いていく。
私たちにはこの世界しかないのだから。
人間の作った「安全神話」のなんと浅はかでもろかったことか。
『神様2011』、とてもよかったです。