私的図書館

本好き人の365日

『森崎書店の日々』

2011-01-23 12:04:00 | 本と日常
走り続ける人生もあれば、立ち止まることを必要とする人生だってある。

昨年、2010年に映画化もされた八木沢里志さんの、

*(キラキラ)*『森崎書店の日々』*(キラキラ)*(小学館文庫)

を読みました。

最近、映画化された作品とか注目されている作品ばっかり読んでるな。
いつの間に嗜好がミーハー路線になったんだ?

それはともかく、恋人だと思っていた彼氏にフラれ、仕事も辞めて一人ウツウツとした日々を送っていた女性が、叔父の誘いで彼の経営する古本屋の2階に転がり込みます。

場所は神保町。本の聖地。

周りはその数世界一といわれるありとあらゆる種類の本をあつめた本屋、本屋で、見渡す限りあっちも本屋、こっちも本屋。
転がり込んだお店の中も所狭しと本が並び、あふれ出した本は2階の居住区まで侵食している…

本読みとしたら憧れの状況☆

主人公の心情は別にして、置かれた状況はとってもうらやましいのだけれど、この彼女、本はめったに読まないし、神保町にだって興味なし。古本屋に入って一言「カビ臭い…」

そんな主人公が古本屋の店主である叔父や常連さん、近くの喫茶店のマスターやバイトの女の子(もちろん本好き☆)と接するうちに、かき混ぜられて濁っていた川の流れがやがて泥が流れて澄み切っていくように、しだいに自分の心の中の嵐が通り過ぎて行ったのを感じられるようになっていきます♪

走り続けていないと保てないものがあるように、立ち止まらないと見えてこないものもありますよね。

深く傷ついた主人公に、人を愛することをやめないでくれ、と叫ぶ叔父さんに喝采を送りたくなりました☆

実はこの叔父さんも、愛する奥さんが出て行ってしまったという悲しみを背負っているのですが、この叔父さんと彼が愛した女性の物語がとっても魅力的で、後半はこの女性と主人公との関係が大きな物語の柱となっていきます。

神保町での古本祭りとか、叔父さんいちおしの本とか、主人公が読んでみて叔父さんにその感想をしゃべりたくてしゃべりたくてたまらなくなるシーンとか、とっても楽しい♪

読みやすいのでスラスラと読めましたが、読書後とても心に残る物語でした。

映画もレンタル屋さんに並んだら観てみようかな。

赤ちゃんに人さし指を差し出すと、小さな手でギュと握ってくれて、あの時感じた自分の気持ちを思い出しました。

いい読書ができてよかった☆


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