あなたを愛してくれた人の名前を挙げて下さい。
照れないで。
正直に。
では次に、あなたが、愛した人の名前を、思い浮かべて下さい。
ゆっくりと。一人一人の顔を思い浮かべながら。
いいですか?
それが、あなたの生きて来た証。
あなたの人生です。
あなたが、大切にしなくちゃいけない、かけがえのないものです。
その人たちはいま、どこにいますか?
周りにいる方。幸せですね。
遠くに去ってしまった方。辛いですね。
でも、もし、もし万が一、誰も愛していないという方がいらっしゃたら。
自分以外の人間を信用できないという方がいらっしゃたら、ひとことだけ言わせて下さい。
「あなたには、がっかりです」
自分のせいじゃないって?
そんな人には、この本を紹介しましょう。
アメリカに住む女性作家、ケイト・ディカミロさんが文章を書き、ロシア生まれのバグラム・イバトーリーンさんが素敵な挿絵を描いた本。
*(キラキラ)*『愛をみつけたうさぎ エドワード・テュレインの奇跡の旅』*(キラキラ)*です☆
主人公、エドワードは、陶器でできた”うさぎ”。
彼は、アビリーンという小さな女の子に愛され、とても大切にされていました。
たくさんの素敵な洋服。
長い耳がちゃんと外に出るように作られた特注の帽子。
そして、毎朝アビリーンがねじを巻いてくれる、彼専用の金の懐中時計。
食事の時は家族と同じように食卓につき、寝る時もちゃんとパジャマに着替えて小さなベットに横になる。
…ただ、エドワードの絵の具で塗られた瞳は閉じることができなかったけれど。
エドワードは自分のことを、非のうちどころのないすばらしいうさぎだと思っていました。
それに比べて人間たちのしゃべることはくだらないことばかり。
毎日世話をしてくれるアビリーンのことも、エドワードは実のところ愛していませんでした。
それより、ガラス窓にうつる自分の姿を眺めている方が、エドワードは好きだったのです。
そんな日々ののち、アビリーンの一家が船でロンドンに行くことになります。
もちろんエドワードもいっしょ。
夜、一人だけ家に残ることにしたアビリーンの祖母が(この人がエドワードをアビリーンに贈ったのです)、エドワードに顔をよせて、こうささやきます。
「おまえにはがっかりした」
陶器でできたうさぎのエドワード。
腕や足は針金で体とつながっているので、自由に動かせますが、もちろん自分では動けません。
そんな彼が、アビリーンと引き離され、たった一人で海の底に沈んでしまった時、初めて本物の感情を味わいます。
エドワードはおびえていたのです。
他人とはなんでしょう?
このお話には、様々な人間が登場します。
子供に気を使いながら暮らしている老夫婦。
住所も持たず、放浪している渡り人の男。
自分自身をコントロールすることができない父親。
病気の妹を看病し、懸命に働く小さな兄。
服はボロボロになり、ゴミに埋もれ、汚れていくエドワード。
自分で動くことのできない陶器でできたうさぎのエドワードは、そうした人々の手から手へと旅を続け、いくつもの出会い、そして別れを繰り返します。
その中には、彼を愛し、大切にしてくれる人もいました。
そうした人たちを失うたびに、エドワードは痛みを感じます。
もう一度会いたい。
もう一度抱きしめて欲しい。
「愛なんてつらいだけだった。ぼくはこわれちゃった。心がこわれちゃったんだ」
そして、大人の男に足をつかまれ、乱暴に振り回された陶器でできたエドワードは、頭をぶつけて…
自分の姿を見ているだけで、他人に興味を示さないエドワードが、陶器でできているというのが、他人を拒絶しているようでとっても象徴的です。
陶器の中身はカラッポ。
どんなに美しく着飾っても、どんなに高価な時計を身に着けていても。
何かを失うというのは辛いものです。
でも、失いたくないから、傷つきたくないからといって、他人を物のように扱ったり、自分だけは特別だと思い込んだり、他人を手段として利用したりすのは、時間の無駄。
もったいないことだと思いませんか?
私はこのお話を読んでそう思いました。
どんな会話でも、お天気の話題でも、その日食べた物でもいい、ちゃんとしゃべっている人の顔を見てその人の話を聞く。
しっかり受け入れる。自分の心を開いて。
何の話題かが問題じゃない。
それが、自分と相手とのつながりなんだ。そういうことの積み重ねが大切なんだと、教えてもらったような気がします。
服がシワになることを気にして、人間の会話になんて興味のなかったエドワードが、ボロをまとい、たき火を囲みながら、渡り人の歌にその長い耳を傾ける。
ちゃんと話を聞く。
いつまでも、いっしょにいられるとは限らない。今いる時間はほんとうに奇跡のような時間なんだ。同じ時間を過ごしているというのにもったいない。
もし、もし万が一、誰も愛していないという、うさぎのエドワードのような方がいらっしゃたら、傷つくことを恐れないで。
自分の心を開いて信じることです。
「ぼくはもう愛されなくていい。愛さなくていい。だって、どっちもあんまりつらすぎるよ」
「あなたの勇気はどこにあるの?」
「あなたにはがっかりしたわ」
陶器でできた、うさぎのエドワード・テュレインがたどる奇跡の旅。
もうじきクリスマスですね。
この機会に大切な人に、その気持を伝えてはいかがでしょうか☆
あなたは奇跡を信じますか?
ケイト・ディカミロ 著
バグラム・イバトーリーン 絵
子安 亜弥 訳
ポプラ社
照れないで。
正直に。
では次に、あなたが、愛した人の名前を、思い浮かべて下さい。
ゆっくりと。一人一人の顔を思い浮かべながら。
いいですか?
それが、あなたの生きて来た証。
あなたの人生です。
あなたが、大切にしなくちゃいけない、かけがえのないものです。
その人たちはいま、どこにいますか?
周りにいる方。幸せですね。
遠くに去ってしまった方。辛いですね。
でも、もし、もし万が一、誰も愛していないという方がいらっしゃたら。
自分以外の人間を信用できないという方がいらっしゃたら、ひとことだけ言わせて下さい。
「あなたには、がっかりです」
自分のせいじゃないって?
そんな人には、この本を紹介しましょう。
アメリカに住む女性作家、ケイト・ディカミロさんが文章を書き、ロシア生まれのバグラム・イバトーリーンさんが素敵な挿絵を描いた本。
*(キラキラ)*『愛をみつけたうさぎ エドワード・テュレインの奇跡の旅』*(キラキラ)*です☆
主人公、エドワードは、陶器でできた”うさぎ”。
彼は、アビリーンという小さな女の子に愛され、とても大切にされていました。
たくさんの素敵な洋服。
長い耳がちゃんと外に出るように作られた特注の帽子。
そして、毎朝アビリーンがねじを巻いてくれる、彼専用の金の懐中時計。
食事の時は家族と同じように食卓につき、寝る時もちゃんとパジャマに着替えて小さなベットに横になる。
…ただ、エドワードの絵の具で塗られた瞳は閉じることができなかったけれど。
エドワードは自分のことを、非のうちどころのないすばらしいうさぎだと思っていました。
それに比べて人間たちのしゃべることはくだらないことばかり。
毎日世話をしてくれるアビリーンのことも、エドワードは実のところ愛していませんでした。
それより、ガラス窓にうつる自分の姿を眺めている方が、エドワードは好きだったのです。
そんな日々ののち、アビリーンの一家が船でロンドンに行くことになります。
もちろんエドワードもいっしょ。
夜、一人だけ家に残ることにしたアビリーンの祖母が(この人がエドワードをアビリーンに贈ったのです)、エドワードに顔をよせて、こうささやきます。
「おまえにはがっかりした」
陶器でできたうさぎのエドワード。
腕や足は針金で体とつながっているので、自由に動かせますが、もちろん自分では動けません。
そんな彼が、アビリーンと引き離され、たった一人で海の底に沈んでしまった時、初めて本物の感情を味わいます。
エドワードはおびえていたのです。
他人とはなんでしょう?
このお話には、様々な人間が登場します。
子供に気を使いながら暮らしている老夫婦。
住所も持たず、放浪している渡り人の男。
自分自身をコントロールすることができない父親。
病気の妹を看病し、懸命に働く小さな兄。
服はボロボロになり、ゴミに埋もれ、汚れていくエドワード。
自分で動くことのできない陶器でできたうさぎのエドワードは、そうした人々の手から手へと旅を続け、いくつもの出会い、そして別れを繰り返します。
その中には、彼を愛し、大切にしてくれる人もいました。
そうした人たちを失うたびに、エドワードは痛みを感じます。
もう一度会いたい。
もう一度抱きしめて欲しい。
「愛なんてつらいだけだった。ぼくはこわれちゃった。心がこわれちゃったんだ」
そして、大人の男に足をつかまれ、乱暴に振り回された陶器でできたエドワードは、頭をぶつけて…
自分の姿を見ているだけで、他人に興味を示さないエドワードが、陶器でできているというのが、他人を拒絶しているようでとっても象徴的です。
陶器の中身はカラッポ。
どんなに美しく着飾っても、どんなに高価な時計を身に着けていても。
何かを失うというのは辛いものです。
でも、失いたくないから、傷つきたくないからといって、他人を物のように扱ったり、自分だけは特別だと思い込んだり、他人を手段として利用したりすのは、時間の無駄。
もったいないことだと思いませんか?
私はこのお話を読んでそう思いました。
どんな会話でも、お天気の話題でも、その日食べた物でもいい、ちゃんとしゃべっている人の顔を見てその人の話を聞く。
しっかり受け入れる。自分の心を開いて。
何の話題かが問題じゃない。
それが、自分と相手とのつながりなんだ。そういうことの積み重ねが大切なんだと、教えてもらったような気がします。
服がシワになることを気にして、人間の会話になんて興味のなかったエドワードが、ボロをまとい、たき火を囲みながら、渡り人の歌にその長い耳を傾ける。
ちゃんと話を聞く。
いつまでも、いっしょにいられるとは限らない。今いる時間はほんとうに奇跡のような時間なんだ。同じ時間を過ごしているというのにもったいない。
もし、もし万が一、誰も愛していないという、うさぎのエドワードのような方がいらっしゃたら、傷つくことを恐れないで。
自分の心を開いて信じることです。
「ぼくはもう愛されなくていい。愛さなくていい。だって、どっちもあんまりつらすぎるよ」
「あなたの勇気はどこにあるの?」
「あなたにはがっかりしたわ」
陶器でできた、うさぎのエドワード・テュレインがたどる奇跡の旅。
もうじきクリスマスですね。
この機会に大切な人に、その気持を伝えてはいかがでしょうか☆
あなたは奇跡を信じますか?
ケイト・ディカミロ 著
バグラム・イバトーリーン 絵
子安 亜弥 訳
ポプラ社
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