エミリーは美人ではありません。
さて、エミリー・ブックスの第二部、『エミリーはのぼる』のご紹介です☆
なのにいきなり「美人じゃない」なんて何を宣言してるのかって?
だって聞いて下さい。エミリーほど、本文中で、何度もその容姿について、「この子はけっして美人ではありません」と作者に宣言されるという不憫な主人公もないんですから。
まずは父親の葬式で、母方のマレー一族と初めて顔を合わせた時の場面。「目鼻立ちのきゃしゃな子だわね」「もすこし色がさしてたら、見っともなくないでしょうにねえ」と、伯母達に言われたい放題のエミリー。
さらに彼女が聞いていないと思って、「あの子は長生きして誰かに迷惑をかけることはなさそうに思うけど」とまで言われます。
プリースト家に嫁いだナンシー大叔母の前に立たされた時なんか、ズバリ!
「あんたは美人じゃないけれど、眼と手と足をうまく使えるようになったら、きっと、美人として通用するよ」
…なにもそこまで言わなくても(笑)
でも美人じゃなくても男なんて簡単にだませるものさ、と豪語するこの叔母さん、私はけっこう好きなんです♪
ではここで、登場人物(の中のほんの一部)を紹介しましょう。
まずは、主人公のエミリー・バード・スター。伯母達に言わせると、スターのおばあさんの髪と目、ジョージ大叔父さんの鼻、ナンシー叔母さんの手、いとこのスーザンのひじ、マレーのひいおばあさんのくるぶし、マレーのおじいさんの眉を受け継いでいて、父親からはひたいを、母親からはまつ毛とその微笑を受け継いでいるとのこと。見るひとによっては、妖精族の特徴、耳がとがって見えることもあります。
彼女を引き取ることになる、エミリーの母親の異母兄弟。
姉にあたる厳しいエリザベス・マレーと、こちらは優しいローラ・マレー。そのいとこで、幼い時、エリザベスと遊んでいて井戸に落ちてしまい、それ以来”おかしく”なったジミーさん。三人は一度も結婚したことがなく、ニュー・ムーンで、いまだにろうそく以外の明りを使うことを拒否して暮らしています。
自身詩人で、エミリーにそっとノートを買ってくれるジミーさんは、エミリーの数少ない理解者です♪
変わり者と言われるバーンリ医師の娘で、母のいないこれまた変わり者のかんしゃく持ち、イルゼ・バーンリ。
エミリーの生涯の親友になる彼女の言動には驚かされっぱなし。エミリーの中にたまに顔を出す、マレー家の高慢ちきなプライドを見つけると、容赦なくその伸びた鼻をへし折ってくれます。こんな友達、絶対一人は欲しいですね☆(…一人で十分だけど)
息子を溺愛するがゆえに、息子の愛するものに異常な憎しみを燃やす母親と暮す画家志望の少年テディ・ケント。彼が口笛で知らせる合図を聞くと、エミリーはたまらず駆け出していきます。「わたし、いかなくてはならないの」その合図は、子供時代の他愛もないものから、しだいにエミリーの中で、別の意味を持ち始めていくのです♪
高校に進学したエミリーは、ニュー・ムーンを離れ、ルース伯母さんのところに下宿することになります。エリザベス伯母さんから、小説を書くことを禁じられた彼女は、それでも「本当のこと」のみをノートに書き連ね、その創作意欲を「日記」の中に閉じ込め、カーペンター先生に言わせるなら、「抑制と節約を学ぶ」辛い修行に耐えるのです。
エミリーのそうした姿に「アルプスの道の頂上」を登らんとする者の努力と苦悩を重ね、訳者村岡花子さんは、作者モンゴメリの、文学への恐ろしいまでの敬愛とたゆみない勉強とが映しだされていると解説の中で書いています。
訳者に「恐ろしい」とまで言わせるなんて、その情熱のスゴさがわかってもらえます?
まさにエミリーこそは、ルーシィ・モンゴメリの心臓の鼓動を伝えるものだといえるでしょう。そうそう、あんまりみんなが「美人じゃない」なんて言うから、ついにエミリー自身、鏡を真剣にながめた後で、日記にこんなことを書いてしまいます。曰く、「わたしは自分がうつくしくはないという結論に達した」
そんなことないって、十分魅力的だよ!(笑)
ま、読者にこんなこと言われても慰めにはならないか☆
でも大丈夫、エミリーには、魔法の言葉をかけてくれる人物がいるのです。幾度となく恋人達の間でかわされてきたであろうその言葉を、エミリーはずっと心の中に大切にしまって置きます。誰がどんな場面で言ったのかは、読んでからのお楽しみ♪
「エミリー、君は世界中で一番うつくしい人だよ」はいはい、結局幾万の言葉を並べたところで、この一言の前では無力なんでしょ?
読者にいらん心配かけさせないでよね(笑)
では、次回はいよいよ、創作と孤独の中で、ゆれるエミリーの心情を描いた第三部。
『エミリーの求めるもの』です☆
大人になったエミリーの、求めるものとは?
エミリーが父親ほど歳の離れた相手と結婚?
日本の王子とエミリーがデート?
…どうぞ、お楽しみに☆
ルーシー・モード・モンゴメリ 著
村岡 花子 訳
新潮文庫
さて、エミリー・ブックスの第二部、『エミリーはのぼる』のご紹介です☆
なのにいきなり「美人じゃない」なんて何を宣言してるのかって?
だって聞いて下さい。エミリーほど、本文中で、何度もその容姿について、「この子はけっして美人ではありません」と作者に宣言されるという不憫な主人公もないんですから。
まずは父親の葬式で、母方のマレー一族と初めて顔を合わせた時の場面。「目鼻立ちのきゃしゃな子だわね」「もすこし色がさしてたら、見っともなくないでしょうにねえ」と、伯母達に言われたい放題のエミリー。
さらに彼女が聞いていないと思って、「あの子は長生きして誰かに迷惑をかけることはなさそうに思うけど」とまで言われます。
プリースト家に嫁いだナンシー大叔母の前に立たされた時なんか、ズバリ!
「あんたは美人じゃないけれど、眼と手と足をうまく使えるようになったら、きっと、美人として通用するよ」
…なにもそこまで言わなくても(笑)
でも美人じゃなくても男なんて簡単にだませるものさ、と豪語するこの叔母さん、私はけっこう好きなんです♪
ではここで、登場人物(の中のほんの一部)を紹介しましょう。
まずは、主人公のエミリー・バード・スター。伯母達に言わせると、スターのおばあさんの髪と目、ジョージ大叔父さんの鼻、ナンシー叔母さんの手、いとこのスーザンのひじ、マレーのひいおばあさんのくるぶし、マレーのおじいさんの眉を受け継いでいて、父親からはひたいを、母親からはまつ毛とその微笑を受け継いでいるとのこと。見るひとによっては、妖精族の特徴、耳がとがって見えることもあります。
彼女を引き取ることになる、エミリーの母親の異母兄弟。
姉にあたる厳しいエリザベス・マレーと、こちらは優しいローラ・マレー。そのいとこで、幼い時、エリザベスと遊んでいて井戸に落ちてしまい、それ以来”おかしく”なったジミーさん。三人は一度も結婚したことがなく、ニュー・ムーンで、いまだにろうそく以外の明りを使うことを拒否して暮らしています。
自身詩人で、エミリーにそっとノートを買ってくれるジミーさんは、エミリーの数少ない理解者です♪
変わり者と言われるバーンリ医師の娘で、母のいないこれまた変わり者のかんしゃく持ち、イルゼ・バーンリ。
エミリーの生涯の親友になる彼女の言動には驚かされっぱなし。エミリーの中にたまに顔を出す、マレー家の高慢ちきなプライドを見つけると、容赦なくその伸びた鼻をへし折ってくれます。こんな友達、絶対一人は欲しいですね☆(…一人で十分だけど)
息子を溺愛するがゆえに、息子の愛するものに異常な憎しみを燃やす母親と暮す画家志望の少年テディ・ケント。彼が口笛で知らせる合図を聞くと、エミリーはたまらず駆け出していきます。「わたし、いかなくてはならないの」その合図は、子供時代の他愛もないものから、しだいにエミリーの中で、別の意味を持ち始めていくのです♪
高校に進学したエミリーは、ニュー・ムーンを離れ、ルース伯母さんのところに下宿することになります。エリザベス伯母さんから、小説を書くことを禁じられた彼女は、それでも「本当のこと」のみをノートに書き連ね、その創作意欲を「日記」の中に閉じ込め、カーペンター先生に言わせるなら、「抑制と節約を学ぶ」辛い修行に耐えるのです。
エミリーのそうした姿に「アルプスの道の頂上」を登らんとする者の努力と苦悩を重ね、訳者村岡花子さんは、作者モンゴメリの、文学への恐ろしいまでの敬愛とたゆみない勉強とが映しだされていると解説の中で書いています。
訳者に「恐ろしい」とまで言わせるなんて、その情熱のスゴさがわかってもらえます?
まさにエミリーこそは、ルーシィ・モンゴメリの心臓の鼓動を伝えるものだといえるでしょう。そうそう、あんまりみんなが「美人じゃない」なんて言うから、ついにエミリー自身、鏡を真剣にながめた後で、日記にこんなことを書いてしまいます。曰く、「わたしは自分がうつくしくはないという結論に達した」
そんなことないって、十分魅力的だよ!(笑)
ま、読者にこんなこと言われても慰めにはならないか☆
でも大丈夫、エミリーには、魔法の言葉をかけてくれる人物がいるのです。幾度となく恋人達の間でかわされてきたであろうその言葉を、エミリーはずっと心の中に大切にしまって置きます。誰がどんな場面で言ったのかは、読んでからのお楽しみ♪
「エミリー、君は世界中で一番うつくしい人だよ」はいはい、結局幾万の言葉を並べたところで、この一言の前では無力なんでしょ?
読者にいらん心配かけさせないでよね(笑)
では、次回はいよいよ、創作と孤独の中で、ゆれるエミリーの心情を描いた第三部。
『エミリーの求めるもの』です☆
大人になったエミリーの、求めるものとは?
エミリーが父親ほど歳の離れた相手と結婚?
日本の王子とエミリーがデート?
…どうぞ、お楽しみに☆
ルーシー・モード・モンゴメリ 著
村岡 花子 訳
新潮文庫
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