さあ、今回は、アメリカの誇るファンタジー作家。
ロイド・アリグザンダーの
「プリデイン物語」
の登場です☆
最初に訳されたのが一九七二年。本屋さんでは最近見かけませんが、これがどうして、忘れてしまうにはあまりにも、もったいない名作なんです!
今回は五部からなる「プリデイン物語」の第一部、
『タランと角の王』
をご紹介します☆
舞台となるのは古代ウエールズ(イギリスを長靴に例えると、その靴先の上にあたる部分)を彷彿とさせる、空想の国プリデイン。
人里離れたカー・ダルベンで暮らすタランは、詩や物語に出てくる英雄に憧れ、いつか自分も、そんな冒険の旅に出かけたいと夢見ている普通の少年です。鍛冶場で馬の蹄鉄をうったり、家畜の世話をする毎日には、少々刺激が足りないと思いはじめたタランに、ある日、タランにとっては師匠のような存在の老戦士コルが、やれやれという感じで「豚飼育補佐」という”立派な”肩書きを与えてくれます。
この「豚飼育補佐」。
タランは不満かもしれないけれど、なかなかどうして、けっこう重要なお役目だったりします。
タランが世話をしている白い豚、ヘン・ウェンは、実は神託の力を持つ不思議な豚。カー・ダルベンのあるじで、タランの親代わりでもある三七九歳になる予言者、ダルベンにとっても、そしてプリデインすべての生き物にとっても、とても大切な豚なのです。
かなりの有名人(?)らしく、ヘン・ウェンの神託を聞くために、遠く都から高貴な人がわざわざ訪ねて来るぐらい。
実は物語の結末にまつわる大きな鍵を、このヘン・ウェンがにぎっています♪
さて、そんなカー・ダルベンで、ある日突然、事件が起こります。こともあろうに、タランの目の前で、ヘン・ウェンが何かにおびえたように柵をくぐり抜け、逃げ出してしまうのです!
「豚飼育補佐」としては、なんとしてもヘン・ウェンを捕まえなくてはならない!
彼女を追って単身森の中に分け入るタラン。
そこで少年が目にすることになるのは、白い豚ではなくて、馬に戦士、角の王に偉大な英雄。
こうして、タランにとって、夢に描いていたものとはずいぶん違うかたちで、突然、憧れていたはずの冒険の旅が始まってしまうのです☆
この物語。下敷きになっているのは、古代ウエールズの神話や伝説なのですが、それだけではなくて、オリジナリティがふんだんに散りばめられています。
特にキャラクターが最高!
死者の国の王アローンや、実りの女神ドンの一族である、ギディオン王子などが登場する、いわゆる善と悪の戦いが霞んでしまうほど、その魅力は物語いっぱいを埋め尽くしています!!
まずはなんといっても、ヒロインの少女エイロヌイ♪
海神リールの一族で、魔法使いになるために、親戚の魔女のところで修行をしているらしいのですが、ひょんなことからタランの旅の仲間に加わります。
これがまた、やることが豪快で、さっぱりした性格で、とにかくよくしゃべる!
あいにく豚飼育補佐殿は、彼女のおしゃべりには興味がないみたいだけれど、もちろんそんなことにはかまわず、しゃべり続けるエイロヌイ☆
彼女が登場するだけで、場面がとたんに明るくなるみたい♪
エイロヌイが服のかくしに持っている、金色の玉は、リール王家の秘密の魔力を伝えるアイテムらしいのですが、それを彼女は、いつも懐中電灯代わりに使って、「わたしの安ぴかおもちゃ」と呼び、無造作にタランに投げてよこしたりする。そんな、こだわらないところも性格を表していて、とってもとってもイイ感じ♪
多少口が悪いけれど、悪意はないのでタランじゃないけど許せちゃいます☆
次は放浪の吟遊詩人、フルダー・フラム。
実は一国の王様だったのに、自分の国があまりに地味だというので、吟遊詩人になろうとしたんだとか(笑)
ところが、吟遊詩人の試験に落ちてしまい(笑)、かわいそうに思ったのかそんな彼に吟遊詩人の長タリエシンは、ある竪琴を送ります。
これがまた憎めない竪琴なんです!
誇張クセのあるフルダーが、一人の敵を十人なんて言おうものなら、そのとたんに、びぃぃん! といって弦が切れる(笑)
それだけなら一本くらいで済むけれど、十人の敵を百人、二百人なんていった日には、びぃぃん! びぃぃん! と全部の弦が切れてしまう♪
その度に、しょんぼりと弦を張り替えるフルダー・フラムの姿は、哀愁が漂っていて、か、かわいいゾ~☆
さすがは吟遊詩人の長タリエシン。
同情したわけでもかわいそうに思ったわけでもなくて、修行だったんだ♪
この他、姿を消すことが出来ると信じて、いつも息を止めている妖精族の小人ドーリ。
いつも、むしゃむしゃもぐもぐのことばかり考えていながらも、純真で忠義に厚い毛むくじゃらの生き物、ガーギ。
渦巻き城に、黒い剣ディルンウィン。
魔法の釜に、不死身の戦士。
聞いただけで、ワクワクするような要素を詰め込みながら、ファンタジーを読み慣れた方には、案外あっさりとしたストーリーに思えるかもしれないほど、すべてがすっきり凝縮されていて、余分な物はいっさい無し!
それでいて、一度読んだら、登場人物たちが心に住み着いてしまうこと間違いなしの魅力にあふれた筋立てになっています☆
一冊づつが、独立したお話としても十分楽しめるプリデイン物語。
でもやっぱり成長していく主人公たちの活躍が読みたいですよね♪
引き続き、タラン達の活躍する、第二部、第三部と紹介していきたいと思います。
ちょっと長くなりますが、よろしかったらしばらくお付き合い下さいませ☆
「人はみな、成長し、変わらねばならぬ時がくるものじゃ」
一人の少年、タランの成長物語。
さあ、魅力的な仲間と共に、あなたもプリデインの大地を一緒に旅してみませんか?
ロイド・アリグザンダー 著
神宮 輝夫 訳
評論社
ロイド・アリグザンダーの
「プリデイン物語」
の登場です☆
最初に訳されたのが一九七二年。本屋さんでは最近見かけませんが、これがどうして、忘れてしまうにはあまりにも、もったいない名作なんです!
今回は五部からなる「プリデイン物語」の第一部、
『タランと角の王』
をご紹介します☆
舞台となるのは古代ウエールズ(イギリスを長靴に例えると、その靴先の上にあたる部分)を彷彿とさせる、空想の国プリデイン。
人里離れたカー・ダルベンで暮らすタランは、詩や物語に出てくる英雄に憧れ、いつか自分も、そんな冒険の旅に出かけたいと夢見ている普通の少年です。鍛冶場で馬の蹄鉄をうったり、家畜の世話をする毎日には、少々刺激が足りないと思いはじめたタランに、ある日、タランにとっては師匠のような存在の老戦士コルが、やれやれという感じで「豚飼育補佐」という”立派な”肩書きを与えてくれます。
この「豚飼育補佐」。
タランは不満かもしれないけれど、なかなかどうして、けっこう重要なお役目だったりします。
タランが世話をしている白い豚、ヘン・ウェンは、実は神託の力を持つ不思議な豚。カー・ダルベンのあるじで、タランの親代わりでもある三七九歳になる予言者、ダルベンにとっても、そしてプリデインすべての生き物にとっても、とても大切な豚なのです。
かなりの有名人(?)らしく、ヘン・ウェンの神託を聞くために、遠く都から高貴な人がわざわざ訪ねて来るぐらい。
実は物語の結末にまつわる大きな鍵を、このヘン・ウェンがにぎっています♪
さて、そんなカー・ダルベンで、ある日突然、事件が起こります。こともあろうに、タランの目の前で、ヘン・ウェンが何かにおびえたように柵をくぐり抜け、逃げ出してしまうのです!
「豚飼育補佐」としては、なんとしてもヘン・ウェンを捕まえなくてはならない!
彼女を追って単身森の中に分け入るタラン。
そこで少年が目にすることになるのは、白い豚ではなくて、馬に戦士、角の王に偉大な英雄。
こうして、タランにとって、夢に描いていたものとはずいぶん違うかたちで、突然、憧れていたはずの冒険の旅が始まってしまうのです☆
この物語。下敷きになっているのは、古代ウエールズの神話や伝説なのですが、それだけではなくて、オリジナリティがふんだんに散りばめられています。
特にキャラクターが最高!
死者の国の王アローンや、実りの女神ドンの一族である、ギディオン王子などが登場する、いわゆる善と悪の戦いが霞んでしまうほど、その魅力は物語いっぱいを埋め尽くしています!!
まずはなんといっても、ヒロインの少女エイロヌイ♪
海神リールの一族で、魔法使いになるために、親戚の魔女のところで修行をしているらしいのですが、ひょんなことからタランの旅の仲間に加わります。
これがまた、やることが豪快で、さっぱりした性格で、とにかくよくしゃべる!
あいにく豚飼育補佐殿は、彼女のおしゃべりには興味がないみたいだけれど、もちろんそんなことにはかまわず、しゃべり続けるエイロヌイ☆
彼女が登場するだけで、場面がとたんに明るくなるみたい♪
エイロヌイが服のかくしに持っている、金色の玉は、リール王家の秘密の魔力を伝えるアイテムらしいのですが、それを彼女は、いつも懐中電灯代わりに使って、「わたしの安ぴかおもちゃ」と呼び、無造作にタランに投げてよこしたりする。そんな、こだわらないところも性格を表していて、とってもとってもイイ感じ♪
多少口が悪いけれど、悪意はないのでタランじゃないけど許せちゃいます☆
次は放浪の吟遊詩人、フルダー・フラム。
実は一国の王様だったのに、自分の国があまりに地味だというので、吟遊詩人になろうとしたんだとか(笑)
ところが、吟遊詩人の試験に落ちてしまい(笑)、かわいそうに思ったのかそんな彼に吟遊詩人の長タリエシンは、ある竪琴を送ります。
これがまた憎めない竪琴なんです!
誇張クセのあるフルダーが、一人の敵を十人なんて言おうものなら、そのとたんに、びぃぃん! といって弦が切れる(笑)
それだけなら一本くらいで済むけれど、十人の敵を百人、二百人なんていった日には、びぃぃん! びぃぃん! と全部の弦が切れてしまう♪
その度に、しょんぼりと弦を張り替えるフルダー・フラムの姿は、哀愁が漂っていて、か、かわいいゾ~☆
さすがは吟遊詩人の長タリエシン。
同情したわけでもかわいそうに思ったわけでもなくて、修行だったんだ♪
この他、姿を消すことが出来ると信じて、いつも息を止めている妖精族の小人ドーリ。
いつも、むしゃむしゃもぐもぐのことばかり考えていながらも、純真で忠義に厚い毛むくじゃらの生き物、ガーギ。
渦巻き城に、黒い剣ディルンウィン。
魔法の釜に、不死身の戦士。
聞いただけで、ワクワクするような要素を詰め込みながら、ファンタジーを読み慣れた方には、案外あっさりとしたストーリーに思えるかもしれないほど、すべてがすっきり凝縮されていて、余分な物はいっさい無し!
それでいて、一度読んだら、登場人物たちが心に住み着いてしまうこと間違いなしの魅力にあふれた筋立てになっています☆
一冊づつが、独立したお話としても十分楽しめるプリデイン物語。
でもやっぱり成長していく主人公たちの活躍が読みたいですよね♪
引き続き、タラン達の活躍する、第二部、第三部と紹介していきたいと思います。
ちょっと長くなりますが、よろしかったらしばらくお付き合い下さいませ☆
「人はみな、成長し、変わらねばならぬ時がくるものじゃ」
一人の少年、タランの成長物語。
さあ、魅力的な仲間と共に、あなたもプリデインの大地を一緒に旅してみませんか?
ロイド・アリグザンダー 著
神宮 輝夫 訳
評論社
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます