Il film del sogno

現実逃避の夢日記

冷たい熱帯魚

2011-02-04 04:53:00 | 日記
2/3(木)晴れ
唐突だが、以下、2002年3月20日の日記を抄録・転載する。≪邦家では年間3万人前後の人が自ら命を絶っているそうな。生活苦、病苦、厭世、男女問題、いじめ・・・。しかし尋常な成人男女であれば、生まれてから一度や二度は真剣に『はあぁ~、もう死んじゃいたい』と、思った経験はあろう。原因があって苦悩の末であればまだしも、つい今しがたまで箸が転がるのを見て笑い合ってた、うら若き乙女達がお手々繋いで『せぇーの』と掛け声もろとも投身したら・・・。そりゃあ怖い。『自殺サークル』を鑑賞。新宿武蔵野館2、平日最終(と言うより連日21:10~のレイトのみ)単身の若人(20代)中心に8割以上の入り。監督の固定客かな。54人の女子高生が新宿駅のホームから線路に飛び込み全員轢死。周囲は阿鼻叫喚の地獄絵図。これを皮切りに、原因不明の自殺者が続出。残されたエグイ遺留品に、【事件】として捜査を開始する刑事達。果たしてその真相は・・。前半のサスペンティックな展開は独特の緊密性を維持して、作中人物達が不気味な魔力に導かれているかの様に感じられて、何度も肝が冷えた。中盤からは、ややあて馬的人物の登場で色調が変わってくる。この路線変更は賛否あると思ふ。ホラーともサスペンスともスプラッタとも異色の音楽ものとも言えない事もない。ネットワークと映像、喧騒と狂気、恬淡とした人間関係等々の世相を巧みに切り取って同時代性は感じさせる。豪華役者陣は皆好演。石橋・永瀬も良かったが、その昔【状況劇場】【大駱駝艦】と追っかけていた麿赤兒に銀幕で再会できたのは望外の喜びであった。立っているだけで絵になる怪優なり。終盤の黒幕?登場の場面でも会話は禅問答のようで、謎は深まるばかり。恥ずかしながら園子温作品、初見。但し、20年ほど前に友人から、まだ詩人だったこの監督の難解な現代詩を読まされたことがある。(名前が変わっていたので良く覚えている)暗黒の入り口は常にパックリ口を開けて待っている。無数のサイトの灯には満たさない孤独な者達の魂が蝟集している。屈託なく恋の唄を歌う少女達からの妖しいデジタル・メッセージは、黄泉の国への旅立ちを、まるでピクニックへでも行くかの如く決意させるのだ。カルト映画の秀作として語り継がれるであろう。≫
ファーストコンタクトは上記のとおり鮮烈だったが、以降、この鬼才の諸作は随分と観たが、毎度退屈することはない。昨夜は新宿でその最新作を鑑賞。2時間半全く緊張の糸が切れることなくスクリーンを見上げた。これは言語道断な家庭劇であり空前絶後のクライム・ムービーである。役者が凄い。展開が凄い。ラストが凄い。何故か我々には規範や道徳の基準となる畏怖すべき神が必要なのではないか、などとおよそ普段は考えもしないことを思った。鑑賞後、カフェでしばし放心。終電に揺られて帰宅。毒気にあてられ微熱状態で全く眠れず。
コメント
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