「マジック・マイク」でチャニング・テイタムを完全に食い、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」では狂気の世界への案内人を務めあげた、マシュー・マコノヒーの、アカデミー賞主演男優賞ノミネート作品。
20キロ痩せて撮影に臨み、Yahoo!のユーザーレビュー評価も、4.5以上だ。
これは上映館が少なくても、観に行かねばならないだろう。と、訪れたヒューマントラストシネマ有楽町は、サービスデーということもあって満員! 有楽町で良い作品を上映してくれるのは有難いのだが、ロビーが狭い。足音が響く。ドアが開くと劇場全体が明るくなる。
で、映画は、結構淡々と進む。“感動!”という程ではないよん。主人公があまり感情移入できる、良い奴ではないからだ。第三者には迷惑をかけないけど、ドラッグとインチキ賭けと単なる処理としかいえない○ッ○○の自堕落な日々。
彼の心情の変化はあまり深く描かれてない。毛嫌いしてたレイヨンを、ビジネスパートナーとしてきちんと接するようになったり、処理の対象でしかなかった女の、医師に友情を感じたりはしてるけど。まあ、あまり深く描かれてない分、たまにちゃんと描いたレイヨンとの握手シーンは、ハッとさせられるんだが。
余命30日と言われてから、文字通り必死で生き延びようと勉強し、日本(!)やアムステルダムにまで、単独で買いつけに行ったりと、そのバイタリティにはただただ尊敬。でも、やっぱりそれだけできるんだったら、もっと早く人生をなんとかすれば良かったのに!とも思うが、人間ケツに火が付かなければ本気で動かないという証明なんでしょうか・・・。
そばに寄ったら感染すると真剣に思われていた、“エイズ”発覚期。私も覚えてるから、主人公の仲間が離れているのは分かるけど、むしろ“ゲイ”と呼ばれる事の方が屈辱だったんだ。ダラスのカーボーイ達は。その時代の、性同一性障害の人々はどんなに大変だったか・・・。レイヨンがお父さんに会いにいくシーンは本当に切なかった。
薬に認定が世界規模でおかしい事を訴える彼だったが、私はむしろドラッグをやめて自然の食品を食べてビタミン剤を飲んで病気の進行を遅らせる事ができるほうにびっくり。やっぱり自然に生きる事が大事なのねえ。
でも、実際の話、デブが20キロ痩せる訳ではないので、体に良くないだろうなあ。「アメリカン・ハッスル」でも、クリスチャン・ベイルは見事に太ってたし。これで、役者にストレスがかかって、ドラッグに頼るようになったら、嫌だなあ。そんな、ハリウッドになりませんように。