「昔放蕩三昧の暮らしをして、どうしようもなく深い恥辱にまみれていたとき
(おれにおこるのはそんなことぐらいさ)、
おれはいつも、ケレースと人間をうたったこの詩を読んでいたんだ。
で、その詩が果たしてこのおれを矯正してくれたのか?
そんなことは一度もなかったよ。なぜっておれはカラマーゾフだからね。
奈落に飛び込む時はそれこそまっしぐらに、まっさかさまに落ちていくんだ。
そしてまさにそういった屈辱的な状態にまみれている自分に満足して、
自分にとってはそれこそが美だなんてぬかしている始末なんだよ。
まさにその恥辱のなかで、とつぜん、賛歌なんかを歌いだすんだよ。
おれなんかどうとも呪われるがいいし、低劣だろうが卑劣だろうが、どうでもいいんだ。
(中略)
理性には恥辱と思えるものが、心には紛れもない美と映るものなんだよ。
ソドムには美があるのか?
信じてくれてもいい、大多数の人間にとっては、ソドムにこそ美がひそんでいるってことをな」
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
いいよね、我らがミーチャ。
(おれにおこるのはそんなことぐらいさ)、
おれはいつも、ケレースと人間をうたったこの詩を読んでいたんだ。
で、その詩が果たしてこのおれを矯正してくれたのか?
そんなことは一度もなかったよ。なぜっておれはカラマーゾフだからね。
奈落に飛び込む時はそれこそまっしぐらに、まっさかさまに落ちていくんだ。
そしてまさにそういった屈辱的な状態にまみれている自分に満足して、
自分にとってはそれこそが美だなんてぬかしている始末なんだよ。
まさにその恥辱のなかで、とつぜん、賛歌なんかを歌いだすんだよ。
おれなんかどうとも呪われるがいいし、低劣だろうが卑劣だろうが、どうでもいいんだ。
(中略)
理性には恥辱と思えるものが、心には紛れもない美と映るものなんだよ。
ソドムには美があるのか?
信じてくれてもいい、大多数の人間にとっては、ソドムにこそ美がひそんでいるってことをな」
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いいよね、我らがミーチャ。