風吹く豆腐屋

内容はいろいろ。不定期更新中。

名医の定義

2021-09-11 23:44:38 | Weblog

週刊誌によく「危険な薬」「飲んでいはいけない薬」なんて見出しが並んでいるのを目にします。

確かに危険な薬はあります。というか危険じゃない薬なんてありません。

 

例えば、処方箋なくドラッグストアで買える鎮痛剤。

実はそれを1錠飲むだけで死ぬ可能性があると添付文書に記載されています。

もちろん具体的に死ぬと書かれているわけではありません。

たとえば、重大な副作用の項目にある中毒性表皮壊死症。これは死に至りうる副作用の一つです。

副作用の頻度は不明、つまりかなり低いということではありますが、発症すれば死亡率20-40%。

かなり高い死亡率だと思いませんか。

普段何気なく飲んでいる痛み止め1錠にも内服することで死ぬリスクがあるわけです。

 

だから必要ない薬は飲まないに越したことはありません。

だけど、現実には不必要と思える薬を大量に飲んでいる人はかなり多いです。

高齢な患者さんのお薬手帳見せてもらったら20種類くらい並んでいることもしばしば。

いくら安く出してもらえるからってそんなに要らないでしょう…。

 

週刊誌の記事はそういう日本ならではの医療体制に付け込んだ悪質な記事です。

監修しているのは大抵うさん臭い本を書いているような怪しげな医者です。

普通の医者とは考え方を異にしている人が多いです。

その記事の締めの文言は「ガイドラインにとらわれてはいけない。真の名医の主張に耳をかたむけるべきだ」でした。

 

啓蒙のつもりでそういうことを発信したいのだとしたら、あまりに罪深いと思います。

医療界のガイドラインは原則として絶対的なものです。(これも反論はありますけどね)

頭のいい優秀な医者が集まって、海外や国内の研究結果や実臨床の状況も踏まえ、

あーだこーだと議論したうえでこれが一番良い治療だというのを提示しています。

三人寄れば文殊の知恵といいますが、文殊が三人以上寄って決めているのがガイドラインです。

それよりもたった一人の変わり者の医者の言うことのほうが正しいと信じるに足る理由がありますか?

その週刊誌の記事を流し読みした限りでは、ガイドラインに反論するだけの強い論拠の記載はありませんでした。

ちなみに個人の経験に基づく診療というのは一番信用できないものとされています。

 

もちろん、月日が経って過去のガイドラインが間違っていたと分かることもあります。

だけど、ガイドラインを逸脱したことをしていて患者が不利益を被ったケースのほうが圧倒的に多いのは間違いありません。

標準治療はガイドラインに準拠した最も効果的な治療です。

それを逸脱した治療を行う場合は、大きなデメリットを伴う可能性があると分かったうえで行わなければなりません。

多くの場合、患者さんはそれが分かっていません。

だから僕は甘い言葉で患者を惑わせる「名医」が嫌いです。

 

最近もテレビでステロイド外用薬を否定するような番組をやっていたとか聞きますし、

HPVワクチンの副作用が重篤だとさんざん騒ぎ立てて

子宮頸がんが唯一増加する国日本を作り上げたメディアは誤りを訂正しようともしない。

 

報道や表現の自由は確かに大切なんでしょう。

玉石混交の情報を取捨選択できる人ばかりなら問題にならないでしょう。

でも現実はそうじゃないんです。

人を不幸にしうる情報をばらまいている人たちの倫理観を疑います。

良かれと思ってやっているのかもしれませんが、本音は違うのではないでしょうか。

 

僕は決して名医じゃありません。

自分が関わったせいで患者に不利益を与えないかいつもびくびくしています。

ただ、少なくともそうならないようにしようという自負はあります。


第三者に話すときの親の呼び方

2021-09-11 18:15:22 | Weblog

最近、テレビなどで耳について仕方がないのが「お父さん」「お母さん」という表現。

インタビューなどで若者が自分の親のことをそう呼んでいるのが気になって仕方ありません。

 

へりくだる必要まではないと思うけど、そこは「父」「母」であるべきじゃないの・・?

 

小学生のとき、国語の教科書でサザエさんの家系図を例に、●●からみたら○○は××にあたる、というようなことを習いました。

その際に、第三者に家族のことを話す際は「父」「母」「兄」「姉」「弟」「妹」と言いましょうと教わった気がします。


最近はむしろ「お父さん」「お母さん」と言っている人のほうが多いですよね。

そういう発言を見るたびに幼稚だなと思うんですが、僕の心があまりに狭小なんでしょうか。

そのうち、公的な場でもパパとかママとか言う人が増えるんでしょう・・。


でもこういう時代だからこそ、自身の親を「父」「母」と言っている若者を見ると相対的に感心します。

僕もいよいよじじくさくなってきました(笑)


石鎚山に登りたい

2021-09-06 23:15:24 | Weblog


子供を連れて石槌山に登りたい、というのが目下のささやかな願いです。


実は夏休みを取った平日に少し登りました。
5歳と2歳の子供を連れて妻とともに。


石鎚山は実は近畿より南では国内最高峰で1982mあります。途中の切り立った崖を鎖を利用して登る箇所が有名で、しかもそれが複数あります。
それだけ聞くととても素人が手を出せそうな山ではありませんが、実はロープウェーとリフトを使うと中腹の神社まで一気に登れ、鎖については迂回路がちゃんとあります。
ルートによっては子供でも登れる山とされていて、実際子供の頃に登ったことがあるという話をよく聞きます。

ただ、遭難事故や滑落事故、死亡事故は多く危険であることは間違いありません。僕自身、怪我して運ばれた人を今まで複数診てきました。

今回は、日帰り登山かつ子供2人連れてだったので無理はせず最初からすぐに引き返すつもりでいました。
それでもリフトで登った先にある神社から登山道に入るときは登山票をきちんと入れました。
こういうことはやっぱり大切。

そこから頂上までは大人の足で登り3時間、下り2時間半が目安のようです。距離にすればたった3.6kmですが、山道になるとやはり大変です。

途中までは緩やかな道が続くので、もっと行けるんじゃないかと騙されそうになりましたが、1km少々進んだところで急に傾斜がきつくなり、頑張って歩いていた上の子もごね始めたので引き返しました。結局片道1時間ちょっと登りました。

面白かったのが「帰るときのことも考えないと」と上の子に言われたこと。
確かにそのとおり。思いつきで行動する父より計画性があるかもしれません(笑)

ベンチを見つけてはおやつ休憩して(娘チョイスのミニドーナツがハイキングにはベストマッチだということを知った)、アサギマダラがふわふわ道案内してくれるのを追いかけて(ちょうちょーと下の子は喜んで追いかけてた)、晴れ間に緑に染まる木々に魅せられて、色んな種類キノコをひとつひとつ眺めて‥

景観のいい場所まで登れなかったので、正直なところ展望パノラマは楽しめませんでしたが、これはこれでなかなか楽しい登山でした。

調べてみると子供をかついで登山する用のバッグがあるようてす。
たけどそこまで本気で登山したいわけじゃないし、それが必要な期間がごく短いことを考えると、それに何万も出すのは馬鹿馬鹿しい気がします。

また安全第一で行きたいなとーと思っています。

実は今回、山の中も割と電波が入ることが分かりました。夏休みということで病院からの電話は控えてもらっていましたが、はてこれはいい事なのやらそうでないのやら‥