エビかつサンドが好きです。
エビかつサンドが好きです。
「君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年にならなくちゃいけないんだ。なにがあろうとさ。そうする以外に君がこの世界を生きのびていく道はないんだからね。そしてそのためには、ほんとうにタフであるというのがどういうことなのか、君は自分で理解しなくちゃならない。」
村上春樹「海辺のカフカ」より
「タフ」という言葉がふと頭に浮かんだ時に連想されたセリフです。
そういえば15歳の主人公はタフになるために旅に出るんだったな。
この話の中のタフというのがどういう意味なのか本当のところは分からないけれど、
この世界を生きのびていくためにタフでなければならないのは誰しも否定しないところだと思います。
15歳の少年に比べればすっかり世俗にまみれた大人になってしまいました。
でもだからこそ自分の中にある程度のタフネスが備わっていることにも気がづきました。
つまらないことで凹み、しょっちゅう引きこもっていた学生の頃を思うと不思議な気もします。
そのころは自分に打たれ強さがあるなんて思ってもみませんでした。
何かを理解した先に獲得したタフネスなのか、
どうにかこの世界を生き抜く中で必要から備わったタフネスなのか、それもよく分かりません。
一つ確かなのは頑迷さというのはあるときには強みになりうるんだろうなということくらいです。
いつの間にか自分がガラッと変わっているのに気が付くのは、なんだか不思議な感覚です。
妻と子供の存在は大きいだろうなと思います。
そう簡単にへこたれるわけにはいかない。
この春から医者として10年目になります。
何もできないまま年だけ重ねてしまいました。
今、当直で待機中です。
ため込んだ事務仕事を終えましたが、その後勉強する気分にもならず、
クラウドに保存されている10年前の写真とかSNSとかブログの記事をだらだらと見返していました。
家にいると子供たちがうるさくてしんみりした気分にもなりませんが、
非当番時の当直は静かでセンチメンタルな気分になります。
ちょうど10年前の2010年の春は学生でした。
お金がない代わりに好きなことばかりしていた気がします。
今でも患者さんに若いねーと言われることはありますが、23歳の自分は若いというよりも幼く見えます。
当時は10年後にどんな生活を送っているかなんてみじんも考えていませんでした。
ブログも読み返してみるとなかなか面白いです。
今じゃ連絡先すらわからない同期の男含めて3人で飲みに行ったと書いていたり、
ココ壱の学割カレー500円がおすすめと書いていたり、
将来外科でやっていけるのか不安だと書いていたり。
そんな風に感じていたのはつい最近のことのように思うけど、もう10年も前のことになるなんて時の流れは恐ろしいです。
学生時代と一番変わったのは人間関係だなと思いました。
今となっては大学から離れた田舎住まいなのもあり、友達と会うことは全くありません。
当時はOBとして部室に行けば大抵誰かいて、とりとめのない会話をするのが普通だったのに。
良くも悪くも家族が中心の生活になりました。
オンライン飲み会が流行っているとのことですが、そうするくらいなら妻とゆっくり話して過ごしたいです。
後輩の演奏会だったりOB演奏会に行くだけのモチベーションが保てなくなっているのを感じます。
時間があればそれは家族のために使いたいと思うようになりました。
10年という時間は気づかないうちにいろいろなものの形を変えてしまっています。
・・・つらつらと文章を打っているうちにセンチメンタルな気分は少し解消されてきました。笑