風吹く豆腐屋

内容はいろいろ。不定期更新中。

君の名は

2009-10-29 21:07:58 | Weblog
明日手術に入ったら、外科実習も終わり。

始まる前は嫌な印象しかなかったのに、
終わってみるとなんだか名残惜しいです。

今までと違った点は、グループへの帰属感をもてたこと。
手術中に筋鈎(こんな漢字を書くらしい)をもっているだけでも
治療の一端を担えたような気分になるんだから不思議です。

あと、「学生さん」じゃなくて名前で呼んでもらえたのも嬉しかったことの1つ。

先生にとってみれば、
3週間で他へ移って行く学生の名前を覚える必要性なんて全くありません。
それでもなお、グループ内の先生方には名前で呼んでもらえました。
対等に接してもらえた気がして、嬉しくなりました。

やっぱり名前って大切ですね。




名前のことを考えていて、
「ヨゴレ」と名づけられたサメのことをふと思い出しました。

個体名が「ヨゴレ」なのではなく、生物名(標準和名)が「ヨゴレ」なんです。


生物資源に乏しい外洋に生息するサメで、
食べられそうなものなら何にでも興味を示し、手当たり次第に食べるそうです。
外洋では人にとって最も危険なサメとされています。
 
きっとそういう性格が嫌われて、こんな不名誉な名前が付けられてしまったんでしょう。
他種とは違うニッチを拓くための生物的戦略に違いないんですが・・・。



このサメが、日本人にそういわれて傷つくことなどないと分かってはいても、
なんだか同情してしまいます。

ぎらぎら

2009-10-29 03:42:34 | Weblog
無為な一日を過ごしてしまいました。

今しかできないことはもっとあるはずだし、もっとできるはずなんだけど。

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「『カロ・タクシージ――よいご旅行を』」

そう言って彼女は膝の上で両手をあわせた。

「素敵なことばだと思いませんか?
そのことばを思い出すたびに私はこんな風に思うんです。
私の人生は既に多くの部分を失ってしまったけれど、
それはひとつの部分を終えたというだけのことであって、
まだこれから先何かをそこから得ることができるはずだってね」

(「タクシーに乗った男」より)
 
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 

部分的に同意できるけど、反発も感じます。

まぁ、そもそも僕には失えるだけの何かを手にした経験も無いわけだけど。

運と努力

2009-10-25 23:43:48 | Weblog
新聞に興味深い記事があったので紹介します。


「運と努力、どちらが人生をより左右するか?」
この問に対するアンケートのまとめ記事です。
(朝日新聞、10月24日土曜版<be>)

アンケート結果としては、運とした人が51%、努力とした人が49%でした。

朝日新聞の購読者なので、社会的にも思想的にも偏りもあるのは否定できません。
しかし、そういうバイアスがかかっているのを承知のうえでこの結果を見ると、
なかなか興味深くは無いでしょうか?

その結果を見て、ある評論家は
『「運が上回ってよかった。努力が7、8割だったら少しいやな気分だった」と語った。
「運」という言葉には、「努力」にはない、他者へ配慮や思いやりが最初から含まれているから』

なるほど・・・面白いなと思った一方で、
記事は「運」を支持する色合いが強く、公平じゃないとも感じました。

「努力」派には「運」派には無い強さが感じられます。
それは「運」派が得ようと努力してもなかなか得られるものではないと思います。


このアンケートはもう少し掘り下げて欲しかったです。

例えば、自分の今の人生に満足しているか、という問いを加え、
それに「はい」と答えたグループと「いいえ」と答えたグループ別にこの結果をまとめてみれば
どんな結果が出てくるでしょうか。

また、世代別にはどんな結果が出てくるでしょうか。

 

運と努力。
どちらも人生を大きく左右するのは間違いありません。
あえて二択を問うと、面白いですね。

「お父さん、あららぎ君がお父さんにお話があるみたいなのだけれど聞いてくれる?」

2009-10-22 00:33:03 | Weblog
長年の悲願がようやく達成されました。
フェラーリがそれを祝ってくれました。
それを理由に、二人で下垂体腺種とかブロモクリプチンについて語り合いながら酒を飲みました。
(実際は、Sさんいなくて寂しいよシンドロームの対症療法的に僕が呼ばれただけど)


最近、実習班では毒舌キャラとしてすっかり定着してしまいました。
ある程度は自認しています。
何であんなことを言ってしまったんだと後悔することは多いんです。これでも。
でもそこまで毒はいてるつもりは無かったんだけどなぁ・・


フェラーリにそう言ったら、
「まぁ、そうやろ」という回答が返ってきました。

今の僕のことを一番よく知っているのは多分彼なので、彼がそういうならそうなんでしょう。
どうやら僕は自分が思っている以上に毒を吐き続けているらしいです。
(でも戦場ヶ原さんほどじゃないと思う)


 

悲願が達成されたときに心を満たすのは、充足かはたまた虚無か。

オプティミストとぺシミストの境界がここにあるような気がしました。

「ストレス、引き取ります」

2009-10-15 02:05:32 | Weblog
「ストレス、引き取ります」と書かれたパーカーをゴーンが着ていました。

看板を掲げたばかりで、実際の取引はまだ行われていないそうです。
折角なので、本人に代わってその詳細を検討してみたいと思います。


「ストレスを引き取る」に当たって解決しなければならない問題がたくさんあります。

まず、ストレスは実体の無いものであるということ。

「100gあたり何円」というような価格設定ができません。
主観的なものなので、種類や程度を客観的に評価することもできません。

まぁ、そもそもお金と引き換えに「引き取る」ことからできませんよね。


直接引き取ることができないため、代替案を考えなければいけません。



昔、好きなだけ皿を割らせてもらえるストレス解消サービスがあると聞いたことがあります。

ただ、これは「ストレス解消のサービスを提供する」という形でしかなく
「ストレスを引き取る」わけではありません。
内容に偽りがあると言われてはゴーンがかわいそうなので、これはダメです。

それに、個人的にはこれでストレス解消できるとは思えません。
割ってはいけない皿だからこそ割ってみたいという願望が湧くわけで
「はいどうぞ」と渡されたものを割って何が楽しいのかと・・・。


やはり、「引き取る」という以上、
ゴーン自身にストレスがたまらなければならないようです。
かわいそうですが、そこは致し方ありません。
雄雄しくもストレスを引き取ると声高に宣言してしまったのですから。



・・・やっぱり、手っ取り早くぼこられとこうか(笑



顧客のストレスは下がり、ゴーンのストレスは上がるだろうから、
「引き取った」と言ってもいいのではないでしょうか。

警察にはこう言うように言っておかないといけませんね。

「お互い合意の上でやりました」


ただし、やっぱり刑事責任問われる可能性があるのは問題だし、
これではストレス解消にならないような気もします。
弱いもの虐め(?)ってやっぱりかっこ悪い。

あのメッセージはそういう意味としか取れないけどね


じゃあ、どうすればいいか。


和平的プランを考えてみました。

顧客の身にストレスが降りかかりそうになったときに、
ゴーンが身代わりってストレスを受ける、というもの。

顧客のストレスが下がるわけではありませんが、
本来増えるはずだった顧客のストレスが代わりにゴーンに蓄積するのだから、
「引き取った」と言えなくもありません。

どれだけそれを自然に行えるかが、プロとしての手腕が問われるところです。

価格はその具体的な内容に応じて要相談、ってところでしょう。
 


高そうな車に衝突した後、ドアが開いて柄の悪いにーちゃんが怒鳴りながら出てきた瞬間とか
いくら払えば身代わりになってくれるかな?

そんなときも、巧妙にお願いね。

秋の昼下がりに

2009-10-12 13:20:48 | Weblog
自転車のパンクを直してもらっていたときのこと。

直されていく工程をずっとみていると
自転車屋のにーちゃんのほうもやりづらいかなと思って
道端に視線を落としていました。

そのとき、弱ってとぼとぼ歩くナナホシテントウが視界に入りました。
内羽が収納できておらず、円を描くように何度も同じ場所を歩いていました。
あの羽ではきっと空を飛ぶこともかなわなかったと思います。

最初はかわいそうだと思ったけど、
そう考えるのは間違ってると思い直しました。

ナナホシテントウは迫ってきている死について考えることなんて無いだろうし
まして、これまでの生を回顧することもないだろうから。

かわいそうだと思うのは、擬人化するから。
価値観の押し付けみたいなもので
おそらく、ナナホシテントウ自身の視点とはかけ離れてしまっています。

それどころか、個としての命よりも種としての命を生きているだろうテントウムシは
むしろ自分の役目を果たして「満足」しているかもしれません。
 

秋風が吹きすさぶ中、しばらくテントウムシを眺めていました。
いつまでもおぼつかない足取りでよろよろと歩き続けていました。

でも、しばらく後で自転車を受け取ったときには
テントウムシのことなんてすっかり忘れてしまっていました。


今ふと思い出したので、書いてみました。

食道グループはそば目玉

2009-10-08 23:50:54 | Weblog
この4週間は消化管外科の食道グループで実習しました。
考えてみたら、ガイダンスの授業で習うよりも先にmallory-weissという言葉に
出会った自分としては運命だったのかなって気もします(笑
(合宿の前の強制送還時のアレです。気になる人はぐぐってね)

この実習中、結構たくさん手術に入らせてもらったので、
皮膚の縫合くらいならできるようになりました。手際よく・・・とまではいきませんが。

外科実習は食費が浮きました。

手術に入った日なら、朝から始めても昼食は夕方になるのが当たり前な感じだったんですが、
空腹時に食べるそば目玉のうまいことといったら―!
Hunger and fatigue are the best sauceです。

美味しいものも結構食べさせてもらったし、
(回らない寿司とかゲネ以来。
何より指導医以外の先生にも名前を覚えてもらったのが嬉しかったです。

自分の数少ない長所として、忠誠心の高さがあります。
恩義を受けたらそれに報いたいと思います。
進路を全く考えていない自分ですが、外科いいなって思いました。

電気メスで組織が焼ける臭いはまだ好きになれませんが、
開腹したときの臓器の生臭い臭いをかぐとちょっと心やすらぐような気さえしてきました(笑

 
今もちょっと酔ってます。
黒縁眼鏡が素敵な女の子(教育の1回生らしい)がバイトしてるお店でご馳走してもらってきました。

本気で外科志望しようかなぁ。

明日も7時半集合。もうなんかしんどいとか感じなくなってきた。

行頭か欄外か、それが・・

2009-10-07 00:25:53 | Weblog
「立ち止まることと成長することは、無縁ではない」

素直にいい言葉だと思いました。

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さっき、珍しく親から電話がかかってきました。

「原稿用紙の書き方について聞きたいんだけど、
ちいさい「つ」って行頭に書くんだっけ?
それとも前の行の欄外に書くんだっけ?」

どうしてそんなことを聞くのか、尋ねたら
父と末の弟がそれを巡って大喧嘩している最中なんだとか。

そんな下らないことで喧嘩するなよ・・

句読点じゃないんだから行頭に「っ」と書くと思う、と答えておきましたが
自信がなかったので調べてみました。

→【教科書の出版社の回答】

結局のところどっちでもいいみたいですが、ルールとしては行頭のようです。


電話はそれだけ聞いて切れました。

・・・まったく、何なんだ。

「星間飛行」

2009-10-06 00:16:42 | Weblog
マクロスFを見て一番印象に残ったのは、ランカが「星間飛行」を歌うシーンでした。

モニター越しにランカを見るシェリルがあまりに痛ましい・・
ランカに悪意は無いんでしょうが、だからこそ一層、残酷。

(決して、ランカかわいい・・とかじゃないです 笑)
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某マイナー外科を回っているとき、
学生2人で1人の指導医についていたので、一緒にレポートを出しに行くことがありました。
最初に持って行った時に2人とも直すように言われたので、
翌日、やはり2人で一緒に持っていきました。
もう一人の学生はOKが出てすぐに帰されました。
一方、残された僕はこう言われました。


「なんでこんなレポート持ってきたの?

最近の学生は言ったことしかやらないが、君はまさにその典型だな。
・・いや、もっと酷いか。
言ったことすらできてないじゃない。
なんでそれすらできないわけ?

(中略)

将来、仕事を二人のどちらかに頼むとしたら、確実に彼に頼むよ。
間違っても君には頼まない。

そう思うのは当然だろう?
誰もがきっとそうする。
こんなの持ってこられたらそうなるよ。



・・・で、どうするんだ?」


とまぁ、こんな風にぼろくそに言われました。
結構凹みました。
伸びる可能性があるからこそ叱るんだ、
見放されていない証拠だという意見もありますが、
こう言われてはとてもそうは思えません。

ちなみに、一緒にレポートを持っていった学生は学年でもトップクラスの優秀な人。
勉強の効率とか要領の良さとか比較されても敵いっこないんです。

言い訳もさせてください。
反省すべき点は多々ありますが、反論したいところもあるのはあります。

ただ、そんなこととは無関係に、
そのときの自分はただどうしようもなくできの悪い一学生でした。

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あのシーンの前に「体調管理も仕事のうち」という言葉、執拗に繰り返されますね?
自責の念で一杯で、その後自信を喪失して行く人間の視線の先で「キラッ☆」ですよ。

やっぱり、どうしようもなく残酷・・・(笑

シェリルの心の痛みがよく分かるような気がするんです。
だらだらと書いて結局それだけかよって感じですが、
「星間飛行」を聞いて最初に思い出すのはその痛みと、ランカの無神経さ。

その2人の対比にそのときの状況を重ねていました。
無意識のうちに。
だから、あのシーンが一番印象に残ったみたいです。

愛だ恋だは重ねうr(以下略。
 

とりあえず菅野よう子の音楽が素敵でした。


【おまけ】あと、これも外せない→