今年もあと一日を残すばかり。
一年が早かったですね。
生涯における時間の心理的長さは年齢に反比例するそうです。
ちなみに40歳ぐらいに比べて、今は1.6倍も早くなっているそうです。
(友人の話から。ジュネと言う人の法則によるそうです)
残りの人生、いつか、ぽつねんとこんな道を歩くのでしょうか?
それとも、こんな道を、賑やかにワイワイと語り合いながら歩くのでしょうか?
できれば後者でありたいものです。
年末という事で、少し感傷的になりました。
(28日、東京ミッドタウンにて)
今年のブログはこれで終了です。
皆様良いお年を!!
さてこれ以降は芝居の記録なので、適当にスルーしてね。
私はこれを書かないと、1年を終える事ができません。
昨年は実母、義母を看取り、足腰の不自由な義父の面倒を見ていたため、
肉体的、精神的に疲れ切ってしまいました。
その反動か、今年は、その場に行って椅子に座れば別世界と言う、芝居や舞台にのめり込みました。
特に、夫も好きになってしまった歌舞伎へよく行きました。
歌舞伎は、良い席もありますが、歌舞伎座や国立劇場はお安くて気楽に行ける席も、多いのです。
10月7日の阿部寛主演の 「ジュリアス・シーザー」 までは書きましたが、その辺の記録から。
10月5日 10月花形歌舞伎 「獨道中五十三駅」(ひとりたび五十三つぎ) 新橋演舞場にて
市川猿之助十八役早変わり並びに宙乗り相勤め申し候
・・・・という事で、良かった記憶はあるが、今は内容をあまり覚えていない。
10月25日 通し狂言 「双蝶々曲輪日記」 (ふたつちょうちょうくるわにっき) 国立劇場にて
松本幸四郎、市川染五郎
7月に府中で吉右衛門の「相撲場」を見たが、今回は通し狂言なので全体のストーリーがよくわかる。
ベテラン力士濡髪は幸四郎より、府中の時の吉右衛門がよく、
新米力士放駒は、今回の染五郎が断然よかった。
間をおかず同じ演目を見たが、役者の違いで歌舞伎が変化する面白さがわかり始めた。
11月16日 通し狂言 「伽羅先代萩」 (めいぼくせんだいはぎ) 国立劇場にて
仙台伊達家のお家騒動をもとに、大名家の跡取りを巡る権力闘争が繰り広げられる。
歌舞伎屈指の名作として名高く、文楽、講談、小説などに取り上げられている。
今回、見せ場の「御殿」の場の正岡を 当たり役の坂田藤十郎が勤めた。
83才の藤十郎、これが正岡を演じる最後かもしれないと思い、出かけた。
セリフは、イマイチはっきり聞き取れないのだが、体からの表現は切々たるものがあり、素晴らしい。
11月17日 吉例顔見世大歌舞伎
「鈴ヶ森」 見目麗しい菊之助の白井権八。ウットリするような美貌。セリフも聞きやすい。
松緑の幡随院長兵衛は、貫録がある。これからが楽しみな人。
「勧進帳」 弁慶が染五郎、義経が吉右衛門、富樫が幸四郎
染五郎の弁慶を見に行った。
一人で行った夫が、「素晴らしいから絶対に行け、良い席で見ろ」と絶賛。
染五郎の弁慶はキリリと引き締まり、セリフ回しも朗々と
若々しく端切れの良い弁慶だった。 私の中の今年一番はこれです。
「義経千本桜」 菊五郎がいがみの権太。染五郎しか思い出す機会が無かったので、
この演目はよく覚えて無くて・・・・・・
1月19日 「紫式部ダイアリー」 三谷幸喜作・演出 パルコ劇場にて
出演・長澤まさみ、斉藤由貴
話を現代に置き換え、 清少納言と紫式部がバーで丁々発止のバトルを繰り広げる。
ベテランの随筆家清少納言が、斬新でかなり飛んでる紫式部を認めながらも反発。
そして自分の築いた文壇での立場を取って代られるような恐怖を味わう。
丁々発止とやりあいながら、紫式部も実は、新人作家の和泉式部に同様の恐怖を抱いているのがわかる。
三谷さんにしては内容が、イマイチ平凡。
敢えて清少納言と紫式部の話にしなくても良かったのでは?
良く知られたこの二人の名前を使うと、人物を説明せずに済むことになり
内容が手抜きになって芝居に深みが出ない気がする。
12月11日 文楽 「伽羅先代萩」 (めいぼくせんだいはぎ)
「紙子仕立両面鏡」 (かみこしたてりょうめんかがみ) 国立劇場小劇場にて
伽羅先代萩は、歌舞伎で見たばかりだったので、歌舞伎との違いなど念頭に置き、楽しく見た。
けれど2本目は寝てしまった。 夫はとても面白かったと言っていた。
はっきりわかった!!
私は文楽の、人形と語りより、人が動き熱を発散する歌舞伎の方が好き!!
2、3本見ただけで、歌舞伎の方が好きと言うのはなんだかおこがましいような気がしていたが、
十本ほど見た今、好き嫌いを言っていいと思う。
まぁ嫌いではないけれど、しばらく文楽を見に行くのはお休みする事にした。
12月19日 通し狂言 「伊賀越道中双六」 (いがごえどうちゅうすごろく) 国立劇場にて
14日に取っていたのだけれど行けなくなってしまい、むすこに券を譲った。
夫によると吉右衛門が素晴しく、歌舞伎をほとんど見ない息子も「良かった!」と言っていたそうだ。
そう聞いたら、無性に行きたくなってしまいますよね。 急遽席を取った。
戦後2回しか上演されなかった「岡崎」の場を44年ぶりに上演した。
この「岡崎」は文楽で見ているが、切なくも残酷、でも美しい話。
涙なしには見られない。
新聞でも、今年最も良い演技だったと吉右衛門が絶賛されていた。納得!
12月20日 「海をゆく者」 パルコ劇場にて 演出・栗山民也
出演・小日向文世、吉田鋼太郎、浅野和之、大谷亮介、平田満
のっけから汚い部屋、目の見えない飲んだくれの兄貴、いわくありげな弟。
更に3人の飲んだくれが加わり、舞台から酒の臭いが漂ってきそうだった。
(2人は友人、1人は酒場で偶然知り合った他人。これが悪魔!!)
この日はクリスマスイブ、酒に酔った悪魔は、弟の命が目当て。
以前、弟が刑務所から出所するのと引き換えに、クリスマスイブの日にカードで勝負し、
負けたら弟は命を差し出すと言う約束をした。
ウキウキとカードを始めた悪魔。さて勝敗はどちらに?
一見暗い芝居でどうなる事かと思ったが、それぞれの性格設定にひねりがあり、
舞台が進むにつれ、徐々に明らかになる彼らの過去と、それとなく続く友情。
そしてカードの緊張感。
伏線の多い芝居で、最後のどんでん返しに、エーッと言う驚きがあった。
温かい内容の芝居だった。
癖のある5人の男優たちの芝居は見ごたえがあった。
今年最後の芝居、満足しました。
今年は間違いなく人生で一番舞台を見た年です。
数えるのが怖いです。
来年はこんなに見たいとは思いませんが、どうなることやら。
皆様、一年間、ブログを見てくださって有難うございました。
来年も宜しくお願いいたします