今日は天気が良さそうだったが雑用の為に山は諦めた。
少し時間があったのでたまに訪れる太白区の古書店の萬葉堂さんに寄り、文庫本を一冊買い求めて帰ろうとした所興味深い本が7冊。「岩と雪 1~7号」値段は7冊で7000円と表示され、隅の本棚の一番下の所に押しやられていた。紐を解いて本をめくってみると、多少は黄ばんではいるものの汚れや破れた様子も無く、この7冊は保存状態が良くて上物に思えた。先日、知人から8号を貰ったので、この7冊を購入すれば1~110号まで36号の一冊を除いて揃う事になる。まったくの偶然だが、このチャンスは他にあるまいという事で、10%だけ値切ってなけなしをはたいて購入。
これまで色々な山の本は購入したが、別に骨董的な趣味は無いので今まで高い金を払って買った記憶は無いが、ただなんとなく「岩と雪」だけは別物で思い出深い物がある。かつてアルパインクライマーを目指していた頃は、たいした記録でもなかったが5~6本投稿し、登攀クロニクルに全て掲載してもらった。今思えば記録のレベルとか内容は別にして、当時、東北の山屋さんからの投稿が極めて少なく、珍しさがあっての掲載だったのだろう。
創刊号の発行は昭和33年6月25日、P324のB5版で定価300円とある。内容はヒマラヤの初期の情報に関するものが2割位で、他は烏帽子奥壁、中央稜、滝沢、前穂東壁、北岳バットレス中央稜、赤石沢奥壁中央稜、剣岳チンネ正面壁、不帰岳一峰東壁など、国内の積雪期初登攀記録のオンパレードとなっている。主役は芳野満彦、松本竜夫、奥山明、吉尾弘、吉田二郎など、第2次RCC創成期の初代メンバー。
読んでみるといまの山行記録とは異なり文学的な匂いというか、まるで小説を読む様な文面で結構面白い。今から50年も前のこの時代とは言え、既に激しい初登攀争いが当たりの様で、「未踏」の持つ魔力に引き付けられた多くのクライマーの生き様が描かれている。この激しい積雪期の初登攀争いから社会人山岳会が実力蓄え、伝統的な大学山岳部系山岳会主体だった日本の岳界勢力地図は塗り替えられ、やがて世界をリードするヒマラヤ登山大国に発展して行く。
いまさら行きたくても中々実現しないヒマラヤだが、そろそろ懐古趣味も似合ってきたという事でしょうか?