東北アルパインスキー日誌 ブログ

東北南部の山での山スキー、山歩き、山釣りなどと共に、田舎暮らしなどの話を交えながら綴っています。

鳥海山・月山・朝日連峰周辺のスノーモービル規制問題 No.2

2007年03月30日 | スノーモービル問題
3. 山スキーヤーとモビラーの共存関係は?

 山スキーヤーとスノーモービルの愛好家(以下 モビラー)との接点は、私の範囲内では以外に少なく、僅かに鳥海山で2度出会っただけだ。もちろんゲレンデを整備するスタッフとか、蔵王の馬の背の稜線で標識などの整備をしているケースを除いてである。また、朝日連峰で5月の連休のころ、熊打ちをする為の狩猟目的の方々、山仕事の為の方々も同様です。

 確かに現状では私達の行動中に遭遇することは少なく、たまに出会っても私達の行動を妨げたり、またトラブルに発展すると言うケースは無かった。そういう意味では、彼らも山スキーヤーとあえてバッティングするコース、時期を避けたりしているとい可能性も有り、必ずしも相互に敵対的な関係と言う雰囲気は無い。しかし悲劇的なことは、モビラーの誉る白い無限の斜面と、山スキーヤーが垂涎の的とする美しい斜面が同じ対象だと言うことだ。

 山スキーヤーとモビラーの境界線、あるいは能力の限界点は何処にあるかと考えると、最近の東北の山々では残念ながら殆ど差が無い。もちろん急峻な尾根・谷筋の連続する飯豊・朝日のようなエリアは別にしての話だが、広大な裾野の広がる鳥海山や、素晴らしいブナ林の広がる月山・赤見堂周辺、たおやかな山並みの広がる蔵王・吾妻連峰などは同じ事が言える。むしろ、鳥海山の山頂まで一気にスノーモービルが駆け上がる様に、強力なパワーを持つ機械力には人間の力などは敵う筈も無く、同じ土俵なら遥かに我々を凌駕している事を認めざるを得ない。何しろ我々が6時間半かけて辿りついた七ッ釜小屋に、モビラー達は僅か30分で到着したと言う事だから。

 この現実を考えると、山スキーヤーが持つ古典的な価値観・スタイルと、彼らが行動しているそれとはあまりにも大きな隔たりが有り、お互い共通の価値観など見出せない様にも思える。共通の価値観の無い所にお互いのルール作りなどという発想も無く、ただ反目して感情的に走ると言う可能性もある。そういう意味だけでの解決は困難と思われる。その結果、解決の糸口としては例えば公的な機関、または環境保護団体や登山ガイドの組織団体など、多くの関係者を交えた意見の交換を行い、中立的な立場に立ったコンセンサス造りが必要になると思います。ただ、これ以前に多くの関係者が関心を持つと言う事が重要であり、我々山スキーヤーの務めとしては、少しでも現場での事例を報告してもらい、重要なデータ作りをする必要があると思います。要するに、山スキーヤーはこんなに迷惑していると言う事を数多く発信する事です。

4. スノーモービル利用者の複雑な関係。

 スノーモービルの問題を取り上げる場合、山に乗り入れる方の全て対して同じ論調で言えない事情も有ります。例えば、山仕事やダム・水門の管理、狩猟目的で利用する方、冬季は車の通行が困難になり、生活の手段として利用する方など。叉は遭難事故が起こった際には救助の目的で迅速に現場に駆けつける救助隊、災害・豪雪などでレスキュー活動をされる方など、様々な利用の形態が有る。生活に根ざした方々にとっては時には生命線であり、叉は先祖伝来の伝統的文化でも有り、場合によっては既得権だって考えられます。その為、一律な規制で問題が解決するとは限らず、それぞれの諸事情を考慮した上での協議が必要な訳で、これは決して容易な事でもないと思います。

 実際問題として、我々山屋、山スキーヤーでさえ遭難するとすると逆にお世話になったり、叉は望まなくてもアプローチで結果的にトレースに助けられたりします。また以外だったのは、モビラーの中には山スキーヤーも含まれているケースも有り、スノーモービルにピックアップしてもらって滑りを楽しむ人もいるらしい。こうなると話はやや複雑で、山屋・山スキーヤーでさえ全てが反対の立場とは限らない。実を言うとこの自分も大朝日岳を目指した時、アプローチの林道歩きを敬遠し、チャーターしたスノーモービルをちゃっかり利用した事もある。こういう現実問題を整理した上、お互いの立場を尊重しながら話を進める必要が有りそうです。  続く

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鳥海山・月山・朝日連峰周辺のスノーモービル規制問題 No.1 

2007年03月29日 | スノーモービル問題

             猿倉口コース上部のスノーモービルのトレース

1. スノーモービルとの遭遇

 3月4日 鳥海山の猿倉口から七ッ釜小屋を経由し、七高山に登頂してフォレスタ鳥海から往復したが、ここでスノーモービルのトレースの有様に愕然としてしまった。以前から話には聞いていたものの、普段我々山スキー・ボーダーが慣れ親しんでいる鳥海山の無垢の斜面が、キャタピラの跡によって荒らされ、実に無残な光景となっていたのだった。

 そういえば2005年の4月10日、上ノ台コースを辿って七高山を往復した時、祓川方面からスノーモービルのグループが上って行き、驚いたことに7~8台のマシンが七高山まで駆け上がる光景を目にした。まさかこんな所までとは予想もせず、驚きと同時に呆れ、そして落胆してしまった。獅子小屋からはだいぶ距離はあったが、フルスロットルのエンジン音は鳥海山東面の全般に響き渡り、厳かな冬の大自然の静寂をぶち壊しにしていた。

 我々もすっかり驚いてしまったが、それ以上にこの時期にも生息するカモシカ、野ウサギ、テン、そして冬眠中の熊などにはどんなストレスを与えているだろうか?この暖冬の年の露出した植生に与える影響は無いのだろうか?普段はあまり関心のなかった自然環境への疑問だが、その当事者となってみると関心を持たざるを得ない。

 また、今シーズンの1月21日(日)、大井沢から赤見堂を目指した時、北側の鍋森山の山頂付近にスノーモービルのグループを確認した。おそらく月山第1トンネル付近から鍋森山山頂を目指したものと思われるが、かなり距離があるとはいえ、あの好きになれない2サイクルのエンジン音がこだましていた。私はまだ未確認だが、これ以外にも湯殿山の南面周辺も同様なことになっている様だ。

2. 遅れてやってきた山スキーヤー 

 このスノーモービルの乗り入れについて、最も影響を受けまた関心を持ざるを得ないのは山屋さんたち、とりわけおいしそうな無限の斜面を共有する山スキーヤー・スノーボーダーだろう。特に春スキーでは全国的に名の知れた鳥海山・月山は、この時期は長い歴史を持つ山スキーヤーにとって殿堂であり、誉れのスキーエリアであった筈だ。しかし昨今そんな事とは無関係に、我々以上に行動範囲を広げ、厳冬期の厳しい時期にも関わらず活動しているのは、パワー溢れる機械力を駆使したスノーモービルの軍団だった。

 山スキーヤーの多くは3月後半から5月にかけて活動する方が多いが、スノーモービルのグループは天候が許せば厳冬期でも活動している。今年のような暖冬の年なら、12月から鳥海山の七ッ釜小屋周辺に出没し、好天の時は殆ど毎週のようにキャタピラの跡を刻んでいる様です。すなわち、山スキーヤーのあまり訪れない12月~4月頃が最盛期で、その間は殆ど貸切状態といっても良い状況なのです。
 
 もしかするとスノーモービルの方々は山スキーヤーをのバッティングを避け、あえてこの時期を選んでいるのかもしれないが、もしそうであるならば、いつの間にか山スキーヤーとの住み分けが形成され、ある意味での既得権を享受しているとも言える。つまり、山スキーヤーがまったく知らぬ間にこの時期の勢力地図が形成され、いつの間にか我々は後追いのグループとなり、彼らが圧倒的な存在になったとも見えてくる。ただ、この時期で山スキーヤーがスノーモービルの一団と遭遇する事は少なく、今の所実質的にトラブルになったり敵対意識をあらわにする事は少ないが・・・。

 しかし我々が反省しなければならないには、多くの方がこの最近の現状を知らない事と、この問題に関してスノーモービル愛好家以上に不勉強で、また無関心であった事だと思う。なぜならば、この国立公園または国定公園に関して、いったいどの様な法的規制が有り、なぜこの様な現状がまかり通っているのかについて、基本的な知識さえ持ち合わせていない方が多いからです。その為、ただ感情的に反対を唱える前に、少しでも多くの状況を確認して現状の認識を深め、我々山スキーヤーとしての基本的なスタンスを固めることが必要になってくる。それと、多くの山スキーヤーに関心を持ってもらい、スノーモービル愛好家を含めての、積極的な意見の交換が必要になってきたとも思います。  続く。



    
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杉の枝打ち

2007年03月11日 | 林業

この時期特にとかく悪者扱いされる杉の木だが、冬季期間に良く行われる枝打ち作業をやった。なぜ今頃かと言うと訳があって、切り口から雑菌や病害虫が進入しない冬場が適しているのだ。しかも積雪が多いと高い所までノコギリが届き、雪の締まったこの時期なら移動が楽で都合が良い。
普通に行われる枝打ちは地上2.5mくらいまで、長い柄の付いた枝打ち用のノコギリで切り落とすが、今回は樹齢45年くらいの林で樹高が高く梯子を使っての作業となる。この山林は民家に近く、農道に隣接しているので枝が張り出しており、見るからに手入れが行き届いていない雰囲気で見栄えがしない。杉は明るい方向に向けてどんどん枝を張る為、片側方向の空間に向けて太い枝に成長する。いわゆる「暴れ木」と言うやつで、木は大きく成長するが製材すると大きな節だらけで商品価値は低い。
木にしっかり固定した梯子から枝に乗り移り、高さ8m前後までの枝をノコギリで落としてゆく。枯枝に体重を掛けて折れるとえらいことになるので、慣れるまでは枝が信用できなくてちょっとビビリ気味。しかしクライミング用のウエストベルトにシュリンゲを結び、自己確保さえ出来れば何も不安はない。要領は上から下に順々に切り落とし、木にくぐしたシュリンゲを下にずらして行けがば良い。
終わってみると林はすっかり明るくなり、太陽もふんだんに差し込んで内部の木々の生長も良くなる。確かに山村の風景としては農家の裏山は座敷林となっており、枝打ちされて手入れの行き届いた風景は美しく、山主の山林に対する畏敬の念を感じさせる。作業を終えると気分もすっきりし、これからもどんどん成長してくれと願うばかりだ。




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