築120年は過ぎているらしい蔵の解体を行った。この10年間で3回の大雪に耐え切れずに柱が傾いてしまい、壁のひび割れも広がっていずれ自然倒壊を待つ前に解体を決断。内部は何度か改造された土間コンクリート敷きで、今でいうバリアフリーでコメの貯蔵・除雪機や乗用草刈り機の収納には大変重宝な存在だった。しかし、隣家と接する道路側の屋根の雪下ろしが難儀で、毎年2~3回の肉体労働は敬遠したかった事が最大の理由。
この世帯数7戸の典型的な限界集落では空き家が目立つと共に、大雪による自然倒壊し放置された無残な家屋や小屋が目立ち始めた。生まれ育った田舎の光景としては実にわびしく見るに忍びない状況で、自分の家だけは無残な姿を晒すことは良しとせず即断した。
仕事は従弟が務めている解体会社に格安で頼み込み、解体用ユンボ1台、ダンプ1台で事が足りて作業は実に迅速。1時間程で解体は済んで分別・撤去に2日間の計3日間で完了。積雪は1.5mに達するこの地で80.0㎡の屋根に締まり雪で20~40トンの重さが乗っていた訳だが、解体は実に赤子の手をひねるような簡単な作業。どうして屋根がその重さに耐えたのかが不思議。昔の雪国の大工さんは偉い。
解体の職人さんは従弟が一番若くて67歳で、他の3人は70~75歳の大ベテランの様子。この解体がある限り仕事に不自由する事はありません。実際、田舎には家屋のほか作業小屋や土蔵などの解体物件が多い。
その解体で出てきたのが九谷焼の大皿(直径60.0cm)と100年以上前の古いタンス。自分では眼力がないのでさっぱり解らないが、皿は本物であるのかバッタものなのか興味があるところ。そんなに古いものでもなさそうで、調子のよい商人にぼったくられた事もあり得るのでこの際がっかりしないようそのまま飾っておこう。誰か博識の方がいたら教えてください。箪笥は金物さえ磨けば今でも十分使える美品の程度。