最近は蔵王周辺のワンパターン山行が続いている。この時期あまり好天の期待が出来ない蔵王連邦は2回に1回くらいは敗退が当たり前で、ギブアップしてスキー場のレストハウスの片隅でカンビールを呑んでいるなどという日もたまに有る。その点今シーズンの年明け以降は意外と好天に恵まれ、今年になってからは2勝1敗とまあ調子は良い。
しかしいつも思うのだがこの蔵王連邦下部の密林は何なのか?これさえ無ければ山スキーはもっと快適で、もっと大々的に全国的に売り出しても良いと思うのだが。蔵王連邦の西面は標高800~1200mの辺りでは意外と積雪は少なく、潅木が雪に覆われる事もあまり無くて鬱陶しい事とが原因だ。しかしかつて植林されたカラ松林が点在している事も関連がある様だ。
最近、林業に従事する知人に聞いた話によると、以前ブナ林が伐採された後標高の低いところでは多量の杉の木が植林されたが、標高の高い所にはカラ松が植林された。しかしこのカラ松は30年以上は経っていると思われるが細く、ひどく貧弱で建築の用材にはなりそうも無い代物。それはそのはずで、北海道、長野辺りのカラ松と違って植林されてからはまったく手入れがなされず、そのまま放置されている。
その理由はカラ松が最初から商品価値を期待されず、最初から放置される運命にあったのだ。つまり、戦後の植林事業の拡大から多くの補助金が交付され、とにかく植えれば植えるほど潤うという時代が有り、杉、檜、カラ松が無計画に植林されていった。今となってはその無計画なツケが廻って来て、手入れのされない杉林だらけになってしまい、スギ花粉問題と絡んで今や社会問題化している。
実はこのカラマツは単なるリリーフの存在で、植林されてからまもなくは元気が良いが、下層林のミズナラやブナが次第に成長して来ると精力を失い、やがて50年もすると枯れてしまって広葉樹に明け渡す存在なのである。つまりカラ松は痩せた土地でこそ成長するが、ミズナラやブナの葉っぱが堆積して土地が肥えてくると、彼らに負けて成長が止まりやがて枯れて行くのである。
人間様にとってはまったく手がかからず、補助金目当ての伐採計画にはもってこいの方法だったのかも知れない。今から思えばこの位の標高では豊かなブナ林を残して欲しかったが、今となっては山スキーヤーにも嫌われる鬱陶しい存在でしかない。