今回の計画はナジールエクスペディション社との直接契約だったが、仙台の身近な仲間にバルトロ氷河トレッキングの経験者がおらず、殆どはネットから仕入れた情報に頼って計画した。
その為、我々の体力に見合わない無理なスケジュールだったり、実際には必要が無かったり役に立たなかった装備も有り、もっとスリム化してスマートな旅を目指す教訓ともなった。幸い、事故や目立ったトラブルも無く実に感動的で楽しいトレッキングで、計画が大幅に変更になったが終わってみれば好天には恵まれて充実した日々だった。
現地に入ると殆どを現地のエージェントにい依存する訳だが、ナジールエクスペディション社は我々の要求に事細かく応え、見事なアテンドで気配りも良く満足度の高い旅でした。彼らは日頃から日本人のガイドをやっていて我々も馴染みやすく、何より日本人を良く理解して親切で好意的だった。
自分は44年ぶりに訪れた2度目のカラコロムだったが、振り返るとバルトロ氷河もフンザも再び訪れたくなる大きな魅力を感じる。3年後には評判の悪いスカルド~カラコロムハウエイ間のスカルド街道の拡張工事も完了する見込みで、これからより多くのお客がやって来て観光化が進むと思われます。
その上3年後の完成の予定でアスコーレ~パイユまでの車道の整備計画があり、もっと気軽にトレッキングが出来る様な環境整備計画が進んでいる様です。
また、中国側では既にK2の北面BC近くまで車道が完成している模様で、カラコロムハイウェイの完全整備と合わせて開発がさらに進み、古い山屋としては昔の夢が失われる様で少し寂しい気もする。
カラコロムには何度も訪れる登山家やトレッカーも多く、自分もっそのリピーターの仲間に入りたい様な気もする。
最後に思いついた点をランダムに羅列しておきました。
1 スペアのメガネは持参するべき。
破損 紛失など。(現地での作成購入 RS2700 =¥2700程度)
2 有ると便利な物
①ビニール袋 35L(仙台市ゴミ袋)お買い物袋(ダイソー M)キャリーバッグ内の雨の養生及びゴミ袋。
②テルモス
テント内で夜の水分補給の為(標高4200m以上)
③ホッカイロ
腰に貼り付けて寝ると温かい。
3 ソーラーパネル 5V 2−4A 16W(¥4,500程度)
帰路を除き全日が晴天だった為、デジカメ スマフォ ウォークマンは殆どソーラーパネルで対応した。ただ、悪天候が続く事もあるので乾電池式チャージャーも持参した方が良いでしょう。
但し、乾電池の場合は容量の小さなデジカメバッテリー等にはある程度有効だが、スマフォやタブレット等は30~50%程度しか充電できず、残った感電池の半分以上は無駄になり効率は悪い。
4 モバイルバッテリー 1万mmAh
スマフォ 2〜3回充電可
オリンパス一眼レフバッテリー 4時間充電?
小さくてソーラーパネルとセットで運用すると効果的。
5 デジカメ
① オリンパス OM-D E-M 5 MarkⅡ 手振れ防止機能が良く働き殆ど三脚は使用しなかった。
レンズ M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm (50mm換算 28-80mm)を多用。 標準ズームの明るいレンズ(f 2.8)。
その他 OLYMPUS DIGTAL40〜150mm M.ZUIKO DIGTAL 75~300mm
② ニコン COOLPIX AW130 (防水デジカメ)
6 PLフィルターを多用した。
7 厚手のダウンジャケットは必須(中高年)標高4200m以上。
8 パルキシオメーター ダイアモックスは体調管理のため必須。
9 正露丸 下痢止 は必須(パキスタン入国初期)。
10 バルトロTR 65歳以上にとってはけっこうハード。(3週間のテント生活と登り下りのモレーン歩きの連続とワンパターンの食生活)特に、この時期の標高の低いアスコーレ~パイユまでの2日間は最高で気温42℃に達して暑く、往復の計4日間は体力の消耗が激しかった。日頃山歩きで足腰を鍛えておいた方が良いでしょう。
ただ、ガイドのべイムさんは過去、70歳以上の日本人女性グループをコンコルディア迄アテンドした事があると言っていた。
11 ゴンドゴロラ峠越えは天候のタイミングとチームの足並みそれに運が揃わないと難しい様です。(多くは断念していると思われる)
12 ニセ警官に注意(入国日イスラマバード空港最後の出口外にて呼び止められ、パスポート、金をチェックすると要求)私服なので要注意。
13 体調不良又は高所順応の失敗が意外と多い。(s旅行2パーティーで途中離脱 1名高度障害の為ヘリでピックアップ 2名は日射病・体調不良で4日目のウルドカスからリターン )公募グループは特に多いと思われる。
14 ガッシャブルム2峰BCのトレッキングはコンコルディア以降の景観に恵まれず、見るべき個所は少ない様で現地では余り人気は無い。日程もきついので結果的にキャンセルとした。
15 食事のメニューは野菜中心でバリエーション豊富。夕食はスープ カレー料理2〜3種類 生野菜サラダ 又はプリンやメロン・マンゴー、缶詰フルーツ等のデザート。
朝食はトースト又はチャパティ(たまにお粥)、オムレツ、パンケーキ。
飲み物はミルクティー、緑茶、コーヒー。
今回は現地食を味わうべきとの趣旨だった為日本食は無し。しかし自分にとっては辛かった。
ナジールEXPの食材は実に質量共に豊富で、生野菜、ヤギ・チキンの肉(2匹調達)生卵(最後迄絶やさず)コカコーラ、粉末ジュース等多種多様。
但し、ヨーロッパ人の基準なのか量が多く、毎回出て来る量の半分から3分の1程度しか食べられなかった。
16 コック長(ジャンさん)の腕は素晴らしく、スカルドのホテル並みの食事を提供。ただ、後半からは同じメニューの繰り返しの為食傷ぎみになり、やはり日本食のバリエーションが必要だった。
17 バルトロ街道は砂塵とロバの馬糞や人糞、そして多量のゴミが散乱して悪い環境が続く。特にパキスタン陸軍によって投機された膨大な数の灯油の空き缶やゴミが散乱し、街道沿いの環境汚染を増長している。
18 バルトロ氷河トレッキングの難易度
最近のネパールTRの状況は良く知りませんが、バルトロTRの場合は途中にホテルやロッジ等は無く2〜3週間のテント生活となり、緑の無い砂塵と岩や石だらけの慣れないモレーン歩きが続き、意外と行動時間も長く体力&精神的にも疲れが貯まりやすい。
トレッキングのスタート4日後に日射病や体調不良で引き返す人もいて、コンコルディアで高所順応の失敗でヘリでスカルドヘ送られるケースも有った。(特に日本人)
日本人は我々と同様に60歳代が多い様ですが、60歳代後半以上になると日頃山で鍛えていないと歩きは結構厳しいです。2年前に結構難易度の高いカンチェンジュンガのトレッキングを行っている2人ですが、バルトロ氷河の方が遥かに厳しいと言っていた。
19 コックやサブガイド&ポーターへの教育や指導が良く出来ており、親切で気配りが良くマナーも愛想も良い。盗難や紛失等は一切無かった。(スタッフやポーターへのチップは必要)
20 特にうるさいと言われる北京空港で入国チェックを受ける際、リチウム電池等は予めパッケージに分けておいてトレイに載せて通過すれば問題なくパスする。
21 天候
イスラマバード着以来連続14日間の晴天の後(コンコルディアからの帰路初日まで)帰路は連続2日間の雨又は曇りその後晴れ。ゴンドゴロラ峠越えは天候のタイミングが悪く断念したが、結果的に1か月間は実にラッキーな天候だった。
雨は日本の様に連続集中的に降る事は無く、曇り〜小雨〜たまに本降り〜晴天と変化する。雨が上がった後は砂塵が舞う事もなく、空気は綺麗で涼しく歩き易い。
22 ナジールEXPとの契約
直接メールでやり取りの後パキスタン入り。特に正式な契約書の取り交わしは無かった。窓口マネジャー スルタンカーンさん
23 客層
中国人のグループが多く次いでドイツ人、フランス人などのヨーロピアンで20〜50歳台。他の日本人は3グループで見かけたのは計20人程度。日本人の若い人は皆無で我々を含めて60歳台が多い。なお、ナジールEXPでは8月に国内A社の日本人3グループをアテンドする予定らしい。
24 計画の変更
元々体力にそぐわない当初から無理な計画だったが、結局3人の足並みが揃わず全体的に縮小&キャンセルとなった。だが、天候には恵まれて写真撮影には最高なトレッキングだった。
25 高度順化
アスコーレ〜コンコルディアまではパイユでの1日の休養日を含み、ゆっくり高度を上げて行くので高度順化は問題なかった。(3人共過去にヒマラヤ登山の経験有り)
26 キャリーバッグ
ナジールEXPではトレッキング中に使用するキャリーバッグの支給はなく、急遽スカルドで4個別途調達した。
27 ウェットティシュ
トレッキング期間中に全身洗えるのは洗面台設備のあるパイユとウルドカス位。顔や全身を拭くのに重宝するのがウェットテッシュ。
28 ナジールEXPへの支払額
明記はしませんが国内のツアー会社の3分の2以下に抑える事は可能。(航空運賃を含む 往復9万円 中国航空の場合)5人程度にまとまればもっと一人当たりの金額は下がるでしょう。但し、現地やトレッキング中のトラブルについては自己責任と考える覚悟は必要。(今回は酸素やガモウバックの持参は無し)
29 トレッキングの時期
7月〜9月迄シーズンだが、9月に入ると気温が下がってコンコルディア周辺以上は雪になるケースが多く、ゴンドゴロラ峠越えはさらに困難になると思われる。最適な時期はコンコルディア着が7月中旬〜8月下旬位と思われます。
30 飲料水
キャンプサイトで煮沸して冷ました水のみ安全。氷河上で一見奇麗な水が流れているが、その上部には必ず馬糞が有ると考えた方が良い。
31 水分の補給
高所順応の為の水分補給は重要で、食事時を含めて2,0L以上の量を確保する。行動中には1.5L位の水を持ったほうが良い。
32 日除け対策
日中は日差しが強いので首筋後部を覆う帽子は必須。通常のキャップと日除け用と2種類を持参した。
33 wifi事情
スカルドより先はwifiが使えず3週間のテント生活では連絡の手段はなった。
スカルドやフンザのホテル内のwifiも通信は不安定で、通信回線が悪くメールは送れるが画像は出来なかったり、使用する時間帯によっては利用者が集中して繋がらなかった。
ただ、意外とラインの画像は時々送信できた。なお、ガイドのベイグさんは会社の衛星電話で遣り取りしていた。
34 バルトロトレッキングの状況
我々のバルトロ方面のトレッキングパミッションNoは99だったが、シーズン中は200を越すグループが入る模様。カラコルムでは超人気のコースかつドル箱のトレッキングコース。
35 エアマットなどの持参
長い間のキャンプ地は良く整備されているものの平坦で石の無い箇所などは限られている。マットは薄手1枚と個人用1枚が支給されるが寝心地は余り良くなく、日本からエアマットなどを1枚を持参した方が良いでしょう。眠れない夜が続くと結構辛いので工夫した方が良いです。
36 K2撮影の為ベストポイント
殆どのパーティーはコンコルディアを往復するコースをとっているが、K2の巨大な山塊と迫力を感じさせるポイントはブロードピークBCにあると思います。余裕が有れば是非ここから朝徐々に日が当たる姿のワンショットをお勧めします。
No 10 パスー〜クンジュラブ峠~ボリレイク~ギルギット~イスラマバード~羽田 ⇔ バルトロ氷河トレッキング&フンザ 2019.07.09~08.14
バルトロ氷河トレッキング&フンザ 2019.07.09~08.14
バルトロ氷河トレッキング 2019年 7月~8月 No1 イスラマバード~アスコーレ
バルトロ氷河トレッキング No2 アスコーレ〜パイユ
バルトロ氷河トレッキング No.3 7月18日 パイユ〜コボルツェ
バルトロ氷河トレッキング No 4 7月20~21日 ウルドカス~コンコルディア
バルトロ氷河トレッキング No5 コンコルディア〜ブロードピークBC~k2BC〜コンコルディア
バルトロ氷河トレッキング No6 コンコルディア〜アスコーレ
バルトロ氷河トレッキング No7 アスコーレ〜スカルド~カリマバード
フンザの旅 No8 カリマバード滞在の3日間
フンザの旅 No.9 カリマバード〜ナガール村~アッタバード湖~ボリレイク~パスー
フンザの旅 No 10 パスー〜クンジュラブ峠~ボリレイク~ギルギット~イスラマバード~羽田
No11 バルトロ氷河TR 備忘録
【関連サイト】 東北アルパインスキー日誌