今日は田舎の山でちょっととした間伐作業で汗を流した。
「間伐」をご存知の方も多いと思いますが、これは杉の林が成長して混み入ってしまい、林が暗くなって下草が生えなくなり、定期的に本数を間引きする作業の事を言う。これをやらないと杉の木は細くモヤシの様な線香林となり、下草も育たないと表土が雨で削られ、大雨の時に根こそぎ流される事も有る。
しかし現実には適切な時期の間伐がなされず、殆ど手入れされずに放置されているのが多い。なぜかというと間伐に掛かる費用がかさみ、しかもその間伐材は今や商品価値がなくなって売れない。したがってわずかな補助金をもらっても間伐する人は少なく、日本全国で30~50年くらいの杉林が惨めな姿をさらしている。
30~40年位前ならば間伐材は特に土木関連で需要が有り、一定の収入の見込める大切な山仕事だった。その為杉林は見事に手入れが行き届き、40~60年で主伐(出荷する為の伐採)された木は高値で取引された。その当時は下手なサラリーマンや公務員などよりは高収入が得られ、山間地は今と違って大変活気づいていた。
その後はご存知のように安い南洋材、北米産の米松、今はシベリアから多量に輸入され、国産材の杉の木、檜は次第に市場から駆逐されて行く運命にあった。しかも現在は大手住宅メーカーが市場を握り、日本伝統の軸組み工法の家から鉄骨系、もしくは北米産の木を使ったパネル工法へと移り変わり、国産材そのもののニーズが先細りとなっている。
今日は法面の土留めに使う目的で樹齢35年程の木10本を間伐し、10~20Φcm×1.8mの杭を40本に切りそろえた。杉の木といえども腐りやすい皮を剥ぐと地中では2~30年は持ちこたえるので、手頃な土木工事の材料としては適している。ただし搬出の手間のかからない林でないと面倒なので、今回は作業道が整備された近所の家の林を無料で間伐させてもらい、その間伐材をありがたく頂くというものである。
この地のような山間地では集落内で相互扶助の雰囲気が強く、お互いに持ちつ持たれずの関係が良く見られる。ましてや不在地主となったサラリーマンた多く、こういった申し出などは大変歓迎されて好都合。綺麗に間伐された林を見ると気分も良く、ストレス解消にも結構役に立ちそうです。