30年前に山間部の休耕田に植林した30年になる杉の木の間伐を行った。米沢森林組合に委託した補助金活用による間伐で、隣接する50年物の山林を含めて0.9ヘクタールだが、職人5人の作業は1日で完了した。
切った杉の木は林家で搬出・運搬すれば販売も可能だが、ほとんど経費倒れでしかも値が付かない為そのまま放置となる。補助金が活用できる制度でもっと林家に活用されそうなものだが、意外と反応はいま一つで余り浸透していない。
大きな理由は30~40年前から自由化で輸入木材に押されて木材価格が低迷し、建築様式の変化と共に需要が先細りになっている事にある。海外と異なり日本では多量で安定した品質の木材流通システムが存在しない為、大手住宅メーカーやゼネコンへの販売ルートや市場が無く、将来を見通す事が出来ない事に原因がある。
つまり、農業と異なり国土を守るというマクロ的な観点から見た基本方針が無く、輸入自由化で単なる市場原理任せでこの業界は衰退していった。
しかし、大きな潜在的要因は別にある。40年位前までは高い所得水準にあった林業だが、今や補助金なしには成立が困難な産業となり、就業人口の減少と高齢化で今後の存立さえ危ぶまれる状況となっている。
今は代替わりで相続された方々が山林に対して価値観や関心を失い、自分の山の境界線はもちろん、何処にどの位の山林を所有しているの不明な方々も少なくはない。
むしろ、残された山林は荒れ放題で相続した人にとってはお荷物となり、出来れば手っ取り早く現金化して手放したいという気になるのも理解はできます。
しかし、その行為こそが外資(主にC国資本)のターゲットとなり、知らないうちに広大な山林が投げ売りされている。現状では自由に外国資本に売却されているが、日本の民法では所有者の権利が固く保護されており、規制を加えたり再び買い戻すことはかなり困難な状況となっている。
長年にも渡ってこの問題が議論されてきたが、相変わらず国家による抜本的な政策が示されず、余り票にならない業界の為政治家の関心も薄い。最近は原木の安値の為の大規模かつ無計画な皆伐がはびこり、広大な伐採跡地からの土砂崩壊問題も加わってより深刻になっている。
【関連サイト】 東北アルパインスキー日誌