毎年2回ほど山林作業道の草刈りが欠かせないが、ついうっかりやってしまったのが草刈り機のタイヤの空転。
一度はまってしまうと蟻地獄のように車体が滑って落ちて事態が悪化し、下手をすると一緒に30m程転げ落ちそうになるのでまずい。
ここで登場するのが40年前にお役目御免となったボナッティのカラビナとスリング。コンパクトなので何時もボックスに忍ばせておくが、これがないと一人での復旧は難しい。
樹木や木の根にスリングでアンカーを取り、10m程あるワイヤー付きウィンチで静かにずり上げてからエンジンをスタートさえ、何とか逃げ切って今日の所はジ・エンド。
20代の頃はアルパインクライマー気取りでいて、たいしたルートも登らないうちにリタイアしてしまったが、何となくそこ頃の危機感が呼び戻される気もした。
20代の後半に黒伏山南壁で赤いハングしたトラバース経由で中央ルンゼを単独で登った事が有ったが、ルートの1/3はノーザイルだった。確保はあっても決して落ちてはいけないのだ。
森林組合の作業班だったら絶対一人での作業はあり得ないだろう。何しろ、林業での死亡率は高いと言われる建設業の比ではないからだ。
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昨年の11月から始まった間伐作業の様子を見に行ってみた。現場まで1時間ほど歩いて辿り着いてみると伐採作業は完了して8割くらい搬出も完了していた。
今年は雪が少なくて作業がはかどった様で、機械化された作業はどんどん進んで次々に木材が搬出されていった。かつては、立木を1本づつワイヤーで引っ張っていた頃と比べると隔世の感が有り、今やこれが当たり前の林業という事になるようだ。
ただ、機械力に依存するための弊害もある訳で、新しく作った作業道がすっかり荒れてしまい、雨が降ると路盤が流されたり崩れりする可能性も出てくる。しっかり補修してもらう事にはなっているが、何処まで遣ってくれるかはこれからの交渉にもよるだろう。それと、今後は自分の手による作業道の整備が必要になってくる。
搬出された杉の木の最も太いものは末口(細い方の直径)が44・0cmも有り、色も良く年輪を数えてみると120年位にはなりそうな立派な杉の木で、雪国独特の細かい年輪を重ねて立派な柾目の板が取れそうな良い木だった。中には建材にならないものが有って合板用に廻され、それ以下の木はバイオマス発電の材料となる。しかし、共に値段は建材用と比べると遥かに安く、バイオマス用の木は持ち込みで軽トラック1台分で1500~2000円で緯度と思われる。
全体的な構図からすると伐採・搬出にかかる費用が多くの部分を占め、60~100年かけて苦労しながら育てた立木生産者には僅かな金しか残らないというのが現実です。まあ、大半の方はすっかり諦めて放置しているのが普通ですが、先代が残した山を見捨てるのは忍びなく、多少の補助金にすがってやっている訳です。
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森林組合と契約して11月から始まった間伐作業だが、大型のユンボで杉の木を一定の方向に倒して作業道を延ばしてゆき、雪が積る前に奥の方から伐採が始まりそこら中倒れた杉の木であふれていた。今回は間伐の比率は30.0%と決まっているが、やけに多そうな気もするが気のせいか?
最近の林業は機械化が進んでいるようで、伐倒・枝払い・玉切りを1台でこなす高性能の重機が主役で、60~80年ほどの杉の木は次から次へと長さ3.0mに切り揃えられてゆく。かつては時間をかけて1本ごとにワイヤーロープで集材したが、今や隔世の感がある様な作業現場で驚いてしまった。作業員も30~40歳台の方がほとんどの様で、高齢者しかいないかつての現場とは違って大変活気が感じられる。
運搬車両は大きくごついキャタピラがついており、ディーゼルエンジンの音を唸らしながら急な坂道を力強く上がってゆく。ただ残念なのだが、せっかく砂利を敷いて長年整備してきた作業道は荒らされ、山が悲鳴を上げているような気がして何か悪い事をしている気もする。何時も頼んでいる地元業者の間伐方法とは異なりかなり荒っぽい作業で、先代だったらこんな事はやらなかったかも知れない。
搬出された間伐材は土場に運ばれて寸法を取られる訳だが、最も太い木の年輪を数えると102年程になる杉の木だった。3~4代位前の先祖が植えた木だろうが、こんな雪深いところでよくぞ手入れして育てたものと感心してしまった。
幅3.0mも作業道を切るためには軒並みの伐倒。
最近は機械化が進んで仕事は早いが荒っぽい印象。
ウィンチは30.m程度の範囲の集材。
伐採・枝落とし・玉切り(3.0mに切り揃える)は1台でこなす。
大型の運搬車のキャタピラが道を荒らす。
土場まで運んで末口(細い側の直径)と本数を計算して出荷する㎥数を出す。
44.0cmの末口は年輪を数えると樹齢100年余り。目は詰まっているがトビ(腐朽菌)が入っている。
先日、実家の森林組合と契約した間伐計画実行のための作業道整備の立ち合いを行った。先代の残した山林は60年~80年ほどになる杉の植林地が多く、通常は市場に出荷できる時期になって主伐(全て伐採)する事になるのだが、原木の市場価格が40年前の4~5分の1に下がってしまっていてとても踏み切れない。
また、伐採や運搬の経費を差し引くと生産者の手に利益はほとんど残らない状況が続き、大半の所有者は諦めて手入れもしないでいるケースが多く、山林も作業道も次第に荒れてしまって整備場出来ず放置されているケースが多い。林家は高齢化が進み次の代への引き継がれる時なのだが、後を受け継ぐ人の関心は山林に余り興味がない為、管理はおろか植林地の境界や面積なども分かっていない事が多い状況。
最悪のケースでは、最近、国の補助で成り立っているバイオマス発電所の燃料として、先祖が長年かけて育てた立派な杉の木を皆伐し二束三文で売却する人もいるようです。国産木材の需要が低迷していてどうしようもない現状ではあるが、時々山奥の山が広範囲に丸裸にされている山の姿を目にすると残念に思います。
今回は、国の補助制度を活用しての間伐なので、いわゆる切り捨て間伐ではなく売却して利益を出し、同時に作業道の整備も進めて森林の整備を長期的に行い管理するのが趣旨。資金のない林家に取っては願ったりかなったりの制度ですが、おそらく売却した後は経費で殆ど抜かれて利益の還元はあまり期待はできないだろうし、森林組合に任せっぱなしだと必要以上に伐採されないか見極める必要もある。
12月から伐採の作業に入る計画だが、積雪が1.0~1.5mのこの地で現地まで歩いて通う事になり、いったいどうやって作業をするのかが少し疑問。伐採後の運搬は3月以降だろうが、金属キャタピラのついた運搬車はの共有作業道を痛めるのでそれも不安が残る。
本日は天候は持ちそうだったので山歩きに行く予定だったが、諸事情で変わって山林の作業道の草刈り作業。
この乗用タイプの草刈りマシンは果樹園などで使用されているが、4WD&高さ調整OKのところがちょっと違う。
山林で荒っぽく使うのでハンマーナイフは石ころとの闘いで、時々悲鳴を上げて販売店に逆戻りも多い。
ただ山林での一人作業は常に危険が付き物で、路肩からの横転・転倒で事故ることもあり、知人で果樹園の単独作業中に横転して一人亡くなった方がいる。
先代が何でこんなものを残したのか最初は解らなかったが、今やこれなくして我が家の畑・田んぼ・作業道の草刈りは不可能。雪国の田舎では除雪機と共に1家に1台の必需品。
昭和39年(1964年)に木材の輸入が全面自由化されると、国産材に比べて安い外国産の木材の需要が高まり、国産材の利用は急激に減少した。
久しぶりに回すチェーソーも研いだばかりの刃の切れ味は良く、まるで豆腐を切るように刻んでは枝を払う。樹齢60年ほどの木は枝も太くて硬く、退かすだけでも結構手手間の掛かる地味な肉体労働。
しかし、よく間伐された杉の林は明るく風も良く通って清々しく、小鳥のさえずりを聞きながら一時を過ごすと森林の静寂が身に沁みる。ひどい汗かきの自分だが、この時期は湿度も気温も低く流す汗も何か心地良い。すっかり退かした後はスッキリして気分が良い。
しかし、昨年12月の風のない湿った雪は3日間休むこと無く降りけ、冬に備えて乾燥が身を固くして守るはずの杉は準備ができず、枝に掛かる重みに耐えかねて上半分から次々に折れてゆく。その時の悲鳴は大きくて谷中に響き渡るそうだ。
作業道を先代があちらこちらに切った為この作業は毎年延々と続き、今年は年内に全部終わるのか解らない。財産を残してもらったはずが管理だけが残り、余り生産的な事もできない所が悔しいが、何時かは再び評価される時が来ることを信じてコツコツやるだけ。まあ、暫く金にならない仕事だが、週一のストレス解消の趣味と思えば良い。
林家にとっての資産とは良く整備されて育った杉林と共に、その管理を行き届かせるための作業道に有る。作業道が荒れてくると下刈りや間伐は出来ず、主伐(切り出して搬出する事)も出来ず、山全体の価値を左右する重要な資産の低下につながる。
その為、先代が築いた道路網は道刈りを絶やす事無く、排水溝を整備したり流れた土砂の撤去など日頃の管理が必須となる。これを怠ると道路は崩壊して路盤には木が生え、車での通行ができなくなると山の管理は困難となる。
山形県は比較的地震や台風の被害も少なく、3年に一度位の大雪を凌げがそれなりに住みやすいと思っていたが、最近の並外れた集中豪雨は予想外だった。86歳になる年寄りでも見たことのない光景らしく、15年位前に2tダンプ100台以上の砕石を敷いて開設した作業道は、予想を上回る水量で小沢のU字溝が埋まってしまい、溢れた濁流が路肩を削り取ってしまった。
とぐわとツルハシで最小限度の補修を行い、どうにか軽トラが通行できる位には復旧出来たが、路肩の崩壊となると人力では難しい。公的な補助など有ろうはずもなく、知り合いの土建屋さんに頼むしか無いだろう。
最も困るのは12月下旬頃に3日間ほど連続して積もった湿雪で、風も吹かないので降り積もった重い雪で杉の木は悲鳴を上げ、限界点を越えると大きな音をたてながら幹から裂けて折れてしまう。自然の力は小さな人間をあざ笑うように強大で、樹齢80年の直径60cm位の木も大きな悲鳴を上げて倒れる。場合によっては根から倒れる場合もある。
我が家の杉は樹齢50年から80年位が多いいわゆる長伐期施業の山林だが、先代が間伐を欠かさなかったので木の成長も良く、しかも作業道が整備されているので管理もし易い。でも、作業道の草刈りを絶やすと草木が茂って歩けなくなり、側溝やU字溝は詰まると大雨で作業道が流されてしまう。
今回は毎年訪れる杉の植林地にフキ取りに訪れ、我が家でも自慢の樹齢150年程あると思える杉の巨木に挨拶に行ったこの杉は直径1.0m以上は有るようで、周りにも100年を超えるような木がまだ5本程残っている。先祖は歩いて1時間程のこの地でせっせと杉を育て、子孫の為に長年の手入れを怠る事無く資産として残したのだろう。
昨年、東京に就職が決まった息子を連れて訪れたが、今度やって来る頃にはどんな木になっているのか楽しみもある。
まるで藤の花ロードとも言いたくなるく位の見事な光景で、今まで殆ど夜間とか夕方の通行ばかりで気が付か無かったが、思わず見とれてカメラを取り出して何枚か収めた。
藤の花はツル科の植物で、樹の幹から枝にかけて成長して花を咲かせるが、寄生した樹木と共に共存して生きているのが素晴らしい。普通、ツル科の植物は成長するに従って寄生した樹木を締め付け、根本の養分を奪うばかりか樹木を痛めつけ、放っておくとボンレスハムの様になって成長を止めさせてしまう。
杉の植林地では見つけたツルは必ずナタで切り落とし、植え付けてから20年位は人間の手で守らないと杉の木の価値は無くなってしまう。林家にとっては迷惑な敵だ。
しかし、藤のツルは何か優しく樹木を包み込み、6月になると山全体で一斉に花を咲かせてその姿を競い合う。桜ほどの華やかさや明るさはないが、近くで見ると鈴なり咲き誇った壮麗な花はなにか静かで控えめな感がする。
人間の手で作り変えられた温室育ちの花とは異なり、決して派手ではないが生命の息吹を感じさせる様で好きになった。
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雪害には樹齢はあまり関係がないようで、大きなものでは太さ50cmほどの樹齢80年近くの杉でも例外ではない。特に作業道そばの木に被害が目立つようで、あちらこちらで塞がれてしまうと通行ができず、雪が解けるとすぐ除去しなければならない。これが「道開け」と呼ばれる山仕事でシーズン最初の仕事となる。
先代が開設した作業道は放っておくと草木で覆われ、路肩は大雨で流されて荒れ放題になる。管理する為には結構手間と時間のかかる地味な仕事が必須です。
昨年に続いて県の緑環境税間伐制度の補助を受け、除伐&間伐ですっかり綺麗にしてもらい感謝するばかりですが、作業道だけは自己管理なので自分でやるしかない。
ちなみにこの制度を活用した場合、立ち木や山林の売買は原則25年禁止となります。すっかり綺麗になった山を高く売ったらそれは背信行為に決まっている。つまり、税金泥棒。
でも、どんな林でも3割くらいは強制的に間伐される為、商品価値の高い樹齢80年位の杉も犠牲になるのはつらいところ。商品価値のない長さ2.0mに切り刻んで放置され、山主といえども売買どころか移動も禁止されている。まあ、やって頂いている立場なんで仕方ないですね。
ちょうど秋らしい天候であまり汗もかかず、気分転換にはちょうど良い位の日だった。
作業道には各所で雪折れの杉
格闘40分でようやくやっつける。
県の緑環境税制度を活用してもらって間伐
樹齢60~80年の杉(ちょっと自慢)
80年以上の木も強制的に間伐されるのがつらいところ。
せっかく下刈りして作業道の整備をしたのは他人様のためで、よそからやっ来た「お客様」を喜ばすだけで終わった。こんな山菜取り公園のような山があっても良いのだろうが・・・。
ようやく家の事情も片付いて早朝にやってきたのは杉の植林地。しかし、約10年にわたって保育した植林地は今年の大雪による雪害で、根から倒れたり真ん中から折れたりしている木も目立つ。
植えてから10年も面倒見てひとり立ちできない不良息子は倒すしかなく、今度来た時のはチェンソーの出番だ。容赦なく切り倒す。
今日はシーズン最後の山菜取りとなるフキ狙いで、沢型の植林地のヤブをかき分けて目指す太くて柔らかいフキを収穫。ここを登りきったところは知られざる「フキ畑」で、6Kg位をとると籠はいっぱいになり腰のヒモが食い込んで完了。
以前は1時間半で15.0kgも取れたが、最近は植林した杉が育って暗くなり半分ほどになってしまった。
ここで毎年出会うのが直径1.1m程の杉の木で、我が家では自慢の山の宝ともいえる「巨木」です。神社などのご神木ならまだ残っているだろうが、杉の人工林では最近少ないようだ。
樹齢は150年以上と思もえるのだが、これを植林して育てた先祖は大したもんだと感心するばかり。
しかし、最近の温暖化で10年に3回くらいは湿った多量の雪が降り、太い木といえどもその災難からは逃れられない。4年前、樹齢120年の木が折れた時には落胆してしまった。
殆ど節のないこの木は雪害にも負けずに今年も元気で、1年ぶりに触れてみると何か元気をもらったようで嬉しくもなる。
35年前だったらこの木1本で軽乗用車1台くらい買えたかもしれないが、しかし今や5分の1位の価格らしい。
樹齢150年は過ぎていると思うが…。
100年を過ぎている木も他に何本か残っている。
沢型の藪の中のフキ畑は太くて柔らかい上物。
今年の雪害はけっこう深刻。