12月9日(日)の山形新聞に、月山のスノーモービル乗り入れ問題についての記事が掲載されていた。内容は朝日山地森林生態系保護地域で活動している巡視員の会議が8日開かれ、懸案になっている月山周辺のスノーモービル乗り入れ問題について協議されたとあった。この会議は朝日庄内森林環境保全ふれあいセンターの主催ですが、かねてから「自然を守るスノーモビラーの会」からの申し入れを受け、愛好団体の「月山ルール」提案を聞くのが目的だった様です。この「月山ルール」とは時間や台数制限を設けた上で、一部の保護地区に乗り入れできる「月山特別ルール」を提案した内容です。
今後17日に住民と反対派からの聞き取りを行った上、方向性を打ち出す手順となっている様です。しかしここで気になるのが反対派の方々。紙面にはスノートレッキング団体、旅館店主、住民と有るが、山岳関係者とか山スキーヤー、テレマーカー、スノーボーダーなどはどれだけ含まれているのでしょうか?私達は山でモビラーの方々と遭遇・目撃したり、またはトラックベルト跡を歩いたりするケースがあり、感情的には最も対立する関係に有り、関心の有る方も少なくないと思います。不幸な事はお互いに魅力的な雪の斜面を共有する事です。
乗り入れ規制については既に必要な時期に来たと思いますが、法的な強制力を伴わない規制でも、その実施については慎重な議論が必要だと思います。野生動物や植生へ与える影響を懸念する事は勿論ですが、私達にとって冬山登山あるいは山スキー等は、永い歴史と伝統を持った誇り高き文化であり、常に厳しい大自然と共に歩んで来たと言う自負が有ります。特に朝日連峰・月山の様なの厳しい環境でも決して大自然を侮る事無く、山では謙虚に遊ばさせて貰っているという姿勢で有りたいと思っています。山頂は決して征服出来るものではなく、つかの間の好天時に微笑んでいるに過ぎません。
私達は決して山の中での既得権を主張するものでは無く、この無慈悲な大自然の力と人間の無力さを直視し、共に同じフィールドで活動する者として認識して頂きたいと思います。決して強大な機械力を過信する事無く、山に対しては謙虚であって欲しいのです。
しかし、残念ながらスノーモビラーに特に人気の鳥海山の東面などでは、有ろう事か山頂まで駆け上がる現実を目にし、場所によっては地元の愛好団体の自主規制及びパトロール等の努力にもかかわらず、決定打では無い様にも思えました。なぜならばモビラーは地元の方々とは限らず、仙台を初め関東・首都圏の方も訪れているからです。ここまで来れば何らかの規制も止む無しと考えざるを得ません。そして重要な事は地元では勿論、全国的に率先して発信しながら啓蒙活動を行い、スノーモビラーの方々に理解と協力を求める事だと思います。
岳連加盟の山岳会等とは異なり、私達のような未組織のスキーヤーはこの様な場で意見を述べる機会が無いのが残念ですが、実際月山などで活動しているのは未組織の方々が大半、または岳連には未加盟の山岳会などというケースも有る。特に長年月山周辺で活動してきた山スキーヤーには一際関心も高く、各自いろんな考え・意見が有ると思います。今後どういう結論が出るのか興味深い所ですが、出来ればその辺にも配慮して頂けたらと思いました。
※ 12月9日 山形新聞 朝刊
http://www.yamagata-np.jp/newhp/kiji_2/200712/08/news20071208_0118.php
※ 朝日山地森林生態系保護地域管理委員会概要
http://www.fureai-kokuyurin.jp/