東北アルパインスキー日誌 ブログ

東北南部の山での山スキー、山歩き、山釣りなどと共に、田舎暮らしなどの話を交えながら綴っています。

ミズナラ・コナラの悲鳴

2008年09月29日 | 林業
                太さ1.2m位のミズナラの大木もこの状態

今期の沢登りは一度だけで終了し、余り行けない釣りも最終回となった。
しかし昨日からの雨で増水した三面川水系は水が引かず、ようやく辿り着いた岩井又沢F1手前で徒渉ができなくなり、予想外のギブアップで今年の全てが終了した。元々こんな時期まで朝日界隈の沢をうろつく人は稀なようで、殆どの釣り人が茸取りに転進したらしく沢の中は静まり返っていた。

しかし、昨年も見たニズナラ・コナラの「ナラ枯れ」は深刻で、三面界隈では1年前から比べて更なる広がりを見せている。三面ダム周辺は紅葉とは別物のくすんだ様な色合いで、紅葉の時期特有の燃えるような鮮やかさと勢いが無く、四季折々の躍動感が感じられない。それ以上に林の中のミズナラ・コナラの姿は哀れで、太い老齢の樹木ほど被害が目立ち、無数のカシノナガキクイムシの穴と食い散らかされた木の粉が悲惨な状況を物語る。

深い森の中には孵化したと思われる多量の白い小さな蛾がひらひらと舞い、まるでトトロのアニメで見た様な不思議な光景だった。蕨峠を超えて小国方面に入ってからも事態は変らず、何処を見ても今や手遅れの様な雰囲気が感じられた。

最近では薬剤注入による防御対策が試みられているが、未だに試験的な段階の為抑制効果は未知数で、今や山形県の置賜・庄内を越えて秋田方面まで北上している。以前から問題になった松枯れを遥かに上回るスピードが問題で、人間の手に及ばない自然環境の異変が進行している様だ。

ミズナラ・コナラは里山では主役となる樹木で、古くからマキや木炭となって人間の生活を支え、落ち葉は集められて畑の堆肥となって野菜を育てた。事実、子供の頃には家の中にシバ(マキにした後の残った枝)の置き場が有り、囲炉裏と風呂の焚き木当番は私の仕事だった。その副産物として山菜・茸が集落に潤いを与え、人々は毎年山の神に感謝する文化が育った。しかし集落の過疎化によってそのサイクルが断ち切られ、人手の入らない山は荒れてしまって後戻りが出来なくなる。そして追い討ちをかけるようなナラ枯れが里山にも襲って来たら事態は深刻だ。

確かに今の所身近には特に困ったことは無いが、原木ナメコ・シイタケのホダギはミズナラ・コナラの木が主役の為、将来これが無くなれば生産者の暮らしは脅かされる事になる。また、ミズナラ・コナラの根元に出るマイタケも試練の時を迎え、マイタケ取りのセミプロ諸氏を落胆させる事にもなりそうだ。畑や田んぼの病害虫や病気は人間の手で食い止める事は可能だが、無限の広がりを持つ大自然を相手では殆ど無力だろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする