雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

本と映像の森4 鎌田東二『宮沢賢治「銀河鉄道の夜」精読』

2010年02月01日 04時20分20秒 | 本と映像の森
読書ノート4 鎌田東二さん著『宮沢賢治「銀河鉄道の夜」精読』岩波現代文庫、岩波書店、2001年12月14日第1刷、338p、1000円+税

 読書ノート3の続きです。

 宮沢賢治さんの「銀河鉄道の夜」は、1924年(大正13年)頃に成立した第1次から第3次までの「初期稿」と、1931年(昭和6年)頃に書き上げた第4次稿、つまり現在の最終稿があります。
 
 この第1次稿から第4次稿までの変遷を追い、その意味を「ジョバンニの孤独」という側面から読み解いたのが、この鎌田さんの『宮沢賢治「銀河鉄道の夜」精読』です。

 1931年というと歴史的には、あの日本で言う「満州事変」と「15年戦争」の始まりの年です。
 「銀河鉄道」の中には、この「日中15年戦争」はどのように反映しているのでしょうか。
 いままで、そういう研究や評論を見たことがありません。どなたか、ご存じの方がいたら、教えてください。

 もう一つ、魅力的なのは、宮沢賢治さんが、鳥(バード)を媒介として、世界や神と対話する「鳥シャーマン」であると解読したことです。
 「銀河鉄道の夜」に出てくる「鳥捕り」のところを読むと、私は、鎌田さんの主張を納得します。
 日本古代史でも、鳥は重要な要素で、現代でも、それは神社の「鳥居(とりい)」として
神がやってくる神社の空間を維持する「通路(ゲート)」として生きています。
 鳥居のない神社はありません。

 この本には、最終稿と、第1次稿、第2次稿、第3次稿が掲載されていて、比較して、自分で考えることができます。
 大事なのは、自分の感覚で感じて、自分の脳で考えることだと思います。