雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

本と映像の森9 鎌田浩毅さん『富士山噴火』ブルーバックス

2010年02月25日 17時18分07秒 | 本と映像の森
本と映像の森9 鎌田浩毅さん著『富士山噴火』ブルーバックス、講談社、2007年11月20日第1刷、940円+税

 富士山の本の第2冊目です。2004年に、富士山が噴火したらどの程度の溶岩がどこまで流れるか、火山灰はどこまで降るかなどの火山噴火の影響を「富士山ハザードマップ」が公表されました。
 
 この本は、火山学者の著者が、溶岩流・噴石・火山弾・火砕流・岩なだれ・泥流・火山灰についてそれぞれ詳しく解説しています。

 溶岩流の危険があるのは、富士山周辺の静岡県東部と山梨県ですが、問題は溶岩流だけではありません。

 とくに火山灰について、江戸時代の170年の宝永噴火で、横浜で10センチ、江戸で5センチの厚さに火山灰が降り積もりました。
 火山灰とは、ようするに溶岩が固まったガラスの細かい破片です。

 もし現代で富士山が噴火したら、この火山灰が風にのって遠くまで降り、江戸時代には無かった現代のいろいろな機械に大きな影響を与えます。

 少しの火山灰でも室内に侵入し、コンピューター内部に侵入するとトラブルの原因になり、工場や会社や家庭に大きな影響を与えます。
 車の内部に侵入するとエンジントラブルが起きます。航空機も同じです。

 危機管理対策として、とくに静岡県東部や関東地方では火山灰対策が必要です。
 (画像は公式に発表されている富士噴火の降灰マップです)

 

哲学の学習9 「安定」「固定」と「変化」「発展」の関係

2010年02月25日 04時33分37秒 | 人間・生命・宇宙
哲学の学習9 「安定」「固定」と「変化」「発展」の関係

 「ものごとはすべて変化・発展する」かどうか、という学習の続きです。

 「変化」とは何かということですが、「ある物あるいはある物事」の「要因」「要素」「属性」の一部の量あるいは質が変化することではないかと思います。
 ただし、「ある物あるいはある物事」の統一性というか、「ある物がある物である量と質」「ある物事がある物事である量と質」は保っているので、連続性はあるわけです。

 たとえば「ある物A」の属性「a、b、c、d・・・・」とするとき、属性aがa1からa2に変化しても「A」が「A」であることに変わりありません。
 
 連続性とは何かというと、たとえば、カフカさんの小説「変身」で、主人公が毒虫(さそり?)に変身するのに、周囲の人が「この毒虫はお兄ちゃんの青年グレーゴル・ザムザが変身した姿である」という妹グレーテの認識がなければ「お兄ちゃんがいなくなって、嫌な毒虫が現われた」ということになります。
 
 あるいはガラスのコップが壊れれば、コップは「変化・発展した」わけではなくて、たんに「コップでなくなった」、ガラスの破片になっただけです。
 コップが「ガラスの破片」に変化したと強弁できなくもないですが、すでにコップでないことには変わりありません。
 
 基本はこうだと思います。ものやものごとは、
 ① 変化せずに安定している場合
 ② 「そのもの」を保持しながら、変化・展開・発展していく場合
 ③ 「そのもの」や「そのものごと」の統一性を保持できなくて崩壊・分解する場合
 つまり「ものごとはすべて変化・発展する」というのは「安定期」を無視し、「崩壊・分解の可能性を軽視していて、正しくありません。

 ①と②との関係では「物あるいは物事」が安定して存在するためには、周囲の環境・条件も長期にわたって安定していないといけません。

 ですから、「変化・発展」の時期と、「固定・安定」の時期は「物あるいは物事」を構成する2つの両面で、「変化・発展」の方が本質的で大事だとか、「固定・安定」の方は表面的で軽視できる話と言うことは正しくありません。

 地球生命の進化でも、長期の安定的地質条件と、矛盾が爆発する短期間の危機とが混在しています。

 人類の歴史でも、たとえば300年にわたる江戸時代の長期の安定期は、戦国時代の転換期と、明治維新の転換期にはさまれています。