新・本と映像の森 99 森博嗣『ηなのに夢のよう』講談社文庫、2010年
297ページ、定価本体552円、原書2007年
「Gシリーズ」の第6作。「φ」「θ」「τ」「ε」「λ」の次作。もっともギリシャ数字の順番は意味がないと思うが。
全シリーズ的にいえば、四季・犀川・西之園3人を結ぶ関係で見ると、全シリーズ第1作の『すべてがFになる』の次、中間報告的な作品と思う。
「Gシリーズ」は加部谷恵美(かべやめぐみ)、海月及介(くらげきゅうすけ)、山吹早月(やまぶきさつき、男)、雨宮純(あめみやじゅん、女)、反町愛(そりまちあい)、金子勇二などののボクの好きな若者たちが出てきて好きですね。
愛知県「那古野市」の杁子(いりす)神社で起きた謎の死体発見事件。神社の高い木のてっぺんに首吊り死体が発見される。これは殺人なのか、自殺なのか。
一連の死亡事件と平行して、西之園萌絵は両親の飛行機事故の真相に近づき始める。
会話がすごくおもしろい。西之園萌絵と犀川の会話。それと真相を探る学生たちの会話。
これがこの本の中心内容だと思う。本を直接読んでほしい。
恵美たちの自殺論を紹介したいけど、ページをめくるのが左手だけで、難しいので今日はやめておく。
代わりに、瀬在丸紅子が西之園萌絵に言ったことを紹介しておく。
「どちらも生きたのです。1回生きて、1回死んだのです。同じじゃありませんか?」(p266)
ところで、萌絵は犀川先生にときどきコーヒーを入れてあげる。則子さんがボクに入れてくれるコーヒーと、どっちがおいしいかなあと思う。
答え:どっちも同じくらいおいしい。