新・本と映像の森 104 上橋菜穂子『闇の守り人』新潮文庫、2007年
387ページ、定価本体630円、源作1999年偕成社
いまNHKテレビでやっている実写ドラマの源作。
ドラマも大好きですけど、小説版もいいな。というより、この「闇の守り人」は小説世界の方が好きですね。
ドラマの方では割愛された一つの大事な流れが小説の方では生きている。それは15才の少年カッサとその妹、12才のジナの成長と、山の民の牧童たちの魅力的な物語。
小説の冒頭、バルサは1人でカンバルへ戻るのに、むかしジグロと逃げるのに使った洞窟の道を選ぶ。
その洞窟でバルサは、少年カッサとその妹ジナと出会い2人の危機を救う。ここで初めて、ヒョウルとも出会う。
そして物語は始まる。
この「闇の守り人」では主要なストーリーは地下の「闇」を中心に展開する。
物語の中心が、地下の「山の王の宮殿」と「槍舞」で決せられるのは、ドラマも小説も変わりない。
ただ闇の世界の岩穴や地下水流のような美しい光景と牧童のヨヨ、少年カッサと妹ジナの映像を見たかったな、残念。
小説版では「精霊の守り人」「闇の守り人」と続く第2作です。第3作はドラマでは割愛されている「夢の守り人」。第3作ではタンダが主人公になります。
小説版の第4作以後は、まだ読んでません。ドラマの方は、これから新ヨゴ王国へ、完結編です。バルサは、チャグムは、タンダは、そして新ヨゴ王国は、どうなるんでしょうか。