過去現在未来のメモリーノート 17 『資本論』から考える「過渡期」と「ソ連」論 20141109
【数年前にやった「過渡期」論・「ソ連」論のレジュメと発言原稿を掲載します。修正がめんどうなので、ちょっと読みにくいですが、そのまま掲載します。】
< レジュメ >
『資本論』から考える「過渡期」と「ソ連」論 スケッチ 30分
雨宮智彦 2014.11.9日pm
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│ 資本論そのものを読むために │
│ ○新日本新書版<13巻本> │
│ ○新日本出版社上製版 <全5巻+総索引本>この方がよいが中古でしか手に入らない│
│ ○東京学習協 宮川父子注釈、学習版 注釈・索引・一部原語つき │
│ 参考文献 │
│ ○宮川彰さんの解説著書、ほっとブックス新栄で検索 │
│ ○宮川彰さんのDVD講座、ほっとブックス新栄で検索 │
│ ○新日本出版社発行、月刊雑誌『経済』毎年5月号 │
│ 資料 A~B 友寄さん『月刊学習』「現代に生きる『資本論』」 │
│ C 不破哲三さん │
│ D 原資料 │
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はじめに 科学の成立と上部構造 4分
第1章 『資本論』が想定する共産制社会 16分
1 実際に起きたリアルな歴史
原始共産制社会 → 奴隷制社会 → 封建制社会 → 資本制社会 → ?
原始共産制社会 → 階級社会 → ?
これからの歴史(予測)(可能性)
① 資本制社会 ⇒ 過渡期 ⇒ 共産制社会
2 労働者とは たんに労働する人、働く人ではない
自分では生産手段を持たず、資本家に雇われて労働力と賃銀を交換する人
その賃銀で消費手段を買い入れて生きていくのが労働者
主婦は「家事労働者」ではない 消費者です
3 生産手段の社会化とは 生産手段は社会化され、社会のコントロール下におかれる
消費手段は個人に平等に分配され、個人の私有になる
4 「資本制社会」に存在するもの 市場・貨幣・資本・労働者
自由平等・餓死する自由・法律の支配・裁判制度
5 過渡期とは何か 資本制から共産制への過渡期
国家は過渡期には存続する
共産制社会では階級・国家・軍隊・警察・強制・暴力・差別は無くなる
市場・貨幣がなくなるかどうかは論争問題、各自で判断を
6 コンビネーションとアソシエーション
共産制社会への道は 資本主義=ある程度自由で民主的な社会から出発する
そこからしか出発できない
めざすのは 自由な個人による連合体
第2章 ソ連は過渡期社会だったか 10分
1 ロシア帝国、半封建・半資本主義の遅れた社会が出発点
2 ソ連はどんな社会だったか 法による支配ではない直接暴力による支配 逮捕・追放・銃殺
3 「市場経済」「商売」導入=レーニンの「ネップ」からの転換 1927年
4 ソ連であったもの・なかったもの ソ連には労働車はいたか?
5 スターリン弾圧・独裁の進行 1930年代~1953年
6 軍事的警察的国家による国家資本主義
< 発言原稿 >
今日は『資本論』から考える過渡期とソ連論
30分しかないので、自分の探究の、現時点でのスケッチになると思います
はじめにー科学と上部構造
芸術・宗教と科学の違い 4分
資本論は科学の本です。
科学は 事実・証拠と論理に基づいて 多数決ではない 肩書きでもない
理化学研究所が書こうが、誰が書こうがウソはウソで、真実は真実です
科学は経済の上にたつ上部構造です 科学・宗教・思想・法律・国家
下部構造を反映する上部構造ですから、正しく反映しているかどうか
正しい科学と間違った科学があるんんですね
むかしボクが妻の則子さんと話をしていたら
「それは誰の説なの?」と歴史的失言をしまして、
「へえ、不破さんが言えば真実で、ボクが言うとウソなの?」と何十回と則子さんをからかう種にしましたが
理化学研究所が言おうとウソはウソ、悪魔が言おうと真実は真実ですね。
ですから科学論文は、だいたい、著者名を外してその雑誌に掲載するかどうか審査をしますね。
科学は多数決ではなく、一人ひとりが自分の判断で決めるのが科学です。
で、科学の本、資本論を実際に読んだ方、読み始めた方、このなかでどれくらい、いらっしゃいますか?
みなさんのお手元に、『資本論』を読むための推薦リストと参考資料をあげておきました。
実際に読むならお金のない方は新日本の新書版、
お金のある方は5巻本がいいと思います。5巻本セットは索引がついているのでおすすめです。
参考資料で、ぼくのいちばんお勧めは宮川彰さんの本です
第1章 『資本論』が想定する共産制社会 14分
1 労働者とは たんに働く人という意味ではない
資本家に雇われて、つまり契約をして賃銀をもらっている人
労働者は労働力、正確に言うと労働能力を売って賃銀と等価交換
自営業者やむかしの狩人や漁民は労働者ではない
そしてもう1つの特徴として生産手段を持たない
家事労働といいますが家事は生産では無く消費ですから
ぼくの妻は家事労働者にはなりませんね
資本主義を「生産手段の社会化」をして共産主義社会になります
ただし必然性ではありません いくつかの可能性があります
今の2014年の地球・資本主義の地球の未来は
2 「生産手段の社会化」とは何か
○共産社会とは コミュニズム・コミューン・コミュニテイ 和訳すれば共同体
○生産に必要なもの ① 生産者 ② 生産手段と生産対象・原料
○誰が生産手段を所有するか 原始時代、生産者と所有者は一致していた
(板書)
歴史は ①原始共産制社会 → 奴隷制社会 → 封建制社会 → 資本制社会 → 共産制社会
原始共産制社会 → 階級社会 → 共産制社会
② 資本制社会 ⇒ 過渡期 ⇒ 共産制社会
階級社会
○原始共同体(無階級社会)ー階級社会ー共産主義社会(無階級社会)
原始共産制社会ー奴隷制社会ー封建制社会ー資本制社会ー共産制社会
①100万年前 人類の発生 まだ半動物的
10万年前 ことば・芸術・精神・新石器の発生 上部構造の生成
1万年前 農業・文明・宗教の発生
数百年前 資本制の発生
百年前 近代文明の発生 電化・自動車・世界戦争・原発・核兵器
②数千年前 生産力の発展が剰余生産物を発生し階級社会が始まる
③生産力の飛躍的発展が階級社会を廃棄し共産主義社会の生成を必要にする 生存のために
○生産手段を社会化するために必要なこと
○生産をコントロールする高い能力 それを一部だけではなく全員が持つこと
○生産手段の共同所有者はすでに労働車ではない
2 「資本制社会」に存在するもの 市場・貨幣・資本・労働者
○市場経済
○資本とは
○労働者とは
○資本と労働車はペアで1セットでしか存在できない
3 「過渡期」とは何か 資本社会から共産社会への過渡期
○過渡期について 資本社会から共産社会への
① この時期は国家も権力も存続する 裁判所も警察も軍隊も存続する 市場も存在する
② この時期を通じて生産をコントロールする人間社会の能力を高めていく
③ 目標の中には自由と民主主義・人権の全面開花が入ると思う
○この「過渡期」に入った国家は地球上にはまだ1つもない
○共産主義に市場があるかないか?
4 アソシエーションとコンビネーション
○アソシエーションは例えばPTA
国際労働者協会 第1インターナショナル
自由な個人の協力組織 内部権力を持たない
○『資本論』はアソシエーション<連合>とコンビネーション<結合>を区別している
○「結合」は現代産業のコンビナートのように、切り離せないシステム
違ったドイツ語を同じ日本語に訳してはいけません
○アソシエーションは自由な個人の離脱自由な連合
主体は個人・一人ひとりの人間
5 「社会主義への道」は対等・平等、自由と民主主義なしには到達しない
○自由・民主主義・人権は対等平等な関係にしか発生しない
○いじめ・ハラスメント・差別・搾取・収奪・暴力のない社会はへの道は
権力・指揮・命令・指導では到達しない
第2章 ソ連国家「社会主義を称した国々」の歴史
上部構造は官僚的・統制的政治
上部構造と下部構造=経済
では下部構造は?
まさしく『資本論』に基づく革命
ただし、資本主義社会を作り出した 本源的蓄積そのもの
1 ロシア帝国=ツアーリズムが出発点 半封建的資本主義 地主・富農・農奴が残る社会
1917年は資本主義から出発したのではない
資本主義機的な合法性や権利感覚はまだなかった
レーニン「 」
しかも内乱のために戦争=武力闘争が一時支配的な手段となった
そのうえロシア共産党内の 軍事専門家を敵視する潮流の無法がまかりとおった
内乱終結後は勝利したロシア共産党の絶対化が進行した
2 法による支配ではない 直接的支配・直接的暴力がまかりとおる支配
スターリンは「人民の敵」という概念を創り出した
つまり「人民の敵」あるいは「外国のスパイ」は法の外におかれる
実際はソ連国家とソ連共産党の頂上にいるスターリンと何人かのその時々の手下以外は
みんな「人民の敵」と認定される危険があった。
1936年に「スターリン憲法」ができたときこそ弾圧が大きく広がった時期
裁判はお手製のもので、いわば日本以上の冤罪裁判・自白主義裁判だった
殴る・蹴る・拷問はあたりまえのことだった
眠らせない、家族をつかまえて拷問すると脅迫する
そして法によらない逮捕・拷問・銃殺あるいは収容所送り
ソ連の警句は「人間は3種類に分けられる。刑務所にいる者・刑務所にいた者・これから刑務所に入る者」
ほんとうは4種類目に刑務所に入れず処刑された者が入るはずですけど
1957年6月のソ連共産党中央委員会総会でジューコフ元帥は、スターリン・モロトフ・カガノーヴィッチに処刑を承認された官僚・軍人・文化人3万8769人の名簿を提出した
1938年12月12日だけでスターリンとモロトフは3167人の処刑を承認した
この総会でジューコフ将軍は処刑される前夜に無実を訴えた将軍の手紙にたいするコメントを読み上げた。
スターリン ウソのかたまりだ、銃殺しろ
ベリヤ 賛成、悪党め、裏切り者にふさわしい死だ
ヴォロシーロフ 狂っている
カガノビッチ 豚!
1956年のソ連共産党大会でのフルシチョフのスターリン批判報告以後は?
スターリン時代のような密告・逮捕・拷問・処刑・流刑はほとんどなくなったが
粛清された党員は名誉回復されたが、犯罪全体は裁かれたことはない
フルシチョフ自身が、スターリンのお気に入りとしてウクライナやモスクワで
共産党や反対者を逮捕し収容所に閉じこめたナチスドイツと
共産党員を逮捕し収容所に閉じこめたソ連社会とは同じ質の社会だと思う
3 ソ連であったもの 市場・貨幣・労働者はあった 資本家は?
市場は制限されても ずっとあった
貨幣はあった
国営企業に雇われる労働者はいた
では資本家は?
4 1927年末からの左転換 ネップの事実上中断 中国の毛沢東路線と似ている
5 まとめ 軍事的警察的国家による国家資本主義