ことばと詩 32 ル=グウィン・アーシュラ・K/著、清水真佐砂子/訳『ゲド戦記 3 さいはての島へ』
原著「THE FARTHEST SHORE」1972年、<岩波少年文庫>
「「まったく、どうすればいいのか…。」様式の長は、そう言ってはじめてゲドと向かい合った。その緑色の目は冷たかった。
「わたしは心配です。たしかに、何かあります。根底が不安に揺らいでいます。」
「そうなんだ。」ゲドは言った。
「わしらは深い源(みなもと)のところをようく気をつけて見なければならん。明るい日差しばかりを長い間楽しみすぎたからの。あの腕輪がひとつになったおかげで世の中、平和になり、わしらはその平和にひたりきって、ろくなこともせず、浅瀬でばかり漁をしてきた。今夜は深みをきわめなくては。」
20130727
原著「THE FARTHEST SHORE」1972年、<岩波少年文庫>
「「まったく、どうすればいいのか…。」様式の長は、そう言ってはじめてゲドと向かい合った。その緑色の目は冷たかった。
「わたしは心配です。たしかに、何かあります。根底が不安に揺らいでいます。」
「そうなんだ。」ゲドは言った。
「わしらは深い源(みなもと)のところをようく気をつけて見なければならん。明るい日差しばかりを長い間楽しみすぎたからの。あの腕輪がひとつになったおかげで世の中、平和になり、わしらはその平和にひたりきって、ろくなこともせず、浅瀬でばかり漁をしてきた。今夜は深みをきわめなくては。」
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