雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

ことばと詩 32 ル=グウィン・アーシュラ・K/著、清水真佐砂子/訳『ゲド戦記 3 さいはての島へ』

2020年06月09日 14時13分48秒 | ことばと詩
ことばと詩 32 ル=グウィン・アーシュラ・K/著、清水真佐砂子/訳『ゲド戦記 3 さいはての島へ』


原著「THE FARTHEST SHORE」1972年、<岩波少年文庫>


 「「まったく、どうすればいいのか…。」様式の長は、そう言ってはじめてゲドと向かい合った。その緑色の目は冷たかった。

 「わたしは心配です。たしかに、何かあります。根底が不安に揺らいでいます。」

 「そうなんだ。」ゲドは言った。

 「わしらは深い源(みなもと)のところをようく気をつけて見なければならん。明るい日差しばかりを長い間楽しみすぎたからの。あの腕輪がひとつになったおかげで世の中、平和になり、わしらはその平和にひたりきって、ろくなこともせず、浅瀬でばかり漁をしてきた。今夜は深みをきわめなくては。」

   20130727