雨宮智彦古代史メモリー 41 20200619 本と映像の森 37 中村啓信訳注『古事記 新版』角川ソフィア文庫 20100508
「2010年05月08日 19時32分15秒 | 本と映像の森
本と映像の森 37 中村啓信(ひろとし)さん訳注『古事記 新版』角川ソフィア文庫、607ページ、定価1124円+
日本古代史の基本文献の1つである『古事記』の手頃でいい文庫本を、この前、メイワンの谷島屋店で見つけたので紹介します。
昨年9月25日に初版が発行されています。
約600ページで、消費税含めて1180円ですから、なんと1ページ2円、安い!
(だからどうなの?と聞かれそうですね。いえ、別に。「効率」を主張する、浜松行革審の委員のみなさんは推薦してくれるかな?と、ちょっと、思っただけです。)
内容は、読み下し文・現代語訳・原文(漢文)、解説、全歌謡各句索引、主要語句索引からなっていて、初心者にも親切だと思います。
岩波文庫版は固すぎて、初心者には不向きですし、文春文庫の三浦佑之さん訳の『口語訳古事記』(2巻)は訳者の三浦さんの趣味が私には合わなくて(つまり、「語り部の古老を登場させて、本文に古老の注釈をつけくわえちゃうことまでしている。ここまでやるのは「原文改訂」でしょう?)。
専門家の「解釈」にたよらず、本来の「古事記」をテキストで味わいたい日本人全員におすすめします。
つまり、たとえば音楽を聴くのには、まずその曲を聴いて,自分で「これ、いいね」とか「これ、きらい」「今の私にはあわない」とか自分で判断すればいいのです。
学校の「名曲鑑賞」の時間みたいに、まず先生が「これは、これこれこうい理由で名曲で」と「ご高説」を聞いてから聞くのはいやです。
なお、三浦さんの『口語訳 古事記』は、文藝春秋社から出たハードカバー版を買って持っていますが、「古老の語り」を削除すれば、それほど奇怪な本ではありませんので、念のため。
口語訳と、本文につけられた大量の用語注釈、42ページにわたる解説、地名解説、氏族名解説、系図、地図、動植物名索引、神人名索引、と読者に親切な本です。
なお、この解説や索引が文庫版についているのかどうかは、まだ見ていませんので。」