疎外について
森宏一/編著『現代と疎外』新日本新書、を何十年ぶりに読んで、考えたことを書いておきます。同時に、疎外についてのボクの現時点での一般的結論が出たので,書き留めておきます。
森宏一/編著『現代と疎外』の書評、「本と映像の森」原稿は別にちゃんと書くつもりです。
ボクの簡単な結論はつぎのとおりです。
① 疎外は人類史において、階級社会に一般的・全般的に個人全員に起きる現象です。それは階級社会とともに発生し、階級社会の終わりとともに終わります。
② 疎外は階級社会において資本主義社会以前と資本主義社会以後の2つの時期に区分される。資本主義以前の、つまり古代奴隷制、中世封建制、そしてアジア的専制。資本主義社会。
③ 逆から言えば、疎外が一般的にある社会は社会主義・共産主義の社会ではない。
④ 資本主義社会における労働組合員や共産党員は疎外現象から逃れられるか。もちろん資本主義社会における全員が疎外にさらされるので、労働組合員や共産党員といえども無縁・無傷ではありえない。
⑤ しかし自覚し自ら意識的に努力するということによって個人は疎外の現実化・被害を少なくすることができる。労働組合員や共産党員は、そういうことがやりやすい位置・ポジションにいる。有利な位置・ポジションにいるだけなのだから努力をしなければ、いつでも転落する危険はある。
⑥ 1つの組織・集団内では上部の人間ほど堕落・転落の危険性はより大きくなる。地位が上がれば上がるほど、疎外に強く警戒しなければならない。
⑦ 社会主義・共産主義の社会で疎外がどうなるか、まだ納得できうるような研究はないとボクは思います。社会主義・共産主義の社会では疎外はなくなるか。それとも社会主義・共産主義の社会では疎外は変容するか。ボクにはまだわかりません。
以上。
20200615