新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

国立がんセンターの医師不足

2008-04-03 21:17:21 | 医療

こんばんは。

 

今日は朝から実験をしていましたが、良いDataといえばよいのでしょうけど・・・もう一回くらいやっておく必要がありそうなDataを得ました。

 ま、この週末と来週の前半を使って、同じDataの再確認と、それにあわせて追加実験を一個行います。僕は自分のやり方で、可能であればDataだけは出しておきます。あとはそれを使って「興味はない」かもしれませんが、勝手にやってくださいw

僕はすでに「母校」に帰ったらやってみたいことが山ほどあるので(臨床の合間にやれるかどうかですが、慣れたら時間は作れるでしょう。Blogもかけると思いますしね)

 さて、昨日は厚労省の「厚生労働白書」から記事を作ろうと思っていたのですが、まず第一のニュースが・・・・

第3次試案発表

 

ということで、情報を集めていたのですがどこにも見つけられず。何故、何故?

むぅ、早く知りたいぞ。誰かBlogに書いてほしいよう・・・。

 

と、思っていたらこの記事がありましたので・・・まずはこの話から

<国立がんセンター>麻酔医が相次ぎ退職 手術にも支障

4月3日2時35分配信 毎日新聞

国立がんセンター中央病院(東京都中央区、土屋了介院長、病床数600)で、10人いた常勤麻酔医のうち5人が昨年末から先月までに相次いで退職し、1日の手術件数が2割減る異常事態になった。より待遇の良い病院への転籍などが退職理由で、「がん制圧のための中核機関」を理念に掲げる日本のがん治療の“総本山”に、全国的な医師不足が波及した形だ。【須田桃子】  【毎日らいふ】

健康、医療に関する情報満載  

がんセンター中央病院は常勤医師約150人、1日当たりの外来患者約1000人と、国内でも最大級のがん治療専門施設。これまでは、1日当たり約20件の外科手術をしてきたが、術中の麻酔管理を担当する麻酔科医が半減したことで、3月末から1日約15件しかできなくなった。  

手術までの待ち時間も今後、長引くことが予想されるため、特に急ぐ必要のある病状の患者に対しては、都内や患者の自宅周辺の病院の紹介を始めた。院内にも、麻酔医の不足を知らせるお知らせを掲示し、患者に理解を求めている。  関連学会や各地の病院を通じ、麻酔医確保を図っているが、「すぐには解決のめどがついていない」(土屋院長)のが実情だ。  

土屋院長によると、退職の主な理由は、待遇の良い民間病院や都立・県立病院への転籍だ。同病院の職員は国家公務員で、30代の中堅医師の場合、給与は年間700~800万円程度。一方、都立や県立病院は1000万円台、民間病院なら1000万円半ばから数千万円になるという。  

日本麻酔科学会が05年にまとめた提言によると、日本では約4000施設で全身麻酔が実施されているが、同学会の会員が常勤でいる病院は約半分にとどまる。手術中の患者の麻酔管理に加え、患者の痛みを除く「ペインクリニック」や「緩和ケア」などに麻酔科医の担当領域が広がっており、全国的な需要も高まっている。  

がんセンター中央病院も、「緩和ケア」研修を09年度から全研修医に義務付けることを決めたばかりだった。  

土屋院長は「中央病院は、医師が勉強する環境は十分整っているが給料は並以下で、施設の努力で確保するには限界がある。医師の絶対数を増やす政策が不可欠だ」と話す。  

乳がん患者団体「ブーゲンビリア」の内田絵子理事長は「国立がんセンターは全国の患者の精神的なよりどころでもあり、医師不足で手術件数が減ることは、全国の患者にとって不安を駆り立てられる話だ。麻酔医不足は、緩和ケアの充実にも悪影響を及ぼす」と懸念する。  

▽医師不足問題に詳しい本田宏・医療制度研究会副理事長の話 がん患者にとって最後のとりでとも言える国立がんセンターにまで医師不足の波が押し寄せた。大変憂えるべき状況で、医療崩壊が日本に起こりつつあるというサインだ。

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麻酔科医の不足に関しては2,3年前から問題に上がっていましたが、この数ヶ月で一気に辞めてしまったのですね。

書かれているとおりですが大学病院や国立がんセンターなどの「教育機関」の医師の給与は非常に低い。しかも、そこは最先端の医療を担うはずの場所である。

先日、40代の医師の方が「31万/月」といっていましたと書きましたが、別の日に30代の医師の方が「26万/月」といっていました。 これで日本の医療・医学教育・研究をやっていこうというのだから・・・。さすがに無理があるのではないだろうか

 

勤務待遇だけでなく、勤務環境もかなり悪いのは皆さん周知のとおりだと思います。

厚生労働白書(P47)には

「病院に従事している全体の医師数は増加しているにもかかわらず、病院内の診療外業務、臨床研修医等への教育・指導、外来患者数、外来患者一人に費やす時間の変化により、病院における勤務の繁忙感(感覚かよ!)が強まっている事が医療機関から強く指摘されている。病院勤務医の一週間辺りの勤務時間は休憩時間や研究に当てた時間も含めて計算すると平均で63時間、休憩時間などを除くと平均で約48時間(どういう調査しているんだか?僕は8月から恐らく週120時間くらいには絶対なるぞ?)であり・・・(略)」

と書かれているが、教育指導ができる体制だろうか?まず、第一優先は患者だからね。患者をほって置いて、研修医へ教える時間をとるなんてことは出来ません。

患者に使う時間を削ってまで、研究に使う事は出来ません。臨床業務の後です。それゆえ、現実として「今いる研究室」はかなり大きく、資金も潤沢に持っていますが・・・僕の下には大学院生はいません(一応、いるのか・・・臨床で手一杯みたいだけど)。

 

すなわち・・・・このまま行けば「研究」に関しては、いずれ途絶えます

そもそも、「休憩時間や研究の時間」と書かれているが、それは休憩時間はとるだろう。まったくの休憩なしで診療し続けろというのは「医師」にも「患者」にも無理な話だと思う。

しかも研究の時間は将来の日本のため、多くの人のためなのに「人の役に立たないのに娯楽の一環としてやっている」ような(休憩時間と一緒にするな!)書き方をしている。

 

 ともかく、勤務環境・勤務待遇の改善を特に医育機関で行えなければ、恐らく日本の医療の将来はないでしょう。

 「医者を増やせ」と、言う方針がたたないと話にもならないのだが、「医者を増やせ」となっても、このままでは「医者を育てるような時間がある医者はいなくなってしまう」

すなわち「見て、盗め」なんでしょうけど・・・ この御時世になり「医療訴訟」が増えてきたため、「やらせる」わけにも行かず、かといって「ゆっくり時間をかけて」教えていく余裕はなく・・・技術の継承も途絶えるかもしれません

そうなれば、日本の医療は本当に崩壊します

 

 まぁ、その可能性も考えての「横断的教育組織」(技術の継承が途絶えた場合、研究というものが途絶えた場合・・・まだ、実施している医局で学ぶ)になるんでしょうけど。

 

いずれにせよ、「国立がんセンター」にも及んだ「医療崩壊」の波

ここら辺で止めておかなくては、本当に「知識・技術の継承の途絶」・「研究の途絶」、などという問題も生じ、ついには日本の医療はまったく機能しなくなるかもしれません。

 

国立がんセンターにも及んだ「医療崩壊」、ここらでみんなで食い止めるべく頑張ろう!・・・と思われる方、応援をよろしくお願いいたします

http://blog.with2.net/link.php?602868

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なかのひと 

コメント (2)
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