さて、連続投稿します
読売新聞からです。
公立93病院で入院休止、経営悪化や医師不足など理由…読売調査
地方自治体が設置している公立病院のうち、2004年度以降に少なくとも93病院の141診療科が、医師不足などを理由に入院の受け入れ休止に追い込まれていたことが、読売新聞の全国調査でわかった。
さらに少なくとも49の公立病院が経営悪化などで廃院したり診療所への転換や民間への移譲など運営形態を変えたりしたことも判明。公立病院を拠点とする地域医療が、各地で崩壊しつつある実情が浮き彫りになった。
地方自治体が設置する病院は全国に約1000あり、調査は都道府県を対象に、医師不足の契機になったとされる新医師臨床研修制度が導入された04年度以降について実施した。
今年2月までにいずれかの診療科で入院を休止したことのある病院は、公立病院の状況を把握していない10道県を除く37都府県で93病院。うち6病院は入院を再開した。休止理由について回答のあった42病院の9割は「医師不足」をあげた。
診療科別では、産婦人科・産科の休止が44病院あり、次いで小児科の19病院。両科は、訴訟のリスクや不規則な勤務などで全国的に医師が不足しているといわれており、公立病院でもその傾向が表れた。
北秋田市立阿仁病院(秋田県)では昨年5月から、小児科など五つの全診療科で入院を休止。湖北総合病院(滋賀県)は医師の退職で05年4月以降、3診療科で入院を休止した。
一方、自治体財政の悪化などから、福岡県では四つの県立病院が民営化された。岩手県では06、07両年度、県立など計6病院を診療所に切り替えた。
地域医療問題に詳しい本田宏・埼玉県済生会栗橋病院副院長は「地域医療の疲弊ぶりが如実に表れた。医療空白地帯が加速度的に拡大し、地方を中心に病院で受診できない人が続出するのではないか。医師確保を急がねばならない」と話している。
[解説]膨らむ赤字「切り捨て」加速 地域医療を支える砦(とりで)が悲鳴を上げている。厚生労働省は「市町村合併に加え、病院間の機能集約や連携が進んだことで『無駄』がなくなりつつある」とみているが、その感覚は青息吐息の現場とあまりにもかけ離れている。
今年度決算から、自治体財政に新たな健全化の指標が導入され、病院事業など特別会計も含む「連結実質赤字比率」が40%を超えた市町村は財政再生団体に指定される。総務省によると、地方公営企業法が適用される公立病院968病院の06年度決算では、4分の3が赤字運営を強いられている。多額の赤字を抱える公立病院の「切り捨て」が今後、加速するのは必至だ。
医師不足で患者を増やせずさらに赤字が膨らむ、という悪循環から公立病院が抜け出せる糸口は、見えてこない。地域住民の命を守ってきた病院を支える抜本的な対策を、国は急がねばならない。(大阪本社社会部 桑原尚史、竹村文之)
新医師臨床研修制度 国家試験に合格した新人医師に2年間、現場の病院での研修を義務づける制度。研修医が原則自由に研修先を選べ、症例の豊富な都市部の民間病院に人気が集中するようになった。人手不足になった大学病院などが公立病院などに派遣していた医師を引き揚げたため、全国的な医師不足が生じたとされる。 (2008年4月6日 読売新聞)
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北海道が入っていないのに・・・これだけの公立病院が・・・。北海道が入ったら更に増えますね。
「産科を含めた医療崩壊:20年後の国家予算は?」 という記事でも書きましたが、産科や小児科を含めた医療崩壊により「将来、国が負う負債」は大きいと思いますよ?
また、無駄を省いていると書いているが「医療」というのは「収益を上げる場所」ではなく、「無駄であってもそこにあることを求められている」のであり、その中心が「公立病院」です。
現在、「持分」をなくすなどの方策など、様々な「医療法人改革」が行われています。持分って一言で言ったら「出資者の権利」です。病院を建てるときに出資者は「持分」を持っているわけですが、すなわち株式会社に近い形に見えるために・・・問題となっているという考え方ですね。
これは「病院」が「収益を求める組織」ではないことを示すための方針として重要なものです。
「収益を求める組織でなく、国民の健康を守るための組織」である事を示しているにもかかわらず、国は「無駄がなくなっている」という。無駄なようで、無駄でないのが病院だと思うのだが・・・。
それを言い出したら医者なんて「無駄であるのがベスト」じゃないですか。この人たちはバカではないかと思う。そんな事、理解できないはずがないんだ!
よく書いておりますが、国というのは「その国に住む人」のための組織であって、国民が国のために生きているわけではない。
時折、日本という国は「命より重要なものがある」というような考えの下、おろかな方策をとっている。それは過去の第2次大戦が良い例だろう。 そして毎回だけど、失敗すると「命より大事なものはない」というような感じで、政策を変えていく。それは正しいのだと思うが・・・。
明治維新のころ、多くの逸材が「自分の命よりも国家に殉ずる」という形で、命を散らしていった。それは美しい。僕はそう生きて生きたい。そのために死ぬのなら本望だと思う。
しかし、国家が「国家のために」、人民に犠牲を強いるというのはいかがなものだろうか?本末転倒ではないだろうか?
「人民の、人民による、人民のための政治」のはずが・・・という思いがある。
この国はやはり根底から変える必要がある。この激流の時代に、このままではいけないのではないかと・・・そう思わざるを得ない。 こうやってBlogに記事を書いているだけで、どのような効果があるかはわからないのですけど、何もしないよりは書いたほうがいいですし・・・医療制度に関しては少しずつ動いていますからね。
千里の道も一歩から
みんなでこの国をよりよく出来たらいいですよね。
人気Blog Ranking 医学・・少しずつ上がってきています。また、応援よろしくお願いいたします