新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

北海道と埼玉県:埼玉県は!そして全国総柏原化へ!

2008-04-24 23:18:03 | 総柏原化

続きです。

2回目のショック。

1回目、アップしようとしてデータが消えた。2回目、間違って書いていたほうのウィンドウを閉じたw (因みに3回目も失敗しましたが、コピペできましたw)

もう本当に泣くぞw

三度目の正直で書きます。流石に疲れましたw

え~と、続きで、これで医師一人当たりの守備範囲を求めてみます

所在地     面積       域内人口    仮の医師数   守備範囲

石狩     3,539.86km²    231万0001人    4950名       0.71

空知     6,558.22km²      36万5563人    782名       8.39

後志       4,305.82km²          25万0065人    536名        8.03

渡島       3,936.32km²          44万9371人    964名        4.08

檜山       2,629.88km²            4万6999人     100名         26.29  

胆振       3,698.00km²          42万6627人        913名          4.05

日高        4,811.96km²            8万1403人     171名         28.1

上川      9,852.17km²           53万5456人       1146名         8.60

留萌      4,019.91km²             6万1488人        130名          30.9

宗谷     4,050.76km²              7万5665人        161名          25.1

網走   10,690.55km²             32万4719人        686名        15.6

十勝   10,831.24km²             35万4147人        759名        14.3

釧路    5,997.38km²              26万1883人        561名         10.7

根室    8,534.13km²                8万4035人        180名        47.4

と、なります。

医師数はこの通りには、もちろんなっておりませんが・・・この通りだったとしても多いところでは1人の医師が50km四方のエリアを担当している事になります。

もちろん、北海道は広大な森林、広原、山々があり、一概には守備範囲とは言えませんが・・・似たり寄ったりでしょう。 更に、次の資料によると更に守備範囲は広がりそうです

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/NR/rdonlyres/5D8361B2-6460-4196-8DBB-07609D9D737B/0/tokku02iinnkaisiryou6.pdf

この資料によれば札幌は6089名の医師がおり、上記の計算よりも多い。また、最も2次医療圏で医師数が多いのは上川中部(旭川)で、299名/10万人。 これを考慮すると、更に地方の医師数は少なくなる。

また、都市部に11000人、町村部に1100名の医師がいるとなっており、ここから更に集約化するのは厳しそうである。エリアがすかすかになり、対応が不可能になると思う。

 

さて、では埼玉はどうだろうか。 埼玉県は人口708万人、面積3,797.25km²、人口密度1,864.02人/km²の地域であり、医師数は人口10万当り134.2名。そうすると医師数は9500名となる

面積は北海道の支庁よりも小さいか同じくらいなので、このまま比較してみる。

所在地     面積       域内人口    医師数  守備範囲

埼玉県   3,797.25km²    708万人    9500   0.399(0.4)

となる。 人口当り医師数は最も少ない埼玉県。当然ながら医療崩壊の危機にあるが、医師一人辺りが担当しているエリアは小さい。400m四方だ。

札幌は実際は6089名だから、これを元に計算しても0.58となり、600m四方となる。 そう、実際に札幌も医師数は足りていない。僕が持っている情報では医師の募集は札幌市内はまだまだ「良い条件」を掲げて遣り合っているようだし(うわさ・・・でしかないですけど。現場の先生方が言う うわさw)。

足りるわけがない。 人口当りの医師数として十分かもしれないのは上川中部くらいだろう・・・。

こうやって見てみると・・・人口当りの医師数が少ない埼玉も、守備エリアが大きすぎる北海道も共に厳しい医療状況になりそうである。

札幌市にも余裕がない以上、派遣するというのは難しいし、かといって中小病院の集約化をこれ以上進めると大穴が開きまくって、とんでもない事になるかもしれない。

確かに奈良県のようにヘリ後送に頼ることもできるかもしれない。しかし、冬場は特に難しくなるだろう。冬道の道路後送も難しい。 吹雪のときにヘリを飛ばす事は更に難しい。 それを考えれば、やはり集約化も難しい。

しかし、今の状態では医師の過労によって地域医療を皮切りに札幌地区も壊滅してしまうかもしれない

では、どうするべきなのだろうか?

行政や医療従事者、そういったところだけではどうしようもなくなってしまったという事だと思う。

一言で言えば行政の失政だと思う。僕の学生時代、J大学の学生やT大の学生などと医療に関して話をしていたときに、僕らの中では危ないという話は上がっていた。それを認識していない国がおかしい。

しかし、過去をいっても仕方がない。今からどうするかである

医者を増やし、医療費を上げる方向に持っていくのは最低限の事で、これはすぐに決定されなかったら・・・医療が原因で国が滅ぶ(医療崩壊国亡論w)と思う。 医療が壊れて、経済も・・・将来的には税収も、この国に入ってくる人もいなくなり日本は滅ぶのでしょう

 

さて、ここで「柏原病院の小児科を守る会」のスローガン(Dr.I先生のBloghttp://kenkoubyoukinashi.blog36.fc2.com/blog-entry-312.html参照) 「コンビニ受診を控えよう」 「かかりつけ医を持とう」 「お医者さんに感謝の気持ちを伝えよう」 を、広めていくしかないかな・・・・と思う。

国だけではもはや無理な段階に来たのならば、国の失策とはいえそのような議員などを選んだ国民の責任もある。今の医療を守るために国民全体が一丸となって、コンビニ受診を控えるなどの行動をとらなくてはならないと思う。

 

個人的には「互助会」のようなものを地域ごとに作って、お互い医療などの分野で助け合っていき、そこにアドバイザー(かかりつけ医に近いが、あくまでアドバイザー)の医師に組んでもらう。

アドバイザーの医師の免責を確保しておき、この状況であれば「明日の朝の受診でよい」「これは救急車を呼んだほうがよさそうだ」などという話が出来ていけばよいと思う。

地域ごとに助け合いができるようになり、更にそのメンバーを複数のアドバイザー医師(これも輪番にしないと過労で倒れます)が担当しておけば、何とか地域の第一トリアージは実施可能かもしれません。

その上で医療資源を有効活用し、医師の増加を待つ

 

医師の増加に関しては急激な増加は見込めませんが、CBT関係と、国家試験のやり方、イギリスのまねを一部(ポートフォリオ)、研修の仕方の変更などで一時的に医療従事者を増やせるかもしれません。 今のままなら研修医は「お客さん」であり、学生とほぼ変わってません。ならば・・・という考えです。

すなわち大学など医育機関の建て直し(今のままでは、医者を増やす事すらできない)を行う間に、臨床実習生を割り振る(CBTは臨床実習を行うための試験。ならば、どこの病院でも実習してよいはず。一定以上の医育機関であれば)上に実地に参加させる。実地に参加させるだけでは本腰が入らないので、評価をポートフォリオにする。マルチプルチョイスなどその気になれば、3ヶ月で終わるのだからむしろ臨床実習をより効果的にするべきである。

まぁ、詳しい話は僕の心と頭の中にw

複数プランがあるのですが、まぁそれは後日かな・・・・。

流石に3回目なので疲れたのでw

 

話を戻しますが、今のままでは北海道や埼玉だけではなく、日本の医療崩壊は間違いないと思います。いや、すでに起きてますので。 それを改善するためには国民の「コンビニ受診を止める」「救急車を無駄に使わない」などの啓蒙・意識改革が必要です。

埼玉、北海道はもちろんとして日本全国総柏原化が必要なのではないかと思います。 日本の医療再生までの時間を稼ぎ、将来の医療の発展と国民の意識向上のためにも「日本全国総柏原化」が必要だと思われる皆様、応援をよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

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北海道と埼玉県:北海道は!

2008-04-24 21:56:45 | 北海道

こんばんは。

今日は実験に一日行って良い日だったので、実験室に行きましたが大きく動かせるものがなく、とりあえず「傷寒論」読んでいました。傷寒論は漢方の「感染症学」の本ですが、セリエのストレス学説に良く似ていて、読み方を西洋と絡めると非常に面白いです。

 

さて、今日は一件症例報告からw

昨日、外注のフェリチンが7.0と返事が来て、「鉄欠乏性貧血」の診断が確定した子がいます。

受診時、Hb10、MCV85 (WBC、Pltは問題なし)、LDH160、T-bil,D-bilも問題なし・・・まぁ、はかった検査で異常はHbの10g/dlのみ。RDWも45くらいで・・・分布も普通みたいだし・・・・。

正直20歳の女性だから、鉄欠乏性貧血だと思っていたら・・・・正球性貧血かよ・・・と思い困っていました。その割りに、LDHが高いだとか、他の系統に異常があるとか、Pancytepeniaだとか・・・何もなくて・・・、少し困っていました。

で、質問して・・・何か特別な薬を飲んで貧血が惹起される事もあるので (結構胃薬系とか、他にも僕の外来には「高尿酸血症」の薬を飲んで、貧血になった人がいます。今、コントロールしてますけど)、それに関して質問したら

鉄のサプリ飲んでます

鉄のサプリ? 微妙に鉄が補充されて、微妙な数値のまま推移しているのかしら?

当然、フェリチンなどははかっていたので、その結果がでるまで確定診断は待つ事にして、とりあえずその予想の元に・・鉄剤で補充していました。

いや、フェリチンが低くてよかった。これで普通だったら、いろいろ調べないといけないところだったw

明日、受診されます。本当に良かった、良かった。

 

さて、今日は・・・・僕の住んでいる北海道(非常に人口密度の低い地域がある)と人口当り医師数が最も低い埼玉県に関して考えてみたいと思います。

理由は、今日

血液10床まで減らす上に、50歳の先生二人でやっていくのは不可能でしょう。先生の勉強にもならないし、将来がもったいない。うちのおいで

という話が合った事。

僕も正直そう(もったいない)思っています。

実は、死ぬ覚悟(過労死w)で戻るつもりだったので20床なら20床(いつもそれで27,8人入っていたのに)のほうが、個人的にはうれしい。 しかし、確かに上級医の先生と、患者さんにとっては良いかどうか判らないと思って

「わかりました」

とはいったものの、僕の計画ではこの血液臨床から離れた2年間を取り戻せる可能性のほうにかけていただけに「がっくり」です。

死ぬほど頑張って、この2年間を取り戻すのに命かけてたのに・・orz

ただ、まず僕が帰らないと10床もなくなる可能性があること(まぁ、10床が結局白血病を昔のようにバンバン診ないのだったら・・・他に送りましょうという感じで、僕もトラバーユかも)、一応大学に恩義を返さないと僕の気持ちが晴れないので・・・w

 

そういうことで・・・・うちの大学が駄目になったら南埼玉と西東京の血液臨床は崩れると思いますけど・・・・・とも思い、この埼玉県との比較に関して少し考えてみたいと思います。

 

さて、まずは北海道

北海道は 人口 約560万人、面積78000km²で人口密度67.1人/km²の道州制を敷いている地域である。

各支庁の詳細は以下の通り。

支庁一覧   

支庁     自治体 所在地   管内市町村数    面積         域内人口

石狩          札幌市                6市1町1村     3,539.86km²    231万0001人

空知         岩見沢市             10市15町0村     6,558.22km²    36万5563人

後志         倶知安町             1市13町6村       4,305.82km²       25万0065人

渡島         函館市                 2市9町0村          3,936.32km²    44万9371人

檜山         江差町                 0市7町0村          2,629.88km²      4万6999人

胆振         室蘭市                4市7町0村           3,698.00km²     42万6627人

日高         浦河町                0市7町0村            4,811.96km²     8万1403人

上川         旭川市                4市16町2村           9,852.17km²    53万5456人

留萌         留萌市                1市7町1村            4,019.91km²    6万1488人

宗谷         稚内市                1市7町1村             4,050.76km²    7万5665人

網走         網走市                3市15町1村           10,690.55km²   32万4719人

十勝         帯広市               1市16町2村           10,831.24km²    35万4147人

釧路        釧路市                 1市6町1村             5,997.38km²    26万1883人

根室        根室市                 1市4町0村             8,534.13km²      8万4035人

出展はウィキペディアです。

 

ここに北海道の人口10万人辺りの医師数(216.2人)をかけると、12107人の医師がいることになります。(参考)

http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/c8ff39a7e565861f492572c8002c1c49/$FILE/20070425_5shiryou4-3_1.pdf

これが人口ごとに均等に分布していたら(してないけどw)

所在地   管内市町村数         面積       域内人口    仮の医師数

石狩   札幌市 6市1町1村       3,539.86km²    231万0001人   4950名

空知  岩見沢市 10市15町0村    6,558.22km²    36万5563人    782名

後志  倶知安町 1市13町6村     4,305.82km²         25万0065人    536名

渡島  函館市 2市9町0村          3,936.32km²         44万9371人    964名

檜山  江差町 0市7町0村          2,629.88km²          4万6999人     100名

胆振  室蘭市 4市7町0村          3,698.00km²         42万6627人        913名

日高  浦河町 0市7町0村          4,811.96km²          8万1403人     171名

上川  旭川市 4市16町2村         9,852.17km²         53万5456人      1146名

留萌  留萌市 1市7町1村          4,019.91km²           6万1488人        130名

宗谷  稚内市 1市7町1村          4,050.76km²           7万5665人        161名

網走  網走市 3市15町1村        10,690.55km²         32万4719人       686名

十勝  帯広市 1市16町2村        10,831.24km²         35万4147人        759名

釧路  釧路市 1市6町1村          5,997.38km²          26万1883人        561名

根室  根室市 1市4町0村          8,534.13km²            8万4035人        180名

 

となります。これを今度は(仮の)医師一人当たりのカバー範囲を考えて見ます

 

文章が長くなりすぎたので次の記事に移行します

 

http://blog.with2.net/link.php?602868

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